[ゲスト] 宮川 達彦 Tatsuhiko Miyagawa
11月19日(金)〜11月25日(木)までの間、梅田望夫さんの代わりに宮川達彦さんがゲストブロガーとして登板します。
宮川さんのプロフィール:1977年9月神奈川県生まれ。東京大学理学部卒、2000年に株式会社オン・ザ・エッヂ(現 株式会社ライブドア)入社。2003年9月より執行役員Chief Technology Architectとして、Blogを中心とするWebサービステクノロジーのエバンジェリスト活動や社内WebアプリケーションフレームワークSledge(オープンソースで公開されている)の開発などの活動を行っている。PerlコミュニティではCPANモジュールの登録などを積極的に行っており、Shibuya Perl Mongersのリーダーとしてテクニカルトークなどのイベントを定期的に実施している。個人で運営しているWebサイトに、ニュースコンテンツのメール配信やRSSフィード配信を行うBulknews、RSSフィードの検索エンジンBulkfeedsなど。いくつかのBlogを運営しているが、メインはhttp://blog.bulknews.net/mt/ 。 |
本日から4日間、梅田さんに代わりゲストブログを担当させていただくことになりました、宮川です。よろしくお願いします。
ライブドアにおけるテクロノジーへの取り組み
ちょうど4回のゲストブログ分のネタを整理していたところに、梅田さんから
「ライブドアというのはどういう会社なのか。ライブドアにとってテクノロジーとはどういう意味を持っているのか。そんな内容を思わず期待してしまいます。 」
と書かれてしまいました。ちょうど1月半ほど前、プロ野球参入問題で話題となっていた楽天とライブドアを題材に、梅田さんが書かれたエントリ「Googleと楽天・ライブドアを比較することに意味はあるか」へのアンサーが求められているのでしょう(笑)。早速その話題に行きたいのですが、その前に、私がライブドアという会社でどういうポジションにいてどのようなことをやってきたか、簡単に紹介したいと思います。
私の現在の肩書きは "執行役員 Chief Technology Architect" というものです。日本ではあまり聞きなれないかもしれませんが、ひらたくいえば技術担当執行役員といったところで、事業部制をとっているライブドアの中ではめずらしく、組織図的に若干ニュートラルなポジションにいます。その前は、2002年から2003年にかけてウェブ制作のセクションで、B2Bのシステム開発のVP(上級副社長)を経験していました。会社が旧ライブドアをM&Aし、自社から直接コンシューマに向けたサービスを強化していく中で、「最先端の技術トレンドを分析、また実際に手を動かして評価し、社内のサービス・システムにフィードバックしていく」というミッションとして現在のポジションに移ったというのが(大ざっぱな)経緯になります。
実際にどういったテクノロジーを評価、また実装しているかについては、私のBlog blog.bulknews.net を参照していただけるとよくわかるかと思います。実験的に立ち上げているいくつかのサービスについても明日以降のエントリで取り上げる予定です。
ライブドアにとってのテクノロジー
では本題に。ライブドアはテクノロジー企業なのでしょうか? その答えを一言で言いきるのは難しいところです。ライブドアがテクロノジーについて敏感な企業であるか? といえば YES になるのでしょうが、テクノロジーセントリックな企業か? といわれるとそれは NO ということになるでしょう。
ちょうど Google と比較するとわかりやすいので簡単に整理しますと、Google はWebのような大規模なドキュメントをスケーラブルに検索できるエンジンと、それを実現するための巨大なハードウェア群、そしてデータセンターをインフラとして持っています。その検索の性能を武器に、AdWordsという広告代理店的ビジネスで収益を上げたのが第1のフェーズとみれば、今後はその基盤をもとに、BlogホスティングサービスBloggerやフォトシェアリングのPicasa、衛星写真のKeyholeといったサービスを垂直的に統合してユーザに提供していく。もちろん GmailやOrkut、Google Desktopもこの戦略に乗っていると見るのが自然でしょう。
Googleはそのテクノロジー中心の文化をもとに、「Webを支配する土台」となるオペレーティングシステムを作り上げ、それを武器に「Webを支配する」態勢に入っているといえます。(余談ですがPaolo Massa Blog: What Google Knows about You では、Google のサービスを利用していて知らず知らずのうちに Google に握られているデータのリストを公開しています。これを見ていると Google World Domination というのもあながち冗談ではないのかなぁ、なんて気がしてきます。)
さて翻ってライブドアですが、Googleのようなコアコンピタンスとなる強靭なテクノロジーというものは基本的には保持していません。もちろんエンジニアのレベルは個々では優秀な部類で、アプリケーション面では、自社開発のオープンソースフレームワークを共通武器に、インフラ面でも、テレビなどで話題になり殺到しているトラフィックも自社のデータセンターでほぼすべてまかなっており、その強みは間違いなくあると思います。
ただ、この会社にとってそうした技術面での強みは、1つの要素ではあるものの、それがよりどころとなるようなコアなものではないということは言えると思います。ちょうど同様の立場から書かれている GREE の田中良和氏のエントリ「ネット産業は、サービス産業かテクノロジー産業か?」がよくまとまっているので引用しますと、
「で、たしかに、日本にはテクノロジーな企業がぱっと思い浮かばないぐらい少ないのですが、僕が思うにこれはシンプルな問題で、(楽天しかり)「生活密着型サービス産業」のほうが儲かるから、ということだと思います。
...
