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仕事と生活のバランスに悩むアメリカ人

2004/10/12 08:51
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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Fast Companyの「Balance is Bunk!」という長文記事(ウェブで7ページ)のエッセンスを今日はご紹介しよう。ちなみに、Fast Company誌は、発売から3週間くらいたつとそのコンテンツは全部、無償で読めるようになる。

「バランスなんてごまかしだ」というこのタイトルのBalanceとは、「仕事(Work)と生活(Life)のバランス」のこと。

アメリカを支配するバランス志向

何とか1日の時間を上手にやりくりして「仕事と生活のバランス」をうまく取るようにしよう、というのはアメリカ人が皆考えることなのだが、だいたいはうまくいかないもの。

「The truth is, balance is bunk. It is an unattainable pipe dream, a vain artifice that offers mostly rhetorical solutions to problems of logistics and economics. The quest for balance between work and life, as we've come to think of it, isn't just a losing proposition; it's a hurtful, destructive one.」

筆者Keith H. Hammondsは、そもそもバランスなんて考えが達成できっこない夢想なのであり、仕事と生活のバランスを追い求めることこそが負け戦だと言う。ちなみにこのバランス追求論は、

「This is not, of course, what many of us want to believe. In the last generation, balance has won huge cultural resonance.」

とあるように、アメリカでこの20年、多くのビジネスパーソンが信奉してきた考え方なのだ。

「That's the point of on-site day care, of breast-feeding rooms, of flextime and telecommuting and take-home dinners from the company cafeteria -- and, more notorious, in days of dotcoms past, of take-your-pet-to-work policies and foosball tables.」

職場の託児所、授乳室、フレックスタイム、テレコミューティング、会社のカフェテリアから家に夕食を持ち帰ることができるサービス、ペットと一緒に働ける職場環境などなど。こうした企業側の施策も皆、このバランスという考え方ゆえのものである。

「Google offers workers a slew of benefits (On-site dental! Dry cleaning!) billed as "balance enhancers."」

なんて書かれているが、たとえばGoogleはその考え方を極端なまでに押し進めている会社だ。たとえば社内に歯医者もいればクリーニング屋もあって、会社がそういう支出を「社員のバランス向上費用」として負担する。そういうベネフィットが膨大にある。Goolgeのサイトに行ってみれば、そんなことがたくさん書いてある。カフェテリアがあまりにも旨いので有名でもある。ただバランスという美名のもとに、「後顧の憂いなく仕事できる環境を用意するから、とにかく会社に住むようにして働いてたくさん仕事をしてくれ」と会社側が言っているということでもある。

そして「バランス追求」と自分では思って満足しているこうした生き方というのは、結局は、ハッピーワーカホリックを生み出すことになっている、というのがこの記事の筆者の主張だ。

「Most achievers don't work hard just at work. They think about their work a lot of the time outside the office. Even if they acknowledge the value of paying attention to their families or their health, they're consumed -- and thrilled -- by the task at hand. Stewart Friedman, a professor at the University of Pennsylvania's Wharton School, and Sharon Lobel of Seattle University have a term for such folks: "happy workaholics."」

両立よりも割り切りが大事

では筆者は「バランス志向」に対して、どういうソリューションを提案しているのだろうか。

バランス論の「甘い誘惑」などにだまされずに、「何かを追求するということは同時に何かを捨てているのだ」ということを正しく認識し、その認識から出発しろ、ということである。

そして2つのことを具体的に提唱する。1つは短期的ソリューション。もう1つは長期的・構造的ソリューション。

短期的ソリューションとしては「switch and link」ということを言う。

「One is rooted in the short term. In their interviews and surveys, Nash and Stevenson learned that successful professionals who were also happy had found ways to "switch and link" -- to switch the focus of their full attention with lightning speed among activities and people in different realms.」

いわば「切り替え」である。仕事と生活をゴチャゴチャにまぜたようなバランスを夢想するのではなく、仕事から生活への「切り替え」を光速で行って、そのときそのときにやっていることに全てのアテンションをかけるべきで、

「David Zelman, a psychotherapist and executive coach, sees this as a crucial skill successful people must learn.」

これこそが、成功するために絶対に学ばなければならないクリティカルスキルだと、あるExecutive Coachは言う。確かに、この「切り替え」という問題は、言うは易いが、本当にものすごく難しいことだと思う。

人生全体でバランスを取る

長期的・構造的ソリューションとしては、ある時点で「バランスによって幸福になろう」なんてことを考えるのではなく、生活とキャリアについての人生全体でのポートフォリオで考えろということである。

「The other solution is more about structure. It forces us to take a long-term view. Give up on the promise of balance at any point in time. Instead, consider a life and career as a portfolio.」

バランス志向というのは、「仕事と生活のバランスを取ることさえできれば、その状態を長く続けることができる」という発想に基づいているが、そうではなく、

「In each chapter, we have different responsibilities and priorities: children, home, travel, aging relatives. We face a corresponding variety of roles and opportunities on the job: a big project, moving up the managerial hierarchy, consulting, a startup, a top leadership role.

Balance, for what the word is worth, then becomes a lifelong quest -- balance among chapters rather than within each chapter.」

人生をたくさんの章に分けて、その章それぞれの中でのバランスを追求するのではなく、人生全体の中でバランスを追求するように発想を変えろ、と言うのである。そしてそれはあらかじめ計画的に実行できるものではなく、環境変化に対して、常にそういう意識で人生をリデザインし続けろということで、結婚すれば、夫婦間での役割分担なども時間軸の中で常に変化させていくべきだというようなことも含まれている。

アメリカでは最近、仕事論がとても盛んである。

記事中のオフショアリングの話については今回は省略したけれど、そういうグローバル化の影響も含めて、自分たちの「仕事と生活」もっと大きく言えば「幸福の追求」について、アメリカ人たちが以前のような牧歌的な幻想を抱き続けることができなくなってきた現われと言えるのだろうと思う。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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