最終更新時刻:2009年11月7日(土) 10時00分
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バリュエーションの妥協はしない

公開日時:
2008/08/18 08:51
著者:
庄子 素史

バリュエーション(時価総額)は、発行済み株式数×株価で算定されます。
当然、利益が出ていないのに資金調達をする際の株価を、将来計上されるであろう利益に依存して高めに設定すれば、利益はマイナスなのに時価総額が10億円、、、ということもありえます。

一昔のネットビジネスはそうでした。ネット事業であれば将来の利益は保証されていると判断され、創業間もないベンチャーに何十倍もの株価がついたり、上場企業がネット事業に進出するというリリースが出るとそれだけでPERが数倍跳ね上がったりしておりました。

しかし今は、ネットのビジネスが大切なのではなく、ネットで何をするのかが大切になってきています。こう書くと、当たり前なのですが、○○バブルというものの恐さは、中身ではない表面的な部分でバリュエーションが決まってしまっていたという事実ではないかと思います。

勿論、このようなバリュエーションの設定のプロセスは、どこかで破綻が来てしまうため良くありませんが、現在のように投資環境が悪い時期には、逆刃の恐さがあります。

投資会社からしますと、バリュエーションとは投資する際の「仕入」感覚ですから安いに越したことはありません。○○バブルの時は安く仕入れたいのは一緒なのですが、競合の投資会社も有望ベンチャーを虎視眈々と狙っています。そうすると高く出資するという判断にいたりますが、現在では、

エクイティ希望の企業の希望調達額 > VCが出資したい額

という状況ですから、VCからの「仕入」の交渉力は、めちゃくちゃ効きやすいです。株価を安くしないと出資しないと言われる訳ですから、資金を是が非でも調達したい企業は、折れざるを得ません。

正直、無理して資金調達しなくても良い企業は、時期をずらした方が賢明だと思います。その代わり、市況が戻ったら現在提示している株価よりも高い株価で調達すれば良いと思います。その分、事業の進展や利益の幅も増えているでしょうから当然です。

但し、この市況だからこそ、改めてバリュエーションの考え方を見直すべきではないかと思うふしもあります。投資家にとっては、「仕入額」かも知れませんが、起業家にとっては血と汗の結晶である自分の会社の価値を意味します。その宝物である会社の価値が、そこまでありません!と見た瞬間に言われるのは、たまったものではありません。
私もお客様の資金調達の同席することがありますが、最初に事業説明も聞かず、デューデリもしていないのに、資本政策のバリュエーションを見ただけで、
「これ、高いですよね。安くできませんか?」
と始めてしまう投資家もいます。

高いか安いか、妥当かは、事業の内容を詳細に聞いて、その企業の強み、競合との優位性、参入障壁、市場の成長性・規模、経営者のリーダーシップ、従業員のパフォーマンス、足元の財務状況、これからの営業戦略・利益率などの将来の企業価値に影響を与える項目をつぶさに分析した上で、慎重に発言すべきではないでしょうか。

バリュエーションが高いと投資しにくいのは十分に理解していますが、起業家側にとってのバリュエーションとは、投資家が思っているよりも思い入れが強いものであることを、認識する必要があるのではないかと思います。新興市場の株式市況に大きく影響されない投資スタンスを貫くには、先ずはそこからではないかと思います。
勿論、起業家にもいまだにバリュエーションに対して誤った認識を持っている方もいますので、「自分の会社への想い」だけではなく、将来にわたっての企業価値を、論理的に示すことが重要なのは言うまでもありません。

面白いことに事業計画書の数字を集めると、

ベンチャー企業の事業計画書の売上高の総和 > 日本のGDP

になっているそうです。
ベンチャーの事業計画書は、現実から数倍も跳ね上がってしまっているようです。この辺りからも、しっかりと自社の将来の成長性を分析して、適正なバリュエーションを提示する必要性を感じます。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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