#楽天の例で言えば、そんな凄いECシステムも、多くの店舗と購入者が存在するから、初めて価値があるわけで、システムだけ持っていても、そんなに収益を上げられるはずもありません。サービスとテクノジーが両輪といっても、優先順位があるわけです。 」
ライブドアでも同じことは言えるわけです。ただ具体的なサービスのアプローチの仕方として、Yahoo!や楽天と比較すると、ライブドアではより先進的なテクノロジーであったり、日本の市場ではまだ馴染みがないようなサービスでも積極的に取り入れていく、というところに違いは見出すことができるんじゃないでしょうか。
「節操のない」ライブドア
海外のサービスと比較すると面白いのでいくつか紹介しますが、NetflixのようなオンラインDVDレンタルとして ぽすれん、FeedsterやTechnoratiのようなBlog検索として未来検索livedoorがあり、また先日は高音質のIP電話ソフトを提供するスカイプ社との提携を発表していて、「他にはない、面白いサービス」の集合体としてみたlivedoorの魅力は、かなりあるんじゃないかと感じています。
これを節操がないと評価する人もかなりいるようで、実際個人的にもそのように感じることもあります。しかし逆にいうと、それがライブドアの戦略ともいえるんじゃないでしょうか。1つの事業ドメインに特化することはリスキーだからしない、というのが経営上の戦略ですが、コンシューマ向けのサービスにおける技術にもそれをあてはめることもできるのかもしれません。
ライブドアにとってのテクノロジー、という視点で、簡単に私なりの考えを紹介してみました。明日は本稿でもちょっと触れた個人的なサービスの試みとして、Bulknews や Bulkfeeds、そしてそれらのサービスで扱うメタデータフォーマットRSSのもたらしたものについて考察してみます。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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今回のテーマである『e-businessはテクノロジー企業なのか、それともサービス企業なのか』は、個人的にも興味を持っております。
自分自身では、次のように考えております。
『おそらく、e-businessへの技術的シフト≠ヘ時代の要請として理に適っていた。ところが、この技術シフトを、米ウォール街をはじめとする投機家達は、個々の技術評価をすることなく、市場の注目度面から投資を実施した。その結果として、誰もが知るところとなったドットボムを引き起こすに至った』。
けれども、『高速ネットワークを活用した様々なサービス提供自身は、大きなお客様バリューを提供するものである。果たして、e-business企業≠フコア・コンピタンスは何なのだろうか』と。
すると、お客様バリューの視点から、次のようなキーワードが浮かんでくる。
『知名度』『お客様経験価値』『新技術・新サービスの早期提供』『リアルよりも安価に商品購入可能』
『ダイレクトに顧客情報を入手できる』『メールID獲得によるプッシュ型ビジネスの容易性』など・・・。
確かに、米国先進企業の多くが、
自社のホームページやWebサービスに対して積極的なアプローチを展開していると思われる。
ターゲットは、『蓄積された膨大なデータの有効分析』ではないだろうかと。
Web経由で得られたデータは膨大であるけれども、
これら情報は、まさに『金の成る基』であると思われる。
さらに、サービスを受けるお客様視点から見ても、
メールボックスに毎日のように送付される、削除という手間が発生するセールスメールのバリュー確度を高めることができるからだ。
ブロードバンドを経由して構築される『B2B』『B2C』のリレーションは、構築が容易であるが、離脱もしかりではないかと予想される。
真に、提供サイドとサービスを受けるであろう
レシーバのお客様との間に、信頼関係≠継続構築することこそが求められているのではないかと思われる。同時に、セキュリティや認証などへのサービスレベルを高める技術の必要性も高まってくるだろう。
オープンソースを活用したビジネスモデルは、
『模倣』『コピー』が容易であるため、
リアル・ビジネスよりも参入が簡単だ。
われわれは、ドットコム・ブームで痛い体験をしたことからも想像が可能だ。
これからの『e-business企業』は、見えるサービス≠ニ見えない技術≠フ両面が求められていると思われる。