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ゲーマー世代の若者といかに付き合うか

2004/11/01 09:07
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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sameo(友人)のダイアリーを読んでいたら、「「サロンに改革者はいない」に触発されたネット世代論」というエントリーに出くわした。最近の野球新規参入問題をめぐる新聞論説に対する感想として書かれたもの。そこで、楽天の三木谷社長、ライブドアの堀江社長の7歳の年齢差に着目し、

「 三木谷は38才。堀江は31才。Mosaicがネットで公開された1993年に二人は27才と20才。日本興業銀行の行員と学生と二人のおかれていた立場はずいぶんと異なる。

 つまり私の中で、概ねネット世代かそうでないかは1993〜1994年時点で20〜24才であったかそれ以上であったかということで判断される。つまり分水嶺は1969〜1974年生まれ、今年30〜35才ということになる。」

と彼は書き、2人をめぐる新聞論説に、若干の違和感を表明している。

以前も本欄でネット世代論については書いたけれど、「証明せよ」と言われれば困るが、僕もsameoと同じく、1970年生まれ前後のあたりに、何か明らかな分水嶺があるように感じている。ちなみに、Google創業者の二人は1973年生まれ。sameoの議論をあてはめれば、「Mosaicがネットで公開された1993年」、彼らは20歳の学生であった。

1970年代生まれ以降の米国ゲーマー世代の分析本

さて、今日ご紹介するのは、HBS Working Knowledgeの「Managing the Gamer Generation」という記事である。最近出版された「Got Game: How the Gamer Generation is Reshaping Business Forever.」という本の著者インタビューである。

この本も、やはり「1970年生まれ以降の人々」というところで線を引くのだが、ネット世代という表現ではなくゲーマー世代と表現する。

「They are different from you and me, this generation born after 1970. They grew up with a finger on the keyboard and an ear to the cell phone, and in a world where the forces of globalization have broken down national barriers like no time in history.

And right now this group is moving up in the business ranks, becoming managers, partners, and eventually CEOs. Chances are you manage employees from this generation, and it's not far-fetched to believe you may yourself be managed by them before you check out of your career.」

冷戦構造が崩れた1980年代末にまだ20歳にもなっていなかったゲーマー世代が、ビジネス世界の視界に入ってきたわけで、Googleの創業者ばかりでなく、CEOになる連中まで出てきている。

先週月曜日にご紹介した、ワールドシリーズを制覇したBoston Red SoxのGM(30歳)、Theo Epsteinも、この本が定義するゲーマー世代ということになる。本の読者に対して、「あなたがたが引退する前に、この世代の連中の下で働くことになるかもしれないから、この世代の連中の特徴をよく知っておいたほうがいいですよ」というような売り言葉も用意している。

たかが世代論であるが、されど世代論。まぁ軽い気持ちで読んでみましょうか。

ゲーマー世代と上の世代の違い

インタビュアーは、

「You draw a distinction between the baby boom generation, who viewed gaming as a diversion, and the gamer generation, who grew up with games as part of their culture. What is important about this difference?」

という問いから始める。アメリカのbaby boom generation(ブーマー)というのは結構広くて、「1946年生まれから1964年生まれ」の間ということになっている。つまり、2004年現在時点で39歳から58歳なのだから、アメリカ・ビジネス世界の中心で現役で活躍する人たちは、ほぼ皆このブーマー世代である。

「This has created massive differences in perceptions about how one looks at the world—how to approach challenges, evaluate risk, and manage other people.」

ゲームの進化とこの世代への浸透は、「世界をどう認識するか、つまり、どうチャレンジに立ち向かい、どうリスクを評価し、どう他者をマネージしようとするか」という点で、上の世代との間に大きな違いを作り出した、とこの本の著者は言う。

「They see the different companies—and maybe the people they work with—as "players." They're way more competitive and are very passionate about "winning." They are both more optimistic and more determined about solving any kind of problem you can imagine; they think there's always going to be some combination of moves that will result in success. That drives them to be incredibly creative. They're a bit suspicious of company leaders: The game world is not big on following hierarchy. Plus, they are very confident. Like entrepreneurs, they would rather rely on their own abilities to succeed or fail. They're also more comfortable with risks, but aren't reckless.」

