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雇用主と従業員のプライバシーをめぐる戦い

2004/06/25 09:44
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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今日はFast Company誌の軽いエッセイ「The Privacy Arms Race」をご紹介しよう。性悪説に基づく雇用主と従業員との間で、プライバシーをめぐる技術競争がこれからも続いていくだろう、という話だ。

「In the 1830s, workers at New England's textile mills lived in company houses, worked in company factories, and worshipped at the company church. Attendance was mandatory. Milton Hershey and Henry Ford are both famous for having hired detectives to keep an eye on their employees outside of work. Ford even created his own sociological department, staffed by 50 inspectors who kept tabs on autoworkers' behavior off the job. Misbehave, and your wallet got a little lighter come payday.」

1830年代、ニューイングランドの繊維工場では、従業員は社宅に住み、会社の工場で働き、会社の教会で礼拝した。出席は義務だった。チョコレートのMilton Hershey、自動車のHenry Fordは、2人とも、従業員が仕事外の時間に何をしているのかを探偵を雇って調べていたことで有名だった。フォードは、社会学部門を創設し、50人の監督者が、仕事以外でのワーカーの振る舞いを徹底的に監視し、給与に反映させた。これが冒頭のパラグラフ。だいたいエッセイの中身が想像できるでしょう。

「So why are we surprised when, generations later, employers do their darnedest to invade our privacy? This is as it has always been: Bosses, more or less in the name of productivity, pursue as much information as possible about their workers, and employees try to dodge the prying eye.」

雇用主が生産性という名のもとで、ワーカーについてできる限りの情報を得たいと思っているのは事実だし、従業員はその詮索の眼から逃れたいと思っているもの。企業なんて昔からそんなものだが、この雇用主と従業員の戦いがハイテク戦争と化してきた、というのがこのエッセイの主題。

ハイテク化する従業員監視

「Office drones are likely to have their Internet travels, emails, and instant messages monitored, and perhaps their every keystroke logged. Global-positioning systems track long-haul truckers' speed violations, unnecessary pit stops, and circuitous routes. Car salesmen are fitted with RFID tags to keep tabs on their test drives.」

オフィスからインターネットで何を見たか、IMで何を誰と話しているか、PCで入力した文字のすべてが、会社からモニターされていると思ったほうがいい。長距離トラックの運転手のスピード違反、不必要な給油休憩、回り道は捕捉されているし、車のセールスマンにはRFIDが取り付けられ、テストドライブが監視される。

会社が、プライバシーのルール(法律)に触れない範囲でやっていることなのだが、そのルール(法律)が1986年から改正されていないため、その後にめざましく進展したインターネット、ワイヤレス・コミュニケーション、eメールなどの影響が全く考慮されていないことが問題だという指摘。

そして、このエッセイの後半では、Stellar Internet Monitoring LLCというフロリダの会社が紹介されている。LLCだからベンチャーではなく、ソフトウェアのスモールビジネスの会社だろう。「Web-based application that tracks employee Internet use to the tenth of a second.」を売る会社だ。嫌なソフトだなぁ。

会社が社員のウェブサーフィンに払うコスト

この会社のウェブサイトにいくと、「How much are you spending on employee Web surfing?」(あなたは従業員のウェブサーフィンにどれだけ支払っているのでしょう)という文章が目に入り、そこをクリックすると、従業員数と、1時間あたり単価と、従業員1人あたりウェブサーフィンで遊んでいる時間の3つを入力すると、どれだけ会社が損をしているかを計算してくれる。ちなみに、「時間単価40ドルの従業員100人が1時間ずつ遊んでいる」と入力すると、「Total Amount Paid for Non-Work-Related Surfing」が、「1日4000ドル、1週間で2万ドル、1年で94万ドル」。約1億円の損失だ。

この「The Stellar IM (Internet Management) Web based Edition」を使うと、

「Bosses can log on anywhere, via the Internet, pull up graphs detailing the time you dedicated to eTrade and MulletsGalore.com -- and calculate the cost of those minutes in wasted pay.」

ボスは、どこからでもインターネット経由でログインして、従業員がインターネット上で何をやっているかが全部グラフ化されて見えて、給料が無駄遣いされている額が算出されるそうです。Stellar IM (Internet Management)は、引き合いが多くて多くて困っているらしい。

「In 1997, 15% of large U.S. companies monitored employees' email, according to the American Management Association. Today, it's 52% -- and much higher than that in the technology sector.」

これは米国の数字だが、1997年には15%の会社が従業員のeメールをモニターしていたのが、今は52%。テクノロジー企業ではその比率はもっと高くなっている。

従業員のウェブサーフィンを隠すツール

一方、従業員側をサポートするツールとしては、Stealth Ideas Inc.の「StealthSurfer, a $99 USB plug-in」が紹介されている。この製品のウェブサイトに行ってみると、

「Surf the Web in total privacy through StealthSurfer, the first hardware-based product that allows Internet users to hide surfing habits by concealing URL's of sites visited and files downloaded.」

とある。

今日は何だか「C級さらりーまん講座」っぽい話になってしまったが、日本企業における「雇用主対従業員」のプライバシーを巡るハイテク戦争は、今どんな様相を呈しているのでしょう。そのあたり、僕は全く詳しくないので、事情通の方はぜひコメントかトラックバックで教えてください。

ではまた来週。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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