前のエントリーで、はてブがいっぱいついた上に、一部の人がケータイ業界全体がヤバいと勘違いされているので、追記。
【現状】
ユーザーは広告と課金に「慣れた」。
【結果】
・広告:あやしいのは押されなくなった。いい広告は押される。
・課金:価値があるものにお金を払うことに抵抗が無くなった。
【結論】
淘汰されていい方向になった。広告を見る価値すらもないくせに無料でテキトーなものを作っているサイトが撲滅してた。一方、お客さんをちゃんと分析してコンテンツを作りこんで、ちゃんと認知・営業しているところは結果を出している。ただし、勝ち組と負け組みがムチャクチャはっきりしている気がする。屍は少なくない。ビッグネームや後光だけで商売してもそのコンテンツがケータイにフィットしないケースもすごくたくさんあるので、その見極めが難しい。何よりお客さんと向き合うことが重要になってきた。
【今後の取るべき方針】
お客さんのことを考えて、いいものを作って、お客さんが納得できる値段でお金を取ること。低コストでやるなら、ターゲットを徹底的に絞って、作りこみ、メディアを選定してリーチをちゃんとすること。商売の基本。
【傾向】
お金を払うことに抵抗がなくなったが、ユーザも目が肥えてきたのでショボいコンテンツでカネを取るのは難しい。競合も多いので認知も大事。しょーもない課金コンテンツをつくっても即死する。要するにユーザのことをだましてカネを取ろうとするバカは即死するいい状況になった。経験的に運営コストを徹底的に下げる努力は惜しんではいけないけれど、手間ゼロでやろうとすると撃沈する。解約率も見続けないと厳しい。
月間見放題の女性向け有名長尺動画コンテンツ300円/月ならバカ売れするが(権利高い)、中途半端なアーティストの待ちうけ1枚100円なんかは即死する。あと、公式サイトの場合は解約率とのバトルなので、ユーザを楽しませ続けることが大事。CRMをちゃんと考えないと一発屋になる。
上記の実例を挙げると、フジテレビオンデマンドはいい例。BeeTVも利益は聞いてないけれど、売り上げはかなり出ているらしい。
・ゲームと課金
ゲームも大事。ユーザが続けて遊びたくなるゲームなら課金しても売り上げが出る。普通に億でているところも結構ある。ただし、そういうゲームの設計は、ゲームもちゃんと面白くないといけないし、アイテム課金や継続課金などでユーザにカネを払ってもらう仕組みをちゃんと作りこまないといけない。コスト感覚が厳しい運営会社が多いので作りこむ余裕が無いところも多い。あまり課金をあおってもウザがられる。注意すべきは、作りこんでもいいけど、相手は超ライトユーザーなので、あまり内容が複雑になるとユーザは速攻離れる。本気でゲームが好きな人はDSで遊ぶ。スペランカーみたいなマゾゲーで青春を過ごしたロスジェネの僕らとユーザーは別の生き物だ。
すごいいい傾向になったなと思うのは、昔は、既存ゲームのリメイクとか番外編の公式アプリが、よく売れたのに、今はケータイオリジナルコンテンツの方が売れるようになったことだ。今のケータイゲーム業界はビッグネームに頼らなくていい。ドラクエ9とかバイハ5とか言っている既存のナンバリング主導型ゲーム業界と違ういい傾向だと思う。おかげで、ケータイの機能を使って、ユーザを絞り込んだおもしろいゲームが作れるようになった。ただし、3キャリ対応にして開発コストをしぼるともうHTMLとFlash Lite1.1しか選択肢がないのが技術的にかなりつらい。不完全燃焼。重いめのアプリゲーの開発案件はかなり減った。軽いアプリはたまにある。単価はかなり落ちた。
個人的には、子供だましコンテンツが多いので、その状況はすごく変えたい。今のケータイゲームで、ぼくらがドラクエやマリオで得られたレベルの感動を与えているとは思えない。刹那な喜びを与えるだけの遊びは社会文化にいい影響は与えないと思う。けど、作りこめない。ユーザがついてこないと企画に反対される...。それは売り上げという意味では正しい判断だと思う。
グリーの成長もありえないレベルになっている。ザッパラスの連続恋愛ゲーも売れている。ケータイゲームでユーザ課金に心理的課金は減った。ユーザーはサーバ内のハードディスクの溝を買うことに対し、感情で課金ボタンを押す。
