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米国ネットワーク家電事情

2004/06/09 00:07
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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知人のBlog、β.(ベータドット)にて、Wiredに掲載されていた海外のネットワーク家電(記事中ではブロードバンド・ホームとされている)についての記事、Cable Snaking Into Everythingが紹介されていた。

現状認識から。

The explosion of devices and services enabled by broadband and wireless offers consumers an increasing variety of ways to manage the content and communications in their homes. Some enjoy piecing their own systems together much the way some PC users would rather build their own computers. The majority, though, don't want to know how it all works; they just want to point and click.

まず、ネットワークに接続するデバイスの数も種類も増え、ユーザーには「組み合わせの自由」が生まれている。しかし、そこまで入れ込むユーザーは多くない。理由は簡単で、よほど好きでない限りは組み合わせの方法を考え、最適化するなどという作業は面倒なので行われない。オーディオにせよパソコンにせよ先例は十分にある。

アーキテクチャが複雑になっているところに商機あり、というのはクリステンセンの理論の基本定理となる。定理を証明するかのように

Executives at the nation's largest cable operator are keenly aware of the potential. "There's a huge opportunity to wire all aspects of the home and to add additional products in the future. The company or companies that capture that opportunity will make a lot of money," said Steve Burke, president of Comcast Cable.

巨大な市場があると、虎視眈々と狙っているプレイヤーもいる。接続とネットワークの複雑性をクリア出来るかがポイントになるのは以前のエントリ「ネットワーク家電は顧客の用事を片付けているか?:製品市場の現状(2)」でも触れたが、認識は米国でも共通しているようである。

市場のサイズについては、

Industry executives wanted to show off the consumer possibilities enabled by cable's $72 billion-plus investment in upgrading infrastructure for broadband delivery of video, high-speed data and telephony.

ケーブル会社にとっては、「$72 billion-plus」と出されている。大きい。
 
 
事業化への壁
 
しかし、この理論市場の数値が正しいとして短期間にビジネスとして成立するものかはやはり微妙なようである。

Every product and service displayed by more than 40 companies featured in the model broadband home is currently launched or in consumer trial. Ideas still several years from the market were relegated to a different area of the convention.

規格が固まっておらず、

"It's all connected to our product," Dolan said. "But who's going to sell it?" Cablevision's last foray into selling consumer electronics as owner of the retail chain The Wiz failed.

"Different operators are going to have different takes on it,"

ハブも上手く機能していない。

IT産業で言うなら、ソリューション提供者、機器とサービスのパッケージャーとしてのIBMもしくはHPがいないのにモジュール化だけが先行してしまった状態になっている。

パッケージャーとして、ネットワークを張り巡らせているケーブル会社が候補に挙がってはいる(こうやって、ことあるごとにケーブルネットワークが脊髄反射で出てくるのは米国市場の特徴と言える)。しかし、

Like others, he pitches the cable company's relationship with the consumer as one of the aspects that gives cable an advantage. But Vogel also understands that the industry has yet to overcome the negative stereotypes and late-night talk show jokes about "the cable guy." Why would anyone want an industry that's lampooned for its customer service to run his or her house or sell him or her a microwave?

そもそも、役割を果たせるかはっきりとしておらず、

Will they be used to enhance service or to create new revenue? In other words, will they be included in the fees consumers already pay or will they cost extra? Will a $10 monthly fee for DVR service cover one room or all rooms? Will consumers have to buy a media center or will they be able to lease it? Will operators choose to help consumers connect other products to their set-top boxes or leave them to make it on their own?

価格についてもはっきりとコンセンサスが取れていない。もっと言うと、サービスを提供する側も受ける側も心の準備が出来ていない。
 
 
改めて日本
 
対岸の様子を見るにまだまだであるが、日本が順当に進んでいるのかと問われると全くもってそうではない。ネットワークの形が定まっていないのは以前まとめた通りであり、相互運用性については業界団体が仕様を詰めているところである。PCのように高度にモジュール化が進んだ状況は生まれていない。

また、流通側でも、家電の側はともかくとしてもPCの世界とすっかりと切れているのは家電量販店のフロア割りを見ているだけでも分かる。先に紹介したβ.(ベータドット)でも

どうやら、ネットワーク家電には、ロジスティックス(流通)のイノベーションも必要のようだ。今後の進展が楽しみである。

と締めくくられているが、下手すると流通どころではなく、住宅の側でも動きが必要になってくるかもしれない、比較するにはやや遠い事例だが、システムキッチンや床暖房まで含めた温水の統合管理など住宅の設計まで含めないと実現しにくいものがある。オール電化もまた然り。アーキテクチャの標準がガチガチに固まって枯れる必要があるが、津々浦々まで普及するのは、壁に電話のジャックが埋められている昨今の住宅のように(ついでに、最近ではテレビとLANもまとめられたマルチコンセントも珍しくない)ネットワークの複雑性を壁や天井で吸収してしまうことが必要なのかもしれない。

参考までに、2002年の新築住宅での床暖房の採用率はさりげなく7割強に達している。この辺の普及のカーブとトリガーを整理してみると意外にヒントがあるかもしれない。普及のキーはメーカー以外にあるはずである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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