最終更新時刻:2009年11月9日(月) 21時11分
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Amazon、Yahoo!、eBayと楽天は何が違うのか

公開日時:
2004/10/05 09:00
著者:
umeda

先週の「Googleと楽天・ライブドアを比較することに意味はあるか?」に対して、楽天の田中良和さんからトラックバック「ネット産業は、サービス産業かテクノロジー産業か?」をいただいた。またついさっき読んだ「e-Japan時代の情報政策(下):情報家電産業の課題:経済産業省 村上敬亮氏」の内容にも刺激されたので、今日はそんなテーマで。

田中さんは冒頭でこう書かれている。

「よく、多くの人に、楽天って(技術的に)あんまり目立ったところないよね、とか、(それに比べ)Googleやっぱすごいとか、言われたり、逆に、(ベンチャーとして)楽天は相当凄い、と言われたり、そういうことを日々目にする」

これはオライリーも指摘することだが、ネットの「あちら側」に各社がどういう技術が仕込んでいるのかはブラックボックス化されているから、普通にはなかなかわからないのである。

「あえて、フォローしておくと(笑)、楽天市場という複雑なECシステムかつ巨大なマーケットプレイスのシステムをスピード感を持って作り、それをミッションクリティカルに運営するのは相当に(本当に)大変で、その技術的優位は大きいと思います。」

楽天もセブンイレブンも技術力は高い

僕の論点は、楽天やライブドアが「技術」を「生活密着型サービスを達成するためのもの」だと位置づけていることである。皆さんご承知のように、セブンイレブンの「生活密着型サービス」実現のためのITはものすごい。田中さんの言う「楽天の技術的優位」は、「セブンイレブンの技術的優位」と、性格が似ているということなのである(後述するが、そこがGoogleとは本質的に異なる)。

「テクノロジーの分野より、その上層のレイヤーを押さえることのほうが企業としての競争優位を確保できるため、「サービス産業」的性格の部分を基本的に求める性格があるのだと思います。
#楽天の例で言えば、そんな凄いECシステムも、多くの店舗と購入者が存在するから、初めて価値があるわけで、システムだけ持っていても、そんなに収益を上げられるはずもありません。サービスとテクノジーが両輪といっても、優先順位があるわけです」

田中さんもこう書かれているのだが、そのことをよりよく理解するために、ここで、「e-Japan時代の情報政策(下):情報家電産業の課題:経済産業省 村上敬亮氏」の1ページ目の下のほうにある、クリックしないと何も読めないゴチャゴチャした図を、クリックしてみてください。

拡大図の上の部分には、ネット産業の3レイヤーが明示されている。いちばん下の層が「コアソフト、認証・課金等コアサービス」、次の層が「システム企画・構築サービスプラットフォーム提供サービス」、最も上の層に「ライフソリューションサービス提供」とある(この3層をどういう名称にして、具体的な企業名をどう入れるかということには異論を持つ人もいるとは思うけれど、そこは本稿の今日のテーマと関係ないので省略する)。

田中さんが「サービスとテクノジーが両輪といっても、優先順位がある」と言うときのサービスは、「ライフソリューションサービス提供」のレイヤーを指しているのだと思う。

グローバルに成功する米国発のサービス産業

そして田中さんの次の論点は、旧来型の米ネット列強Amazon、Yahoo!、eBayと楽天は何が本質的に違うのか、ということ。

「米国のYahoo!、Amazon、ebayなどの企業は、サービス産業的性格が強いのにグローバルで成功してるじゃないかということですが、これは単純にスケールの問題だと思っています。グローバルで展開するということは、もうサービス産業としての競争優位より、ソフトウェア/システムのコスト構造、R&Dの部分、資金力という競争優位で勝つという、そもそも考え方の土台が違う発想の世界で、この時点である種テクノロジー産業化しているわけです。要は、発想の部分でそもそも思いついていないというか、「知らないことは、やらないしできないし興味もない」的な問題と、それだけのスケール感での金銭感覚がない、ということに尽きると思います。」

