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シリコンバレーの底入れを象徴するSalesforce.comのIPO

2004/06/28 09:07
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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先週はSalesforce.comの株式公開があった。

ここ数年、「GoogleとSalesforce.comのIPOがいつになるのか?」ということと「シリコンバレーのどん底からの回復」が、いつもセットになって議論されてきた。結局、両方とも「2004年夏」ということにあいなった。

2000年4月に始まったITバブル崩壊

あとから振り返ると、米国のITバブル崩壊は、2000年4月に始まった。ただ、いったん4月にどっと株価が下がったけれど、夏にかけてずいぶん株価が戻ったので、その時点では、「バブル崩壊」というよりも「小さな調整」くらいに考えていた人が多かった。このへんは90年代前半の日本のバブル崩壊のときとよく似ている。

個人的に「バブル崩壊」を痛切に実感したのは、2000年も末になってからだった。2000年11月末、感謝祭(Thanksgiving)の休みに旅行に出かけて、戻った12月、ずいぶんハイウェイの車がすいてきたなぁ、と思った。アメリカでは感謝祭からクリスマスはだいぶスローになってくるから、そのせいかなと思っていたら、年があけてもそのままだった。たくさんの人がシリコンバレーからいなくなったのだ。ちなみに、この2000年11月末といえば、連載していた雑誌の原稿のゲラを、最後の最後になって旅先で直したのでよく覚えているのだが、この2000年11月30日に、NTTドコモがAT&Tワイヤレスへ1兆円以上の出資をしたのであった。2001年に入って株価はどんどん下がり、米国全体がIT不況とでも言うべき状況に突入していった。そこに追い討ちをかけたのが2001年9月11日の同時多発テロで、そこから先はもう先行きなど全く見えない時代に突入した。今から振り返れば、「どん底」は、2001年の第3四半期から2002年第3四半期までの5四半期くらいかなと思う。2002年末くらいから、「復活の予兆」が感じられるようになったのだ。そしてその「復活」を象徴する未公開ベンチャー企業が、GoogleとSalesforce.comの2つだったのである。

復活を象徴する2つのIPO

さて、「Salesforce to debut on NYSE」が公開当日(6月23日)朝の記事である。

「The company and its underwriters priced the initial 10 million shares at $11 each Tuesday, enabling it to raise $110 million and boosting its market capitalization to more than $1 billion.」

「売り出し価格は11ドル。調達金額は1億1000万ドル。時価総額は10億ドルを越える」という規模のIPOである。

「The company earned $3.5 million on sales of $96 million in the year ended January 2004.」

業績は、2004年1月締めの1年間の売上が9600万ドルで、利益が350万ドル。だいたい100億円の売上でちょっと利益が出ているという状況である。

Googleのような「Google自身がThe Next Big Thing」と言えるほどの「完全な特異点」は除いて、ごく普通のベンチャーが目指すのは、ざっくり言って「50億円/年くらいの売上で、年率数10%で成長していて、ちょっと利益が出ているような状況」である。だいたいSalesforce.comの1年前くらいの感じ。そこでIPOできれば、時価総額が数百億円規模になる。よって、このたびのSalesforce.comのIPOは、普通のベンチャーの倍くらいのサイズのIPOなのだが、2003年のIPOマーケットがひどかったので公開しないままでいたら、自然に大きくなってしまったので、こうなったのだ。

「``All eyes are on this to see how successful it turns out to be, particularly how fast it ramps up on its first day,'' said Steve Bonadio, vice president at the Meta Group, a research firm. ``I don't think we'll get to the exorbitant prices we've seen in the past, but they have the ability to do a pretty good run.''」

記事の中のこのコメントのように、皆が、Salesforce.com公開初日の市場の反応を気にしていた。「どん底」期に無理やり公開したベンチャーのように初日に売り出し価格を割ってしまっても困るし、逆にバブル最盛期のように、あまりにも初日にぐーんと上がってその後どーんと下がったりという乱高下が続くのもよくない。

IPO後の反応は上々

そしていざ公開。翌24日朝に書かれたのが「Salesforce IPO Underscores Investor Appetite for Tech」という記事である。売り出し価格11ドルに対して、初日の上昇は56%で、17.2ドル。その時点での時価総額は17億ドルになった。

「The first day gains for salesforce, while notable, fall well short of the several-hundred percent one-day gains that tech IPOs were garnering during the late 1990s. Still, some observers were already raising questions about the firm's new valuation, which is more than 400 times 2003 earnings and 10 times current year revenues, multiples that call to mind the dot-com heyday.」

これは、バブル最盛期ほどのゲインではないけれど、「これだって十分に高すぎるじゃないか、バブルが再発している」という意見も紹介している。何せ「成長性」という不確定要素をどう評価するかがすべてだから、まぁベンチャーのIPOにはそういう議論がつきものなのだ。

総じて、Salesforce.comのIPOは、タイミング、公開直後の動き(公開3日後の25日の終値は15.8ドル)から見て、シリコンバレーがある種の定常状態を取り戻した感があり、「ほっとした」というのが正直な感想である。

さて、Salesforce.comのビジネスモデルについては本欄で再三ご紹介してきたし、CEOのベニオフのインタビューもご参照いただければよいかと思う。

あと、公開の少し前に、英エコノミスト誌がSalesforce.comについて、「Crème de la CRM: Google is not the only promising tech firm floating its shares this year」という記事を書いている。これは無償で読めるので、興味のある方はどうぞ。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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