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Amazon、Yahoo!、eBayと楽天は何が違うのか

2004/10/05 09:00
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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先週の「Googleと楽天・ライブドアを比較することに意味はあるか?」に対して、楽天の田中良和さんからトラックバック「ネット産業は、サービス産業かテクノロジー産業か?」をいただいた。またついさっき読んだ「e-Japan時代の情報政策(下):情報家電産業の課題:経済産業省 村上敬亮氏」の内容にも刺激されたので、今日はそんなテーマで。

田中さんは冒頭でこう書かれている。

「よく、多くの人に、楽天って(技術的に)あんまり目立ったところないよね、とか、(それに比べ)Googleやっぱすごいとか、言われたり、逆に、(ベンチャーとして)楽天は相当凄い、と言われたり、そういうことを日々目にする」

これはオライリーも指摘することだが、ネットの「あちら側」に各社がどういう技術が仕込んでいるのかはブラックボックス化されているから、普通にはなかなかわからないのである。

「あえて、フォローしておくと(笑)、楽天市場という複雑なECシステムかつ巨大なマーケットプレイスのシステムをスピード感を持って作り、それをミッションクリティカルに運営するのは相当に(本当に)大変で、その技術的優位は大きいと思います。」

楽天もセブンイレブンも技術力は高い

僕の論点は、楽天やライブドアが「技術」を「生活密着型サービスを達成するためのもの」だと位置づけていることである。皆さんご承知のように、セブンイレブンの「生活密着型サービス」実現のためのITはものすごい。田中さんの言う「楽天の技術的優位」は、「セブンイレブンの技術的優位」と、性格が似ているということなのである(後述するが、そこがGoogleとは本質的に異なる)。

「テクノロジーの分野より、その上層のレイヤーを押さえることのほうが企業としての競争優位を確保できるため、「サービス産業」的性格の部分を基本的に求める性格があるのだと思います。
#楽天の例で言えば、そんな凄いECシステムも、多くの店舗と購入者が存在するから、初めて価値があるわけで、システムだけ持っていても、そんなに収益を上げられるはずもありません。サービスとテクノジーが両輪といっても、優先順位があるわけです」

田中さんもこう書かれているのだが、そのことをよりよく理解するために、ここで、「e-Japan時代の情報政策(下):情報家電産業の課題:経済産業省 村上敬亮氏」の1ページ目の下のほうにある、クリックしないと何も読めないゴチャゴチャした図を、クリックしてみてください。

拡大図の上の部分には、ネット産業の3レイヤーが明示されている。いちばん下の層が「コアソフト、認証・課金等コアサービス」、次の層が「システム企画・構築サービスプラットフォーム提供サービス」、最も上の層に「ライフソリューションサービス提供」とある(この3層をどういう名称にして、具体的な企業名をどう入れるかということには異論を持つ人もいるとは思うけれど、そこは本稿の今日のテーマと関係ないので省略する)。

田中さんが「サービスとテクノジーが両輪といっても、優先順位がある」と言うときのサービスは、「ライフソリューションサービス提供」のレイヤーを指しているのだと思う。

グローバルに成功する米国発のサービス産業

そして田中さんの次の論点は、旧来型の米ネット列強Amazon、Yahoo!、eBayと楽天は何が本質的に違うのか、ということ。

「米国のYahoo!、Amazon、ebayなどの企業は、サービス産業的性格が強いのにグローバルで成功してるじゃないかということですが、これは単純にスケールの問題だと思っています。グローバルで展開するということは、もうサービス産業としての競争優位より、ソフトウェア/システムのコスト構造、R&Dの部分、資金力という競争優位で勝つという、そもそも考え方の土台が違う発想の世界で、この時点である種テクノロジー産業化しているわけです。要は、発想の部分でそもそも思いついていないというか、「知らないことは、やらないしできないし興味もない」的な問題と、それだけのスケール感での金銭感覚がない、ということに尽きると思います。」

とある。Googleを入れずに、このYahoo!、Amazon、ebayという3社を議論するとすれば、田中さんの指摘の通りだと思う。日本は日本語の問題があり、日本人に向けて「生活密着型サービス」を提供するから、スケールが十分に大きくならない。それがそもそもの前提となっている。よって、テクノロジーを極めようとしても、極めた効果が利益貢献といった数字に表れてこない。サービスでテクノロジー事業を展開しようとすれば、グローバル事業にしなければならない。でもサービスのグローバル化は、製品事業のグローバル化とは全く違うから、日本のIT企業、コンシューマー・エレクトロニクス企業の強みとは全く一致しなかったのだ。

ユニークなGoogleのポジション

さて、ではGoogleはどう位置づけたらいいのか。田中さんはこう書く。

「Googleを、この「サービス産業的かテクノロジー産業的か」という考え方で考えてみたとき、どうなんだろうということです。現時点で言えば、Googleも今の検索テクノロジーが陳腐化すれば、システム化されつつも結局は単なるリスティング広告代理店というサービス産業化していくわけで、その先進性と技術的要素が「今は」強いだけともいえるかも知れません。しかし逆に言えば、Y!やAmazon、ebayは、ほぼテクノロジー産業的部分よりサービス産業的部分で競争優位を積み重ねていくように変態していったのに、競争優位の土台をテクノロジーに持ち続けているのは、かなり珍しいというか、考え方の土台が「凄いテクノロジーをどうやって生み出せるのか、それを金にしていくか」という部分にあり、Google Newsしかり、Froogleしかり、プロダクトアウトというか技術へのこだわりに結局ある気がします。そして、各サービスの端々感じられる「テクノロジーがもたらすものへの信仰」が全体をパッケージングしていると。究極的には、そのテクノロジーセントリックなカルチャーそのものが、Googleがテクノロジー産業であり続けるポイントかもしれませんね。」

「Googleも今の検索テクノロジーが陳腐化すれば、システム化されつつも結局は単なるリスティング広告代理店というサービス産業化していく」というシナリオに陥るとすれば、それはGoogleの死を意味しよう。

ここで再び、「e-Japan時代の情報政策(下):情報家電産業の課題:経済産業省 村上敬亮氏」の1ページ目の下の図を、クリックしてみてください。Amazon、Yahoo!、eBay、楽天といった、創業からそろそろ10年が経過しようとするネット企業・第一世代にとっては、ネット産業を横にレイヤー分けするこの図がしっくりと来るのである。

垂直統合モデルに回帰するGoogle

でもGoogleは違う。ここを縦に切るのである。

自らが保有する戦略技術がなければ絶対に提供できないサービスを構想する。水平分業から垂直統合への回帰を、Googleは仕掛けようとしているのである。ここがGoogleのユニークさであり、破壊的イノベータである所以だ。僕が先週のエントリーで、「Googleをこそ突然変異だと見るほうが自然かもしれない」と書いたのは、そういう意味である。だからこそGoogleに破壊される可能性が最も高いYahoo!が、最も強い危機感を抱いて、数千億円規模の投資をしてサーチエンジンの会社を買い集め、Googleと同じようなコスト構想を実現できるバックエンドのシステムの構築に乗り出したわけだ。Amazonの危機感はYahoo!よりはちょっと薄いけれど(事業の競争優位が、よりライフソリューション層に寄っているから危機感は少し希薄になる)、A9くらいの投資はする。eBayはオークションというもっと特殊なライフソリューション層での競争優位を確立しているから、あまりGoogleに対する危機意識はない。今のネット産業の最先端は、そんな構図で動いているのだと思う。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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