とある。Googleを入れずに、このYahoo!、Amazon、ebayという3社を議論するとすれば、田中さんの指摘の通りだと思う。日本は日本語の問題があり、日本人に向けて「生活密着型サービス」を提供するから、スケールが十分に大きくならない。それがそもそもの前提となっている。よって、テクノロジーを極めようとしても、極めた効果が利益貢献といった数字に表れてこない。サービスでテクノロジー事業を展開しようとすれば、グローバル事業にしなければならない。でもサービスのグローバル化は、製品事業のグローバル化とは全く違うから、日本のIT企業、コンシューマー・エレクトロニクス企業の強みとは全く一致しなかったのだ。

ユニークなGoogleのポジション

さて、ではGoogleはどう位置づけたらいいのか。田中さんはこう書く。

「Googleを、この「サービス産業的かテクノロジー産業的か」という考え方で考えてみたとき、どうなんだろうということです。現時点で言えば、Googleも今の検索テクノロジーが陳腐化すれば、システム化されつつも結局は単なるリスティング広告代理店というサービス産業化していくわけで、その先進性と技術的要素が「今は」強いだけともいえるかも知れません。しかし逆に言えば、Y!やAmazon、ebayは、ほぼテクノロジー産業的部分よりサービス産業的部分で競争優位を積み重ねていくように変態していったのに、競争優位の土台をテクノロジーに持ち続けているのは、かなり珍しいというか、考え方の土台が「凄いテクノロジーをどうやって生み出せるのか、それを金にしていくか」という部分にあり、Google Newsしかり、Froogleしかり、プロダクトアウトというか技術へのこだわりに結局ある気がします。そして、各サービスの端々感じられる「テクノロジーがもたらすものへの信仰」が全体をパッケージングしていると。究極的には、そのテクノロジーセントリックなカルチャーそのものが、Googleがテクノロジー産業であり続けるポイントかもしれませんね。」

「Googleも今の検索テクノロジーが陳腐化すれば、システム化されつつも結局は単なるリスティング広告代理店というサービス産業化していく」というシナリオに陥るとすれば、それはGoogleの死を意味しよう。

ここで再び、「e-Japan時代の情報政策(下):情報家電産業の課題:経済産業省 村上敬亮氏」の1ページ目の下の図を、クリックしてみてください。Amazon、Yahoo!、eBay、楽天といった、創業からそろそろ10年が経過しようとするネット企業・第一世代にとっては、ネット産業を横にレイヤー分けするこの図がしっくりと来るのである。

垂直統合モデルに回帰するGoogle

でもGoogleは違う。ここを縦に切るのである。

自らが保有する戦略技術がなければ絶対に提供できないサービスを構想する。水平分業から垂直統合への回帰を、Googleは仕掛けようとしているのである。ここがGoogleのユニークさであり、破壊的イノベータである所以だ。僕が先週のエントリーで、「Googleをこそ突然変異だと見るほうが自然かもしれない」と書いたのは、そういう意味である。だからこそGoogleに破壊される可能性が最も高いYahoo!が、最も強い危機感を抱いて、数千億円規模の投資をしてサーチエンジンの会社を買い集め、Googleと同じようなコスト構想を実現できるバックエンドのシステムの構築に乗り出したわけだ。Amazonの危機感はYahoo!よりはちょっと薄いけれど(事業の競争優位が、よりライフソリューション層に寄っているから危機感は少し希薄になる)、A9くらいの投資はする。eBayはオークションというもっと特殊なライフソリューション層での競争優位を確立しているから、あまりGoogleに対する危機意識はない。今のネット産業の最先端は、そんな構図で動いているのだと思う。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

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企業価値を評価するうえで、(1)レイヤーを考えること、(2)株式市場的な視点、が如何に深い意味を持っているのか、理解することができました。ありがとうございます。

これを受けて、一番気になるのが米IBMのビジネス戦略になります。かつて、メインフレームで世界を席捲。
レイヤーで言うと礎石(ファウンデーション)なため、
投資家価値も極めて大きかったはずです。

