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Looking Glassに見るシリコンバレー流ソフト開発の醍醐味

2004/11/09 09:14
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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トラックバックをいただいた「わんこ日記」の10月のダイアリーを読んでいたら、SunのLooking Glassプロジェクトについての、開発者・川原英哉さん自身による文章が紹介されていた。

Java ベースの次世代デスクトップ環境・Project Looking Glass の全貌」だ。Looking Glassについては、CNET Japan8月31日の記事「マイクロソフトもマネするサンの3Dデスクトップシステム、Looking Glass」でも、簡単に取り上げられていた。

川原さんについては、NSUGシンポジウム・サイトでの紹介が簡潔で面白い。

「川原 英哉(かわはら ひでや)
米国ドットコム・ブームのまっただ中、急速に拡大中だった JavaSoft(後に Sun 本体に統合)にまぎれ込むことに成功。 以来、情報家電向けの Java VM 技術を中心に下積み修行を重ねる。2年ほど前、ふとしたはずみで 3D デスクトップの 開発を趣味で始め、ふとしたはずみで、それが Sun の正式 なプロジェクトになってしまう。以来、プロジェクトリードとして奮闘中。オープンソースコミュニティと共に、めちゃくちゃかっこいい次世代デスクトップを提案していくのが夢。 」

いまはSunの本社で、「ソフトウェア CTO オフィス,先進開発グループ Project Looking Glass リードエンジニア」というタイトルで仕事をされている。

「ふとしたはずみ」で始まったプロジェクト

この紹介文の中の「ふとしたはずみ」とはどんなことだったのだろうか。

それが、「Java ベースの次世代デスクトップ環境・Project Looking Glass の全貌」という文章の中で、活き活きと描かれている。

彼は、なぜ3D GUIが進化しないのかと疑問を持ち、

「多くの既存のアプローチは,デスクトップをバーチャルリアリティのような 3D の世界に持ち込もうとしている.これは,一見派手ですが,使い勝手に問題がでてきます.そこで逆に,現状の 2D デスクトップをベースにして,3D の要素を要所要所に組み込んでいくというアプローチはどうだろう?」

という結論に達し、

「新しいラップトップを購入すると同時に,コンピュータギークな日々が始まりました.帰宅後と週末の大部分は開発に充てました.人付き合いの悪い変人状態を 1 年ほど続け,ようやく人様にお見せできるようなモノが出来上がったのが,昨年の 7 月中旬でした.」

という「変人状態」の生活を1年続け、プロトタイプを完成する。2002年夏に開発を始め、2003年7月中旬にプロトタイプができたというタイミングである。そして、そこからがシリコンバレーらしく、「ふとしたはずみ」につながっていく。

「それ以降,プロジェクトは,まさにシリコンバレー独特の展開を見せます. 折角デモを作ったので,Sun 社内のデスクトップ部門の知り合い達に見てもらうために簡単なミーティングを設定してもらったのですが,そこにひょっこり当時デスクトップ部門の副社長であった Curtis Sasaki が顔を出します. 彼はデモを甚く気に入ってくれ,翌日には,当時ソフトウェア部門の執行副社長であった Jonathan Schwartz (現 Sun 社長) へのデモを設定してしまいます.」

そして翌日。

「Jonathan はデモを見るや否や,『数週間後の LinuxWorld で見せるべきだ』と言います.」

そして数週間後。

「発表の前日にプロジェクト名が決まり,同じ頃,Sun ソフトウェア部門の先進開発グループ内で本プロジェクトを正式に推進するための調整が進み,現在に至っています.」

これが「ふとしたはずみ」の現実だったのである。

「Sun は今でこそ大きな企業になりましたが,その動きは極めて軽い.スタートアップの頃の精神を維持しています.技術革新のネタには極めて貪欲です.副社長が一般のエンジニアのミーティングに顔を出したり,ネタを見つけたら強引にプロジェクトにしてしまう強力なリーダシップが存在します.これが,日本企業が協力/競争していかなければならないシリコンバレー企業の生態です.」

日本企業で働いていたこともあるらしい川原さんは、こう書いている。

人間国宝級のプログラマー

ところで、以前本欄でご紹介したシリコンバレー企業で働くソフトウェア・エンジニアの松原晶子さんが、「シリコンバレーで40歳を過ぎて現役プログラマーの人たちの中には、人間国宝のように凄い人がいる。書くコードはほれぼれするし、一緒に働けることを幸せだといつも思う」と僕に言っていたけれど、川原さんも、Looking Glassが本プロジェクトと認定されてから、Lisaの開発者の一人と一緒に開発するようになり、その嬉しさをこんなふうに表現する。

「もう一点,本プロジェクトで感激したことがあります. ユーザインタフェース設計のエンジニアとして,Frank Ludolph という人が参加していますが,実は彼は,元 Apple で Lisa の開発に携わった人物です (写真 2). Lisa といえば Macintosh の前身で,Apple 最初の伝説の GUI マシンです. そのデスクトップの設計/実装の中心となったエンジニアは 2 人いたのですが,彼はそのうちの一人です.
そんなエンジニアと一緒に WIMP を乗り越える次世代技術を追求できることに何か不思議な縁を感じるとともに,運の良さをかみ締めています. 米国企業では,生涯第一線のエンジニアとしてキャリアパスをつめます. Frank は,過去 20 数年 GUI 設計に第一線で携わった人物. その蓄積は,一味もふた味も違いを出します. エンジニアの層が厚い.これが,シリコンバレー企業の強みの素の一つだと思います」(文中、WIMPは、「Window,Icon,Menu,Pointing device」のこと)

川原さんの「ふとしたはずみ」、そしてこの「感激したこと」を読み、Looking Glassプロジェクトによりいっそう興味をいだいた。

オープンソースとしてどう発展していくのか、今後の進展を見つめていきたいと思う。

川原さんの文章は、冒頭でご紹介した文章に加えて、続編もある。技術の詳細に興味のある方は、ぜひそちらもお読みください。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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