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日本人がシリコンバレーで働くには

2004/07/07 09:13
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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第2回JTPAシリコンバレーツアーの募集が始まりました。ツアーの日程は、9月9日(木)東京出発9月13日(月)帰国です。費用は航空券・宿泊・食事・バス代などすべて込みで15万5000円。夏は航空券が少し高いので、第1回よりも少し高くなってしまいましたが、費用はすべて実費に充当し、それでも少し不足する分はJTPAから補填します。定員は20名。対象はこれからのキャリアについて真剣に考えている若い人たち。インタラクティブに深く交流できるMaximumということで今回も20名としました。

第1回同様、応募者が定員をオーバーすることが予想されますので、フェアネスの観点から「ショートエッセイによる書類選考」を行います。申し込みの詳細はサイトをご覧ください。今年3月に開催した第1回シリコンバレーツアーの報告はこちらにアップされています。

第1回ツアー参加者たちは、ツアー期間中に連帯感を深めたのか(?)、はたまたただ集まるのが好きなのか(?)、ツアーから帰国した後も、毎月のように親交を深めているようです。第2回のプログラムは、第1回ツアー参加者の皆さんからのフィードバックを受けて、今回はより充実したものにする予定です。

さて、JTPAというNPOをシリコンバレーに作ってちょうど2年が経過した。

JTPAは、技術を志向する日本人プロフェッショナルがシリコンバレーで働くのを支援するためのNPOで、(1) シリコンバレーで働く日本人のネットワークの構築(コミュニティ作り)と、(2) 日本の若い人たちへの啓蒙活動、この2つを活動の中核としている。JTPAシリコンバレーツアーは、後者の活動の柱の1つである。

今日は、2年間にわたってJTPAの活動をしてきた総括として、僕なりに新しく発見したことをまとめてみたいと思う。

(1) シリコンバレー企業(大手、ベンチャー)には、あんがい日本人がいる

JTPAを始めたことによる僕自身にとっての最大の収穫は、この活動をやっていなかったら知り合えていなかったはずの素晴らしい日本人たちに出会うことができた、ということに尽きる。そのうちのほんの一部については、フォーサイト誌連載で詳述した(もちろんJTPAを始める前から旧知の人も含まれている)が、ここに書いた人たち以外にも、たくさんの日本人が、当地で面白い仕事をし、充実した生き方を追求している。勉強になることがとても多い。

彼ら彼女がどういうきっかけでシリコンバレーに来ることになったかは千差万別ではあるが、留学と外資系企業日本法人勤務という2つが、ある種のステップになった人が多いかなという気がする。外資系企業日本法人、特にテクノロジー企業の日本法人にエンジニアとして就職して頭角を現すと、自然とシリコンバレー本社へ転籍するというキャリアパスが生まれる。こういうパスでシリコンバレーに来て活躍している人がけっこう多いのは、新しい発見であった。

最近はGoogleも東京に研究開発センターを開くべく準備を進めているようだし、シリコンバレーベンチャーも少し大きくなれば日本にオフィスを作る。インテル、HP、アジレント、アップルといったシリコンバレーエスタブリッシュメントの日本法人はかなりの規模だ。「ほぼ日刊イトイ新聞」で「シリコンの谷は、いま」を連載中の上田ガクさんも「シリコンバレーの会社で働くには?」で、シリコンバレーのそれほど大きくない企業の「日本で採用してもらって、本社に送り込んでもらう」という作戦でシリコンバレーにやってきた、という話を書かれている。

(2) シリコンバレーベンチャーの今後の課題はグローバル化。そこに機会あり

1990年代までのシリコンバレーベンチャーと、これからのシリコンバレーベンチャーでは、「グローバル化」という観点でずいぶん違うものになっていくのではないかと思う。本欄6月14日「ベンチャーは大企業に多国籍企業経営のエッセンスを学べるか」で詳述したが、シリコンバレーのベンチャーも、最初からグローバル化を指向しなければならない時代に入ったということだ。このエントリーに対しては、「中妻穣太の日記」からトラックバックをいただき、

