お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

BloggerによるBloggerのためのBlog解体新書

2004/04/22 23:54
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
ブログ管理

最近のエントリー

ハーバード大にて、BlogのカンファレンスBloggerConが開催されていた(飛んだ先のサイトはものの見事にトップページからBlogである。いやはや。)。こういったミーティングやカンファレンスの類はやたらあちこちで開かれている。テーマは

The focus of BloggerCon is weblogs in journalism, education, science, business and politics. We're interested in people's experiences with weblogs, now that they've been in use for five or six years, depending on who you ask. This is not a technical visionary venue, nor is it a place for political activism. Our interest is in the use of weblogs. Of course technology and politics are related to the use of weblogs.

Blogを軸としながらも技術以外のところに目を向けてジャーナリズム、教育、科学、ビジネス、政治などとオフィシャル、パブリックなテーマを意識したきっちりしたもの。相変わらず著名どころの参加者は多く、例えばDan Gillmorはビジネスをテーマで一本コラムをまとめている

先日紹介した、Nico MacdonaldのThe future of Webloggingという記事もBloggerConをトリガーに書かれている。面白い、と思った反面、見方によっては欠けた記事だという感覚も同時に受けていた。欠けた感覚を探していると、Many-to-Manyに上手い具合にSébastien Paquetの評価エントリがあった。

自分がきっちりと言語化しきれていない概念を他人のBlogで見つけるという経験は本格的に書き始めてからは数え切れなく経験している。CNET上での連載が始まってからも一日に一度くらいの割合で、「そうそう、それ。そういうことが言いたかった」というまるでパズルを解いてもらったかのような出会いが続いている。知識がオープンソース化しているというのはおそらくこのような感覚のことを指すのだろう。考えることも大事だが、おおよその当たりをつけた後は探した方が早い時もある。ジャストなものが見つからなくても、大抵ヒントくらいは見つかる。ゼロから100まで考えるよりは効率が良い。
 
 
not journalism, but blogger-ism
 
欠けている、と感じたのは、The future of Webloggingはジャーナリストの視点で書かれたものであり、必ずしもBlogの全体像を指し示してはいないからだ。間違っているというのでもなく、内容が悪いのでもなく、単にそのような立場から書かれているという理解があればいい程度なので、欠けた視点を補って読めば良い。Bloggerの誰かがその人の感覚から一言入れていれば十分だと思っていたがいいのが見つかった。

まず、Macdonaldのサマリは

* It needs more journalists;
* It needs to be more externally focused (less concerned with blogs);
* It needs more people writing “second drafts”, closer to knowledge than opinion;
* It needs better tools to navigate and visualize the infoglut that its expansion is creating;
* It needs categorization and reputation management;
* It needs publishers to offer reciprocal links to at least some of the commentary it offers.

こんな感じになっている。テーマを絞り、カテゴライズを意識し、関連資料・コメントとのリンクのチェックを怠らずとBlogベースのジャーナリズムの形が提示されている。

コメントは手短で分かりやすい。

Macdonald’s considerations are interesting, but they reflect his conception of what blogs are about (journalism and serious thinking) and thus chiefly apply to those weblogs that aspire to public intellectual leadership.

I wouldn’t dream of asking LiveJournalers to write according to those standards - and nor should they strive to.

Blogは必ずしも知を競うためのものではないし、ジャーナリズムの論法を遵守して書くものだとは思っていない、と。これが欠けたピースになる。
 
 
Blogのコンテクスト
 
BlogはBlogで固有のコンテクストを持つ。journalismではなく、「blogger-ism」とでも言うようなメディアの特性を持っている。

In the frame of reference that Macdonald uses, this is inappropriate and may reinforce cliquishness, but at the same time the tone of my weblog is conversational and it doesn’t feel quite right to refer to these people as I would for instance in an academic publication. Lab conversation is the “real-life” context that matches best for me, and referring people by first names was the rule in the labs I’ve been in; including a link enables people who are not in the loop to determine who I’m talking about.

Sébastien Paquetは彼自身のコンテクストを「Lab conversation」と表現している。研究室でざっくばらんに会話し、ファーストネームで呼び合うようなコミュニケーションのやり方が肌にあって心地いいのだと。

全てのBlogに共通したルールがあるとは思えない。旧来のジャーナリズムの文法を意識するのも一つであり、真反対に、チャットに近づいた短いやり取りを頻繁に交換しているBlogもある。ただ、書き手と読み手が近く、お互いにBlogを持った者同士のやり取りだと書き手と読み手の両方の役割を同時にこなすフラットなコミュニケーションパターンが多いためか、ざっくばらんな形に落ち着くのを良く見る。メディアを代替し、ジャーナリズムの民主化が起きるという議論が一年ほど前にどっと出てきていた時期があったが、実際は補完し合うものというのが正しいだろう。良く見るとやっていることが異なる。
 
 
online discussionの場の変遷
 
Blogの位置づけを確認するために、Macdonaldはネットワーク上での意見交換の形をdesktop publishing⇒‘home page-hosting’(Geocities, Tripod, and The Globe)⇒Web-moderated mailing lists(eGroups)⇒Webloggingという進化の形でまとめている。定義を引っ張ると、

The ‘blogerati’ rightly present Weblogging as opening up writing and communication to the masses.

と(個人から)マスへのコミュニケーションとしている。この定義からすると、ジャーナリスティックな捉え方が出てくるのも腑に落ちる。しかし、RSSの普及状況を見ていると、1対nのコミュニケーションをイメージした旧来のメディアのモデルを援用するのはやや違うと感じている(このテーマはまた後日)。

対して、知人の作成した進化史が、BloggerにとってのBlogを上手く表現していた。せっかくなので、本人許可の上公開したい。

・パソ通フォーラムからインターネットへ(大部屋から外界へ)
・インターネット上のコミュニティサイト(外界にある大部屋)
・blog(個室)
・blogとフォーラム(個室と大部屋)
・ソーシャルネットワーク(個人と個人と個人)
・TrackBack(個室をピンポン)
・BlogRolling(ピンポンダッシュ)

Blogは個室でお互いにチャイムを鳴らしあっているという表現は実際の感覚値に合う。まさに、お邪魔する(=コメントする)、お知らせする(=TrackBackする)という風な行動を日々取っている。スタートラインはPublicでなくまずPersonalであり、あだ名やファーストネームで呼び合うような個人的な繋がりを促進するのが、本来メディアとして持っている機能だろう。そして、エントリの前半のやや重い雰囲気でない、このライトな文章感(といっても場が場だけにどうしてもきっちり書いてしまう)がいわゆるメディアと異なっていて"らしい"ところだとも思っている。
 
Blogのコンテクストが瓦解して、そうとも言ってられなくなることがあるのは、Joi Ito's Web: ブロガーの壁と多面性の崩壊、および魔法の数字150について に詳しい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー

個人情報保護方針
利用規約
訂正
広告について
運営会社