その同社が、ガースナー元CEO経営のもとで、
サービス重視戦略に舵を切り替えています。

もし、ゲームの世界を適用するならば、メインフレームはゲーム機であり、ゲームソフトはミドルウェア/アプリケーション/サービスに該当することになると仮定します。

すると、IBMがレイヤー1でビジネスが成立できなくなったため、仕方なく、レイヤー2、レイヤー3のビジネスに退避せざるをえなかった状況が見えてきます。

つまり、ファンデーション部分であるレイヤー1を、
Microsoftとインテルに奪われてしまった事実があると思われます。

ただ、このような書き方をすると、
(1)メインフレームは依然、固定マーケットとして成立している、
(2)Power/AIX,Power/LinuxビジネスはMCビジネスにとって重要なコンピューティング環境を提供している、
(3)iSeries(旧AS/400)は、SMB市場において強力なプラットフォームである、
(4)BladeCenterを中心とするxSeriesは、ネットワーク・エッジなワークロードを支えるモジュール構造な新アーキテクチャーを採用している、
といった説明を受けるに違いありません。
依然、同社はファンデーションであるレイヤー1ビジネスのメインプレーヤーであると。

さらに、米Sun MicrosystemsがSPARCビジネスからIAサーバ・ビジネスに転換が遅れた理由も同時に理解が容易となります。

やはり、『ハードウェアは大きなビジネスになる』のではないでしょうか。けれども、あまり誇張しすぎると、顧客やISVなどパートナー企業の離反を招くことになり、強いては、業界における自社の生態系そのものを崩しかねない状況に至る可能性をも秘めているのではないかと予想されます。

そこで、今後のIBMビジネス戦略を考えて見ると、
同社は現在、『オンデマンド・ビジネス』を積極的にアピール展開しています。すこし以前までは、『Utility Computing』、『e-business on Demand』を。

この中味は省略しても、『Integration』は『Webshpere(IBMミドルウェア)』、また、『Infrastructure Management』は『Tivoli(IBMミドルウェア)』に注力していると思われます。

最近では、SOA(Service Orieted Architecture)も登場して、『システムは構築するから再利用へ』と急変しています。

これらから、コモディティー化した部分は、レイヤーは高くなり、「付加価値」や「お客様ニーズ」が搭載しやすいファウンデーション・ビジネス、つまり、レイヤー1に注力することが、米Wall Street評価は期待値になるものと勝手に理解致しました。

しかし、現在、ムーアの法則も限界域に突入しており、
マルチコア/マルチスレッドなどの新しいデザインが登場し、今後のプロセッサ・ビジネスは不透明になってきています。

さらに、LinuxやStarOfficeなどOSS(Open Source Software)の出現は、まさに、ソフトウェア市場において、レイヤー1のメインプレーヤーを駆逐する可能性をも包含していると思われます。

最近の業界変化スピードには、驚きと同時に、
このような時代の変化を実感できる自分は、
あらためて、幸せなんだなと実感しております。
大変貴重なご教授有難うございました。

  山崎牧雄 on 2004/10/07

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本件の議論の上で、(1)1つレイヤーを上げてmicrosoftも含めて考えること、(2)株式市場的な視点を加えること、により分かりやすくなると思います。


■ プラットフォームとサービス事業者の関係

通常はあまり意識されませんが、google、yahoo!、amazonなどのオンライン・サービスは、PCブラウザという"プラットフォーム"を作ってくれる人がいたからこそビジネスが可能となっています。この分野での貢献者&独占者はいうまでもなくmicrosoftであり、そのビジネスの価値(株式時価総額)は$308bnと評価されています。

一方、google、yahoo!、amaznの時価総額はそれぞれ$37bn、$47bn、$16bnとなっていて、ラフですががざっとmicrosoftの7〜10分の1の評価になっています。

またgoogle、yahoo!とamazonの時価総額が3倍程度違うのは、前者は全インターネット・サービスのプラットフォームとして機能しているのに対し、amazonはその一部であるショッピング・プラットフォームであるためという解釈も成り立つ気がします。

このように株式市場的には、上位レイヤーにあるサービスのほうが付加価値が高く、高い評価がなされているという事実があります(逆に、下位プレイヤーの利益が上位レイヤーを上回ることは通常ない)。


■ インターネット以外では?

