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Gmailを読み解く(2):技術的可能性

2004/04/20 08:56
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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昨日に引き続いてテクノロジー面の検討を。

Tim O'ReillyがインターネットOSという概念を提出しているのは既に梅田さんが紹介している通り。ポイントを引くと

自分が「internet operating system」と呼ぶ理由は、ウェブと従来のデスクトップ・アプリケーションを超えて、「new network-based services」が生まれているからだとTimは言う。それは何か。P2P file sharingであり、distributed computationであり、location servicesであり、searchであり、identity managementであり、このリストがどんどん膨らんでいくのだ。そういう層をIOSと呼ぶべきであり、シスコのIOSはむしろインターネットのBIOS層みたいなものなのだ。

と、インターネットに散在しているサービスが統合されていく様子を描いている。彼はGmailも同様の文脈で捉えているが、今回のエントリでは少し論が進んでいる。

該当箇所はまずここになる。

Gmail is fascinating to me as a watershed event in the evolution of the internet. In a brilliant Copernican stroke, gmail turns everything on its head, rejecting the personal computer as the center of the computing universe, instead recognizing that applications revolve around the network as the planets revolve around the Sun. But Google and gmail go even further, making the network itself disappear into the universal virtual computer, the internet as operating system.

つまり、以前からの「small pieces loosely joined」というP2P的な世界観から「making the network itself disappear」と仮想化技術を拡張した世界観にシフトしている。

この世界観の上で鍵となるのは、データの置き場所と、

The critical enabler is going to be the ability to extract my data and connections so that I can work with them on multiple devices, for example, syncing my laptop or phone with my gmail account rather than having to work only in a tethered fashion.

多様な機器からのデータアクセスを使いやすい形でどのように実現するか。

I want to be able to switch to alternate providers if the competition makes a better offer.

競合へのスイッチの際に支障なくデータの移行が行えるか。合わせて、アクセス権とセキュリティの問題も必須科目になる。

やや脇道に逸れるが、1年ほど前の国内ベンダーのホームネットワーキング構想だと家庭用のサーバーが存在し、家中の機器を集中管理すると同時に外からのコントロールも引き受ける設計思想が良く見られた。ソニーがプレイステーションシリーズで模索している形も、マイクロソフトがWM9とXboxを中核に推進しているアーキテクチャーも発想の大枠は同じである。O'Reillyの予言どおり技術開発が進められていくとすると、ローカルPCを中心に攻めている勢力(=マイクロソフト)、家電ネットワークを中心に攻めようとしている勢力(=日本の家電メーカーetc)に対して、第三勢力(=Google、Yahoo、Amazon、eBay etc)が新たに出てくる構図が描ける。
 
第三勢力へのシフトを引き起こす要因は何になるのか。プライバシーへの配慮と機密の管理などクリアすべきハードルを越えられたとすると、信頼性が鍵になるのではないだろうか。PCと携帯と両方からアクセスしたい、自宅外からでも自由にデータを確認したいというニーズもトリガーではあるが、手元のPCにデータがあるとなんとなく安心というところから、ネットワーク上に置いておく方が安心で便利と思われるかどうかが鍵を握っていると考えている。

個人的な話になるが、プライベートメールの主環境をISPの提供するウェブ環境に移行して一年ほどになる。アクセスするマシンを選ばなくなったので、マシンの買い替えや出先でのチェックが実に気楽になった。マシンが突如クラッシュしてもメールに関しては別段困らない。スケジューラーなどローカルマシンのアプリケーションに依存しないものは、確実にウェブ上に移ってきている。Blogのように人から説明されて分かるものではなく、使ってみてはじめて実感として分かる経験商品の特徴があるところから、ある日突然ブームが起きて民族大移動が起きるような変化が起こるのではなく、静かにじわじわ普及していくことだろう。ある人はスケジューラーから、ある人はBlogから、ある人はメールから、人によって導入シナリオがバラバラであろうことも予想出来る。
 
 
その他、主だった関連エントリを一通り確認してみたが、技術面について突っ込んでまとめているところはWindley's Enterprise Computing Weblogにて

This is an example of where "more of the same" enables dramtically different results.

というのが目に付いたくらいでO'Reillyと丁々発止出来るようなものには出会えなかった。この「more of the same」という指摘はGmailの本質を上手く突いていると思うがいかんせん、この4ワードでは話の広げようがない。

全体として、プライバシーの議論が先に来すぎていることと、まだハイテク産業内でもイメージ先行での議論なため多様なコンテクストから語られる段階にないのだろう。O'Reillyの語るソーシャルネットワーキングとGmailが繋がるとどうなるかという試論も単品として結構面白かったが、慌てずにいい議論が起こるのを待ちたい。読むべきものは、自然と目に入るであろうことから、ひとまずはこれまで。

追記:
本筋ではないが、TyromaniacにてGoogleが転換点にあることをこうまとめている。

What is happening with Google is the same thing that is happening with Apple and with any company that touches what the money minions at Micro$ucks consider their property. Suddenly everybody starts making a ruckus about some stupid detail, imaginary or not. I think it is naive to believe this is all a coincidence, this are orchestrated attacks pay for by the devil himself.

公開企業になるとVCではない、公開市場経由での株主プレッシャーが高まる。強い信念の元に運営しようとする様子が端々から伝わってくるGoogleだがやはりこれからの方が本番だと言いたい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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