「もちろん、そんなことができるシリコンバレー・ベンチャーはごく少数でしょう。Sanjay Anandaram氏が言っているのは要するに、難しかろうがなんだろうが、生き残ることができるベンチャーはそういうことができるベンチャーだけだということを言っているのではないでしょうか。これはシリコンバレーだけの話ではないでしょう。日本のベンチャーも、最初から世界を視野に入れなければ生き残れないんでしょうね。」

とあるが、全くその通り。つまり、市場として日本やアジアが先行している分野のシリコンバレーベンチャーが、正しくグローバル化していくというプロセスで、日本人が活躍する機会も生まれてくるのだろうと思う。

(3) 日本人にとっての活躍機会は、IT、バイオ以外のところにもけっこうある

シリコンバレーといえばITかバイオという先入観があるかもしれないが、シリコンバレーには様々なテクノロジーに対するニーズが存在している。

たとえば、Pacifica Fundのポートフォリオ企業を見ただけでも、Integrinauticsは、「Differential GPS systems for precision control of heavy equipment.」ということで、ITと重機械分野の接点を追求する会社だし、NanoNexusは、「High precision 3-D MEMS contactors for IC test and packaging.」ということで、ナノテクノロジーと半導体製造プロセス(IC Test)の接点を追求する会社。

Intematixは、「New materials discovery using high-throughput combinatorial synthesis and screening.」で、コンビナトリアル・ケミストリー。Triformixは、「Precision molded optics for communication, computer peripheral, imaging and medical applications.」で、プラスティック精密光学部品のベンチャーだ。

シリコンバレー全体を見渡して数え上げればキリがないが、ITやバイオを狭義にイメージして「ここにあるのはソフトウェアやゲノムに関わる仕事ばかり」と思ったら大間違い。テクノロジーに関わる最先端の仕事が、シリコンバレーにはかなり網羅的にある。

(4) 英語がネイティブ並みであることは必須条件だが、「日本人に生まれたからこその強み」がシリコンバレーベンチャーでも活かせる場合がある

これは、フォーサイト連載で紹介した小村尚子さんと話をしていて気づいたことだ。彼女はシリコンバレーのベンチャーで「VP of Operations」みたいな仕事をしている。彼女は僕にこう言った。

「約束したことは必ず守る責任感とか、人に対する思いやりや礼儀、相手の立場になってモノを考える習慣というのは、日本人に生まれたからこそ自然に身についた特質だと思います。少し大げさに言うと、シリコンバレーのベンチャーに和の精神を持ち込むことになっているのかもしれません」

なるほどなぁ、こういうキャリアパスがあるものなのか、と僕は話を聞いてとても驚いたのだが、確かにこのベンチャーは尚子さんなしではぜんぜん回らない。

「彼女のもともとの夢は、国連や世銀といった国際機関で働くことだった。高校卒業後、デザイナーを志望したが挫折。その後、貿易会社に勤めながら大阪外国語大学夜間部に通っている頃に開発経済学を学び、世界全体の共生に関わる仕事がしたくなった。卒業後、仕事をやめ神戸大学大学院に進んで勉強を続け、一九九四年、スタンフォード大学国際開発政策学部大学院に合格し「発展途上国の開発経済政策」を専攻した。」

というITとは何の関係もないバックグラウンドの彼女が、紆余曲折の末、組織全体のプロジェクト管理に発揮する独特の才を認められて、シリコンバレーの有望ベンチャーにスカウトされたのだ。ただし、これは研ぎ澄ました専門性によって道を切り開くのと対極の例であり、総合的な人間性みたいなもので勝負するわけだから、ネイティブ並みの英語力を必要とするのは言うまでもない。

たかがシリコンバレー、されどシリコンバレー

「たかがシリコンバレー、されどシリコンバレー」だと僕はいつも思っている。ことさらに「シリコンバレーだけが・・・」と言うつもりはないが、シリコンバレーは東京と並んで、これからも「世界中で最も面白い場所のひとつ」であり続けるだろうと確信している。

シリコンバレーに興味があって、これからのキャリアについて真剣に考えている若い方々(学生、企業勤務者は問いません)は、ぜひ第2回JTPAシリコンバレーツアーの詳細をご覧いただき、せっかくの機会なので、奮ってご応募ください。僕も含めてJTPA運営メンバーたちは皆、ツアー期間中は予定をあけて、参加者の皆さんとじっくり議論できるようにしたいと考えています。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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