このような単純な議論に多少違和感もあるかもしれませんが、インターネット以外のサービスにおいても同様の傾向があります。

たとえばゲーム産業ではプラットフォーマーである任天堂の時価総額は1.8兆円であるのに対し、スクウェアエニックス3,400億円、セガ2,600億円、ナムコ1,400億円、など大きく及びません。ソニーもプラットフォーマーであり、ゲーム部分だけ評価するのは難しいですが利益寄与を考えると、2兆円くらいのバリューはあると思います。

またスカパーと委託放送事業者の関係(例えばスカパー3,000億円/スペースシャワー58億円など)も同様で、やはりバリューは大きく違っています。


■事業者のポジショニング

各事業者のポジショニングは以下のとおりであり、株価的な評価という点からみても、たいたい整合性が合うのではないかと思います。

・google:オンラインプラットフォームとしての位置だが、メール、ブラウザなどmicrosoftに近いポジションを取りにいっている(自社価値を10倍にできるような上位レイヤーのビジネス狙い)。

・yahoo!:オンライン上のプラットフォーム首位。最近、米国ではパーソナライズ、日本ではYBBやプレミアム会員などにより、ユーザー囲い込みステージにある。

・livedoor:オンライン・プラットフォームを取りに行っているがシェア不十分のため、まだビジネスとしての評価は高くない。

・楽天:ショッピング・プラットフォーム。レイヤーとしてはgoogle、yahoo!の下位に位置する(楽天は顧客誘導の半分くらいは両社に依存しているという事実がある)。

  nog on 2004/10/06

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Dr. Christensen氏が書かれた「The Innovator`s Dilemma」はIT業界の低迷もあってか、検索エンジンでアクセスすると、米国大学のMBAコースで積極的に取り上げられている様子が、講演プレゼンテーションの内容などから垣間見ることができる。

1990年代、われわれは『ドットコム』が新たな産業革命ではないかといった錯覚に陥っていたのではないだろうか。
当時、Amazon、ebay、Y!などは『電子商取引』がメインなビジネスモデルであったと記憶している。
さらに、広告収入も大きなビジネスとして需給関係が成立していたのではないだろうか。

ところが、その後、電子商取引に対する消費者の期待が急速に下降することになった。所謂、ハイプ曲線でいう、「Peak of Inflated Expectatiions」から「Trough of Disikkusionment」へと新技術に対する期待・熱中度が下がっていったと思われる。

しかし、現在、ドットコム企業各社は「Slope of Enlightment」に移行しつつあるようだ。
ティム・オライリー氏は、これらドットコム企業やGoogle検索エンジンなどインターネット企業は、知名度とカレントな消費者アクセスによって、現代のキラーアプリケーションではないかと表現している。

そこで、楽天と米ドットコム企業の違いは何かである。
Amazonは物流・倉庫などロジスティックスまで含めたサービス提供を行っている。また、ebayはオークションという価格破壊を実現している。ebayのメグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)兼社長は今回、米Fortune誌は初めてトップ経営者に同氏を選出した。

おそらく、われわれが目にしているWebページを支えている『ミッション・クリティカルなバックボーン』は、
様々な変化に対応可能なIT環境を実現していると予想されるからだ。

使う側から見ると、コンピューティング消費量がまず視界に入るのであろう。
だが、インターネット・ビジネスのイネーブラーとして必要な要素として「Focused」「Responsive」「Variable」「Resilient」が挙げられる。

さらに、運用されているシステム環境は、
絶えず「コスト削減」と「High-Performance Business」を追求しているのではないだろうか。

今後、消費者のアクセス機器はブロードバンド普及に伴い、無数なユビキタス機器やRFIDなどが市場に浸透するに伴い、これまで想像できなかったくらいのコンピューティング環境(性能、信頼性、復旧、セキュリティなど)が要求されると予想される。

また、グローバルな「企業-to-企業」という、ネットワークを介したイノベーションによる産業構造の変革が急速に進展して行くのではないだろうか。

さらに、Web自体の課題、つまり、HTML/XML経由した情報交換量自体を、よりビジネスに絶え得るものとする変化も出てくるものと考えている。

ユビキタス・バリューは、「誰もが」「いつでもどこでも」「簡単に」バリューを享受できるようなユビキタス社会の実現によってもたらされるのではないだろうか。
しかし、一見簡素に見受けられるユビキタス機器ではあるが、それを支えるバックボーンには確かな技術が求められるのではないかと思われる。

ぜひ、「楽天」にもWebの英文化と同時に、海外メディアにも積極的にアピールしてほしい。
なぜなら、「インターネットはマジックが可能な世界」だから。

  山崎牧雄 on 2004/10/06

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