この部分が、この本のテーマの要約に近いと思うが、
(1) ゲーマー世代は、他社や他者を「(ゲームの)プレイヤー」と見なす。
(2) ゲーマー世代は、(ブーマー世代に比べて)、より競争的で、「勝つ」ことへの執着が強い。
(3) ゲーマー世代は、想像し得るどんな問題を解くことに対しても、より楽観的で断固としている。
(4) それは、ゲーマー世代が、成功にたどりつく解(行動の組み合わせ)が常に存在すると信じているからだ。
(5) そのことが、ゲーマー世代を、ものすごく創造的な方向に動かしている。
(6) ゲーマー世代は、企業のリーダーに対して不審を抱いている。
(7) ゲーム世界は階層構造を重視しないし、ゲーマー世代は、自らに対してものすごく自信たっぷりなのだ。
(8) 起業家のように、ゲーマー世代は、成功・失敗は、自分の能力次第と考える。
(9) ゲーマー世代は、(ブーマー世代と比べて)、リスクを取ることになじんでいるが、無謀ではない。

何だか、凄い褒め様である。

ゲーマー世代は「resilient」

そしてさらにゲーマー世代への賛辞が続く。

「Gamers are also resilient. They know failure is survivable, because they have each failed literally thousands of times on the way to whatever success they have had with games.」

Resilientという言葉は、911直後のアメリカで耳にたこができるほど聞いた言葉の一つであるが、何か衝撃的な出来事が起こった後の回復力の強さを意味する言葉。

僕自身、アメリカで暮らして10年、このResilienceをどう自分の身につけるかというのは、いまだに優先順位の高い、永遠とも言うべき課題である。そんな大切な能力が、ゲームをやっているゆえに、「彼らは失敗してもサバイバルできることを知っている」なんてことで身に着くものなのでしょうかねぇ。そういう感想を持ってしまうこと自身が、もう世代論特有の罠にはまっているということなんだろうな。

ゲーマー世代との付き合い方

ままいいや。もう少し読んでみよう。

「Today's work environment is largely about team performance. Aren't gamers loners?」

という質問(つまりゲーマー世代は人と付き合うことがうまくないから、チームで働かなければならない実世界でどうなの? という背景の)に対して、

「This is one of the huge points creating the generation gap. Gaming is actually much more social than boomers understand. A lot of it is very social, done with friends, and now increasingly, over the Internet. Maybe as a result, gamers really value other people—more than people who didn't play games growing up. They also firmly believe in a team environment.

But they're not egalitarians—they believe someone should lead, they are generally happy to do it, and they have more skills than other people their age, more fluency with different leadership styles.」

そういう質問をすること自身、世代ギャップを感じますねぇ、というのが著者の感覚。ゲームはより社会的になっているから、新しいタイプのリーダーシップもゲーマー世代には身についている。

ゲーマー世代の労働倫理について質問者が疑念を示すと、著者はこう反論する。要は、使い方次第なのだよと。

「We've heard those complaints. But what we found, to our surprise, is that gamers actually care about the companies they work for more than non-gamers. That may not always show, especially if you're using boomer standards. The secret is, gamers love a challenge and if properly motivated will rise to the occasion. They want to be respected and they want to earn that, but gaming hasn't given them a lot of appreciation for doing things "just because." So it's smart to get them excited about the goal. Make the work mean something to them.」

このへんになってきて、ようやく、この本がどういう性格の本なのか、という著者の意図が見えてくる。

好むと好まざるとに関わらず、上の世代にとってやや理解不能な一群の若者たちがビジネス世界に現れて来つつあるアメリカ。この本は、上の世代(いまのマネジメント層)が、若い世代をおだてあげて、木に登らせて、うまく利用するにはどうしたらよいかを考えるための材料を提示するものなのである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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