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M&Aの増加はエンタープライズ市場構造変化の兆し

2004/10/21 09:00
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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今日は、「Burnham's Best」というBlogから「'Big Bang' Software Mergers」を取り上げよう。10月13日の本欄「「キャズム」流、エンタープライズ市場の構造変化」で詳述したように、いつになるかは正確に読めないながらも、エンタープライズ市場に大きな構造変化が起こる。そのことについてのコンセンサスはできつつある。となると既存産業側には再編圧力がかかり、どことどこが合併するんだろう、どこがどこを買収するんだろう、なんて話が花盛りになる。現実に小ぶりなM&Aは既にずいぶん起きている。

「Already this year 11 public software companies have been acquired, with Netegrity becoming the latest victim when it announced last week that it was going to be acquired by Computer Associates. While this year’s acquisitions have each been interesting in their own way, there have still not been any “big bang” acquisitions that involve true household names or seriously threaten to disrupt the existing status quo in the software industry.」

想定される大型M&A

10月6日に、Computer AssociatesがNetegrityを4億3000万ドルで買収したのだが、今年に入って11個目の公開ソフトウェア企業の買収だ。月に1件のペースだ。ただこれらの11件は小ぶりの案件。そろそろでかい話が出てくるんじゃないか、ということで、このBlogは、ソフトウェア産業における大型M&Aを予想し、その案件の当事者両方の視点からのM&Aの意義を思考実験しているものだ。

その4件とは、(1) HPによるBEAの買収、(2) IBMによるSunの買収、(3) IntuitによるMcAfeeの買収、(4) IBMによるPeoplesoftの買収である。

10月13日にご紹介したGeoffrey Mooreが行なった講演のスライド(PDF)と重ね合わせてみると面白いかもしれない。

ただ、こういう話は、一行一行解説するような話でもなく、スポーツ紙でワールドシリーズの予想を読むような、面白半分のいい加減な気持ちで読んでください。ああでもないこうでもない、そんなわけないだろ、とか言って、ギーク連中がスーツ連中をバカにするためのネタでもあります。

Googleに移ったBEAのチーフアーキテクト

ふと思ったのがBEAのことである。BEAという会社は、インターネットの登場とともに、Mooreの定義で言うところの「Application Infrastructure」層にしっかりと根を下ろしたチンパンジーである。1995年設立だから、AmazonやYahooやeBayと同じ時期に、インターネットの可能性に突き動かされるように起業して成功した企業である。それが今頃になって、HPの買収候補として話題に上っているわけである。

BEAといえば、最近チーフアーキテクトがGoogleに移ったことでも有名である。

「Adam Bosworth, a software industry icon and the secret weapon behind several products including Borland Quattro, Microsoft Access, Microsoft Internet Explorer and BEA WebLogic application server and Workshop, has left BEA Systems to begin work at Google.」

少し余談になるが、Adam Bosworthという人の経歴が面白い。

「In an interview with eWEEK earlier this year, Bosworth said he worked for several years after college as a programmer developing banking systems before founding his own startup, known as Analytica.

Borland Software Corp. acquired Analytica, and Bosworth worked there for a few years before going to Microsoft Corp., where he made his mark on several products, including Visual Basic. He left Microsoft to found a company called CrossGain, which BEA eventually acquired. 」

彼は大学を出たあとしばらくソフトウェア開発の仕事をしたあとに、Analyticaという会社を創業。それをBorlandが買う。Borlandなんて懐かしいですねぇ。そして数年Borlandで働いて、それからMicrosoftに行く。そこでVisual Basicを含む複数の製品に関わる。Microsoftを離れてCrossGainという会社を創業して、それをBEAが買う。そしてチーフアーキテクトになる。

ベンチャーでも大企業でも働けるギーク

こんなふうにベンチャーを創業することもでき、大企業のチーフアーキテクトみたいな仕事もできる、という人は実は珍しい。その「a software industry icon」たるBosworthがGoogleに行ったというのは、今という時代の気分を象徴している。日本では人の流れがあまり起きないが、アメリカ、特にシリコンバレーでは人の流れや会社の流れ(買収や合併)を見ていると、時代の大きな流れが見えることがある。

そのBosworthもBlogを書いている。その名もストレートに「Adam Bosworth's Weblog」である。そう頻度は高くないBlogだが、さすがと思う視点がある。日本のアルファギークの若い人たちはときどき読んでみると面白いかと思う。

最近話題になっていたのは、「What is the platform?」というエントリーである。彼がMicrosoft時代に、Microsoft社内で考えられていたプラットフォームの定義が、いかに今の時代に合わなくなってきているかということを述べたあとで、こう書く。

「Open Source has shown us that well understood software can and will be commoditized. The operating system has been. The Web server has been. The Applications Server (to the extent folks need it) has been and more message buses are being written in open source. The entire XML processing stack is open source. So the value in "well understood" software today is in the support, not the code. The community that forms around open source software seems quite up to the job of educating itself. The real value in my opinion has moved from the software to the information and the community.」

オープンソースというのは、「well understood software」(十分に理解されたソフトウェア)から順々に、ソフトウェアをコモディティ化している現象だ、というのが彼の視座だ。まずはOS。そしてウェブサーバー。アプリケーションサーバー、・・・。

だから「well understood software」(十分に理解されたソフトウェア)における現在の価値はコードにあるのではなく、サポートに移行。ただ、産業全体における真の価値は、ソフトウェアから情報とコミュニティに移行してしまった。

O'Reillyも含めて言っていることは皆、同じ。ただこの文章は、彼がなぜBEAからGoogleに移ったのかということのロジックを語っているようにも読めるのである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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