ぼくはグリーの釣りゲームのどこが面白いのか分からないけれど、それはぼくが歳を取ったという意味なのかもしれない。がんばろう。
・コミックと課金
コミックも数字が出ているところはすごい出ている。ただし、リアルで売れてるものだから売れるとは限らない。儲けたかったら、ケータイユーザにあわせたコミックを売ること。ポケモンと同じで、携帯デバイスは携帯デバイスにコンテンツを作りこむべきだ。最近は、ケータイ専用にターゲットをしぼって、マンガ製作をして、完パケで卸しているところもある。それが大手出版社の作品をブチ抜いて、ダウンロードランキングの上位やトップに躍り出ることも少なくない。
むしろ、そういう作品の方が権利料が圧倒的に安く、サイト運営会社にとってメリットがでかい。今のケータイコミック業界はビッグネームに頼らなくていい。
わかりやすい例で話すと、横山光輝の『三国志』全60巻をケータイで読む人はあまりいないけど、4〜10話くらいで終わって、面白くて、短くて、笑えて、ちょっとエッチでドキドキする話で釣りタイトルをつけたオリジナルコンテンツの方がケータイでは売れる。あと、コミックは1話たった1MB程度なので動画よりトラフィックコストが低い。
【ケータイ広告のよくないこと】
ぶっちゃけ実質インプレッションとかページビューとかの正確な数字は、運営会社のサーバのログかキャリアのデータを見ないと誰もわからないことです。「うちのサイトのページビューは108億あるぞ!」と言っても、キャリア以外で誰も証明する方法が無い。PCだとAlexaやgoogleのPage RankやNet Ratingsがテキトーでアバウトな指標にはなるんですけど、ケータイは全体のレートを見る指標がない。
ある上場企業ですら、Google/Yahoo/Baiduのクロール攻撃を受けまくって、それをPVに加算しているという噂を聞いたことがある。
【ケータイ課金とケータイ広告のエコシステム】
ケータイ課金コンテンツでアクティブな所があるけれど、導入はケータイ広告に頼る部分も多いので、その循環はエコシステムになっていると思う。ただ、サイト以外の広告も効果がすごく高くなってきている。ターゲットを絞って、メディアを選んでリーチするのにネットかリアルかはあまり関係ない。
【iPhone】
iPhoneについての現状に対して個人的な考えを独断と偏見で書きます。今現在、大手の携帯コンテンツ会社でiPhoneに参入していないところの方が多い。iPhoneというガジェットに熱狂する気持ちは痛いくらい分かる。冷静に数字で考えてみて欲しい。
・既存コンテンツ:3キャリア対応で、ターゲットは5000万人以上。公式は月額課金。月額300円なら、年間客単価数千円は取れる。たった会員数万人で数千万〜数億円をたたき出す。開発費用はこなれている。CMSや開発ツールも人材も探せば結構いるし、値段も叩く余地がある。
・iPhone:3位のキャリアで、国内は100万台切るくらいのターゲット数。touchを含むと世界で4000万台。基本的にコンテンツは買いきり一回課金で100〜500円くらい。平均150円くらい?開発費用は高く人材を見つけるのも大変。10万個売れるアプリは5%しか無い上に、10万個売れても売り上げ1000万円台ということもざらだ。
あなたがあまり資金が潤沢でない経営者なら、今の不景気の中、既存コンテンツの企画とiPhoneの企画が来たら、どちらを通すだろう?短期的な目で見ると答えは出ている。ただし、iPhoneの流れはしばらく止まらないし、海外では複数キャリア対応もでてきたので、情勢は変わっていくと思いたい。
ただし、ビジネスにする方法はいろいろあります。iPhoneアプリとなにか別のサービスみたいな形でのビジネスは数字が出ていると思うし、需要もある。
【言いたいこと】
商売を長く続けるならお客さんと向き合って、清く正しく嘘をつかず正直にやった方がいいと思う。
09/07/30 20:38 iphoneについてつっこみがあったので追記。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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