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ナイーブさを通過する、中国のソフトウエアエンジニア

2004/08/04 09:00
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プロフィール

umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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[ゲスト] 石黒邦宏 Kunihiro Ishiguro
8月4日(水)〜8月6日(金)までの間、梅田望夫さんの代わりに石黒邦宏さんがゲストブロガーとして登板します。梅田さんの更新は8月17日からになります。石黒さんの前回のゲストブログはこちら

石黒さんのプロフィール:1993年銀行向け大規模開発プロジェクトのシステム管理者としてキャリアをスタート。1995年にISPへ転職、国内外のインターネットバックボーン構築に携わる。1996年ウェブシステム作成会社へ転職。同年フリーな経路制御ソフトウェアGNU Zebraの開発を開始。1997年、日本ネットワークオペレーターズグループJANOGの設立に関わり初代会長に就任。1999年シリコンバレーにIP Infusionを吉川欣也氏と共同設立、CTOとして技術面のマネージメントにあたっている。

ここのところ、中国へ行く機会が増えている。激しい時は、米国で1週間仕事をした後、次の週は日本、さらにその次の週は中国へ移動。いったん米国にもどって1週間たったら、またすぐ中国ということもあった。こうなるとなんだか、1カ月の半分以上アジアにいたりして、シリコンバレーで働いてます、と言っていいものやらどうやらという気持ちになってくる。

向上心旺盛な中国のエンジニア

中国に着いても油断はできない。アメリカと同じく大都市が広い国土に散らばっているため、ほぼ毎日飛行機で移動である。大抵、中国へは北京か上海から入るのだが、午前と午後に1社づつミーティングをすると、毎日夕方には飛行場へ直行である。こうなると自分が中国のどこにいるのか良くわからなくなる。一緒に中国を廻っているセールスの人間に「いまどこにいるの?」と聞くと、「チャンドゥ」と教えてくれる。まったく聞いたことのない地名だ。紙に中国の輪郭を書いて、ここにいるんだよ、と示してくれるが、明日はまた別の場所にいることになるので、あまり真剣に覚える気にならない。

こうしたミーティングはこれから私たちのソフトウエアを買うかもしれない顧客候補へのセールスであったり、既に私たちの顧客である企業とのミーティングであったりする。ビジネスの話が中心で、エンジニアリングとのミーティングはあまり設定されていないはずであるが、それにもかかわらず、ほとんどの時間を私は中国のエンジニアと過ごしてきた。

ミーティングが始まると、「ビジネスの話をしている間の時間がもったいないので、別室でエンジニアとミーティングしてもらえないか?」というリクエストが来る。大抵、別の部屋に10人くらいの中国人ソフトウエアエンジニアがいて、様々な技術的質問をしてくる。まず最初に感じるのは、彼らの「我々は遅れているので、出来るだけ多くの機会を見つけて勉強し、1日でも早くシリコンバレーのネットワーク機器ベンダーに追い付きたい」という強烈な後進意識だ。

彼らにとって、シリコンバレーのソフトウエア会社は、とんでもなく進んだ技術を持っていて、自分たちとは較べ物にならないくらい素晴らしいものであるらしい。さらに、ソフトウエアの購入を決めると、1週間、エンジニアのトレーニングをしてくれないかと言われる。これも技術的な格差を早く埋めたいという気持ちの現われだろう。

日本にもあった「先進国」に対するナイーブなあこがれ

さてずいぶん長い前置きになってしまったが、こうしたエンジニア達と一緒に仕事をしていて思い出すのは、遥か昔に私たちも持っていた一種のナイーブさである。彼らが思っているほど技術に圧倒的な差があるわけではないし、あったとしても今や最先端の技術はインターネットにつながってさえいれば、世界中どこでも手にはいるわけだから、なにもビジネスミーティングの30分を惜しんで議論したからといって、それが大きな進歩につながるとはとても思えない。また1週間のトレーニングが、何かに決定的に寄与するとも思えない。

かつて、日本で「日本のビル・ゲイツを育てよう」という話が出たことがあることを覚えている方もいらっしゃるだろうが、その時も同じようなナイーブさを感じたものだ。条件も必然性も社会状況もまったく違うにもかかわらず、自分達は後進であると信じ、先進であると信じるところの成果に、できるだけ早くたどり着きたい。その動機になっているのは非常に真面目でナイーブな感受性である。

急激な近代化の過程にある中国社会のなかで、中国人ソフトウエアエンジニアはナイーブさを通過しつつある。その次にくるものは一体何なのか是非見たいと思う。今のところ未知なものには出会っていない。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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