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CNET Japan ブログ

全てはIPに乗って(2)

2004/04/13 07:22
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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昨日に続いてWilliam GurleyのAll Things IP:the Future of Communications in Americaより。

音声と来たら動画。どうなるのだろうか。

元エントリはケーブル会社を軸テーマに書かれているので、コムキャストとディズニーの関係が例に出されている。コムキャストのディズニーの買収提案は前から気になってチェックしており、AOLとタイムワーナーと比較するなど、あれこれ考えていた。しかし、どうも違う見方をしている。一点絞ると、

a keen awareness that in an all-IP world the power of distribution falls as all content providers can establish a direct relationship with their customers.

ケーブル会社の持っている配給機能からコンテンツプロバイダーへのパワーシフトが起きていることがポイントなのだと。つまり、見方は完全に逆になる。AOLのケースは顧客接点と配給を押さえているからあとはコンテンツさえあれば良いという、コンテンツ側が「従」となる見方をされていた。
  
 
なぜこのようなことが起きるのか。大枠はまずシンプルに、ECの世界の議論と同じ理解でいいだろう。流通形態が変わることでネットワーク(=物流)の力に変化が起き、消費者との直接取引によって中抜きが起きているのだと。

A similar move played out in the travel industry last week when Hilton and many other hotels declared that in the future, the best rates would be found on their own web sites, not on Expedia or
Travelocity.

同様の例として旅行業界(例はヒルトンなので、ホテル業界とも言える)が指摘されている。価格設定を上手くコントロールすることで、自分達のサイトのトラフィックを主となるべく設計すればコンテンツ(=部屋と設備)を押さえている自分達が最も強いポジションを得ることが出来る。

ディズニーも同様に、コンテンツホルダーとしてポジションが今後高まることになる。

In an all-IP world, Disney would certainly have more choices and alternatives than it does in a cable environment where its only negotiation options are for channel placement and bundling inclusion - factors that are both controlled by the cable company.

どこに流しても結局は同じ、インターネット経由で全てが繋がるのであれば流通部分は完全にコモデティ化してしまう。
 
 
日本では米国ほどケーブルが発達していることはなく、放送事業の形態も異なっているので、綺麗に同じ形は考えられない。むしろ逆に、KDDIが光ネットワークを生かして放送事業に参入しかかっている動きなどをみていると、米国のケーブル的状況がIPネットワーク上で築かれてしまい配給側が頑張る仕組みでバランスが取られる可能性がある。もしくは、現在のテレビや家電がネットワーク化された際には、インターネットと放送を融合したような流通形態が成立していくか。
 
 
 
うっすらと予見出来るマーケットの変化の中でキープレイヤーとして考えられるのは、物理的にではなく、電子的にネットワーク、コンテンツを管理出来るプレイヤーである。「Believe it or not」と前置きしつつ、

Microsoft is the company that may be most underestimated in the all-IP network future. The company has done a magnificent job developing its WM9 codec and corresponding DRM (digital rights management) features and now appears to be the technology of choice for distributing video over IP.

マイクロソフトが出てくる。セキュリティ関連の問題やLinux戦で逆風下にあるマイクロソフトだが、水面下の動きを追っていると自分達の強みを生かしつつ着実に要所を押さえつつある。例えば、MSNに絡めて紹介されている

Just last week Microsoft agreed to pay $40MM to roll access to Major League Baseball video underneath its premium MSN services. That is direct proof that Microsoft sees itself as a key player in video over IP aggregation.

メジャーリーグのコンテンツ獲得以外にも既にディズニー、タイムワーナーと手を結んでいる。

勝負の鍵になるのは、DRMとcodec。あと、初めて知ったのだが、

Microsoft has also won a huge victory recently with respect to the next generation DVD format, which will also include support for WM9.

DVD規格にもメディアプレイヤーの規格が絡んでいるとのこと。
 
 
DRMの重要性は確認するまでもない。デジタルデータは容易にコピーされてしまうので、コンテンツベンダーからするとコントロールの出来ないところには出したくないのが心情である。信頼性を十分に確保したところにのみ流す決定を下すのが自然であり、ディズニーがマイクロソフトと協力関係に入った気持ちは良く理解できる。

では「Why does the codec matter? 」ということでcodecに。ポイントはシンプルに

Microsoft can use its position as a leader in codecs to back door its way into the operating system and potentially into a position to control the UI for most consumer electronics products.

OSや機器に組み込まれるプレイヤーとのインターフェースをコントロール出来るからとなる。

It has recently agreed to let others build WM9 codecs for Linux

ということで、規格そのものは完全独占はしないものの、それでも有利であることには違いない。
 
 
 
規格寄りの話はこれくらいとして、もう少しフロント側のテーマ、「Will there be a video over IP portal? 」。先に旅行業界での直販の事例が出ていたが、コンテンツが全て直販になるとは考えられない。それぞれのベンダーが自分達のサイトでバラバラにコンテンツ提供をする形が使いやすくないのは、インターネットの世界で検索とポータルの力が強いことで証明されている。
※旅行業界でも全てのホテルや旅館が同じように直販出来るわけではないのでブランドが立っている一定規模以上のところ以外は相変わらず仲介業者への依存は続くと考えられる。

つまり、ポータルと呼ぶか、アグリゲーターと呼ぶかは別として、一箇所で情報をまとめて整理する役割を誰かが果たさなくてはならない。

まず話の流れ上出てくるのはマイクロソフトである。

You can already see a menu hierarchy within the media guide on Windows Media Player.

ということで、codec、OSを押さえているフロント側まで影響力を及ぼすことは予想範囲内と言える。
Yahoo、Amazonは言うに及ばずだが、Netflixが出てきているのは面白い。技術がどうのというよりは

strong early leadership positions and have aggregated key content.

ということで実際にコンテンツへのアクセス権を持ち、かつ具体的な形になっていることを評価してリストに加えられている。そして、RealNetworks。今になって思うと、早く生まれすぎた会社なのかもしれない。
 
 
企業間競争がどうなるかとバックボーンの接続性を別にすると、音声の動きは比較的シンプルである。「誰」は分からなくとも「どのように」は見えて来やすい。比して、動画の方は最終的にどのような形に落ちていくのか現時点でははっきりしない。

While an all-IP world may not happen immediately, you can rest assured that over the next ten years

と語っているように、各社がこれから取る動きで市場の形が決まっていくものなのだろう。
 
〜〜 
他、本論では触れられていないが、Tivoすご録(ソニーと書くべきだろうか。。)のようなハードディスクレコーダーをベースにしたモデルや、ポータル型ではないサーチモデル、RSS+RSSリーダーに含まれてしまうモデルなども考えられる。このあたりはそのうち取り上げる機会も出てくるだろうことから、欲張らずにこの辺で。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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