昨日は「アジアの重要性の高まり」について話をしたわけだが、BusinessWeek誌が発表した「The Info Tech 100」の顔ぶれを見ると、世界のIT産業の重心がいかにアジアに移行しているかが、改めて実感できるのではないかと思う。
「To compile the Information Technology 100, BusinessWeek began with financial data from Standard & Poor’s, a division of The McGraw-Hill Companies that has computerized information on 10,000 publicly traded corporations. We trimmed this universe to information technology companies and then added non-U. S. tech companies recommended by our network of foreign bureaus. To qualify, companies had to have revenues of at least $300 million. We divided this collection of about 550 companies into eight industry categories, such as software and semiconductors. Companies whose stock price has dropped more than 75%, or where other developments raised questions about future performance, were eliminated from contention. We also dropped phone companies whose monopoly or near-monopoly power gives them an unfair advantage over competitors. The remaining group of companies was ranked on four criteria: shareholder return, return on equity, and revenue growth (which were given equal weight), and total revenues (which was given 1.5 times the weighting of the other categories). Finally, the top 200 companies were re-ranked as a group.」
この100社はこんなふうにして選定されており、先週金曜日にご紹介した「Wired 40」よりも数字に基づいた組織的なアプローチによって作られたものである。
例年になく米国外の企業がランクイン
この「The Info Tech 100」はだいたい毎年ざっと眺めている。もちろん全部はきちんと記憶していないけれど、これほどまでに米国以外の企業、それも米国以外の、しかもキャリア以外の会社がランクインしたリストを見るのは初めてだ。90年代は、米国企業と日本の大手エレクトロニクスと各国のキャリアがリストの大半を占めていた。
ランキングのトップ20の構成は、まず台湾勢が6社、韓国勢が2社、香港勢が3社(うち2社がキャリア、1社はTPVなので台湾勢と言ってもいい)。トップ20の過半数が台湾・韓国・香港勢によって占められている。米国勢は、Nextel(5位)、Dell(6位)、Accenture(9位)、IBM(10位)、Intel(13位)だけ。あとは皆、各国のキャリアで、メキシコ(2位)、ロシア(7位と18位)、スペイン(8位)である。残念ながら、日本勢はゼロである。
冒頭の英文説明で、「eight industry categories」に分類したと書いているが、その8つとは、(1)COMM(通信機器)、(2)COMP(コンピュータ・周辺機器)、(3)DIST(ディストリビュータ)、(4)INET(インターネット)、(5)SEMI(半導体)、(6)SVCS(サービス)、(7)SOFT(ソフトウェア)、(8)TELE(通信キャリア)。
台湾6社、韓国2社、キャリアを除く香港1社の台湾・韓国・香港勢計9社は皆、COMP(コンピュータ・周辺機器)とSEMI(半導体)である。この2カテゴリーであとトップ20に入っているのはDellとIntelだけ。IT産業のコモディティ化は、こういうところにはっきりと現れている。
売上数千億円規模の台湾・韓国・香港勢
さて、この台湾・韓国・香港勢計9社をもう少し詳しく眺めてみよう。ちなみにネット上で読むことのできるランキングリストには数字がN/Aになっているところが多いが、ビジネスウィーク誌の雑誌バージョンではきちんと数字が出ているので、必要に応じてそちらの数字を補っていくことにする。
第1位が、韓国のLG Electronics(売上高 $29,909mil)。Samsungばかりが脚光を浴びているが、LGも「向こう6年以内に、Consumer Electronics業界の世界トップ3ブランドになる」ことをゴールに設定している。
第3位が台湾のQuanta Computer(売上高 $8,742mil)。ノートブックPC生産世界一。
第4位が同じく台湾のHon Hai Precision Industry(売上高 $10,898.8mil)。コントラクト・マニュファクチャラーとしてまもなく世界最大。
第11位が、言わずと知れた韓国のSamsung Electronics(売上高 $54,464.2mil)。既に売上高は6兆円規模となっている。
第14位がTPV Technology(売上高 $2,135.4mil)。LCDメーカー。
第15位が、台湾のCompal Electronics(売上高 $5,195.1mil)。ノートブックPC生産大手。
第16位が同じく台湾のASUSTeK Computer(売上高 $5,747.4mil)。PCマザーボードから他製品へ事業展開中。
第17位も台湾のAU Optronics(売上高 $3,085.0mil)。もともとはAcerとUMCのジョイントベンチャーで、今はフラットパネルメーカー。
第20位も台湾のNovatek Microelectronics(売上高 $320mil)。LCD向け半導体が強い。
ここで列挙してきた台湾勢は、ざっくり言えば、売上高数千億円規模の企業が年率数10パーセントで売上を伸ばしているという状況にある。こんなことは永久には続かないから、日本企業も過去にそうだったようにどこかで壁にぶつかるわけだが、今はこういう勢いで伸びているために、IT景気が少し戻ってきたのと同時に、今年の「The Info Tech 100」に一気にランクイン、ランクアップしてきたわけだ。
通信機器、ソフトウェア、インターネットに強いアメリカ勢
ところで、このリストにおけるアメリカ勢の特徴を眺めてみよう。
この一覧表は、先ほどご紹介した8つのカテゴリー[(1)COMM(通信機器)、(2)COMP(コンピュータ・周辺機器)、(3)DIST(ディストリビュータ)、(4)INET(インターネット)、(5)SEMI(半導体)、(6)SVCS(サービス)、(7)SOFT(ソフトウェア)、(8)TELE(通信キャリア)]ごとのランキングを出すことができるのだが、サービスでリストを作りなおすと、インドのInfosys Technologies(27位)とWipro(62位)と、日本のCSK(83位)を除けば、すべてアメリカ勢。
また、コンピュータと周辺機器ではアジア勢の台頭が著しいけれど、通信機器とソフトウェアとインターネットにおいては、アメリカ勢が相変わらず圧倒的な競争力を維持している。
果たしてこれから、通信機器のカテゴリーにおいても、コンピュータや周辺機器と同じようなアジアシフトが起こってくるのだろうか。また、インターネット企業については、通信キャリアと同じように、世界各国で独自の会社が育っていくのだろうか。それともアメリカ発世界という構造(Google、eBay、Amazon的)が続いていくのであろうか。
こうした「ベスト100」みたいなリストは、ミクロに見れば粗がいろいろとあるのだが、世界全体をマクロに俯瞰してあれこれと考えるには、とてもよい題材を提供してくれるものだと思う。
最後に、インターネット企業のカテゴリーのトップは、University of Phoenix Online(22位)であった。この会社については、面白いので、いずれ本欄でも取り上げてみたいと考えている。
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