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Yahooインタビュー解説(1)

2004/05/31 09:15
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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Yahoo本社(シリコンバレー)で、Vish Makhijani(VP and GM international search)に話を聞いた記録が、5月24日「Yahooが検索エンジンを自社開発した理由」に掲載された。Vishの雰囲気は、GoogleのOmid Kordestani(業務開発・営業担当VP)によく似ていた。シリコンバレーのハードワーカーの見本のような男である。

総じてこのインタビューでは、予想していた以上に、きちんと話をしてくれたなという印象を持った。Vishには改めて感謝の意を表したい。

今日から、手元にあるVish Makhijaniの肉声(テープ起こし)をもとに、5月24日「Yahooが検索エンジンを自社開発した理由」を、僕の感想も含めながら解説していきたいと思う。まず今日は、このVishという人物の「来し方」とサーチエンジンの歴史に焦点を当ててみよう。

理系だが技術者ではないキャリア

Inktomi時代のVishのレジメには、彼がInktomiに入る前の経歴が書かれている。理系のバックグラウンドだが技術者ではない。

「Before joining Inktomi, Makhijani worked at Pricewaterhouse Coopers in both the company’s New York and Silicon Valley practices where he helped clients, including IBM and Thomson Financial Network, with mergers, acquisitions, and public offering issuances. Makhijani earned a Bachelor of Science degree from the University of Connecticut.」

GoogleのOmidは、やはり理系の大学を卒業したあと、コンサルティング会社ではなく、スタンフォードのビジネススクールに入って、それからネットスケープに行った。2人は経歴的にも、とてもよく似ている。

技術者ではないが、自社の技術、必要となる技術について完璧に理解し(これは理系のバックグラウンドがなくても徹底的な努力とハードワークで何とかなる)、Business Developmentとマネージメントをやる。それで頭角を現せば経営者への道が開ける。

Sotto Voceの村山さんが、そのBlog「The Most Powerful Man in Technology (Journalism)」の中で、ご自身のことを

「「文系オタク」の自分がシリコンバレーでサバイバルできているのは「テクノロジーが好き」「技術そのものは分からなくても、ユーザーレベルで役立つか、役立たないかを考えることができる」「自分の思った事を、技術畑の人々と『普通の言葉で』コミュニケートできる」という3つの特質によるところが大きい」

と書かれているが、文系だろうが理系だろうが構わないが、「その技術を開発したのではないけれど、その技術を完璧に理解している」人々が、シリコンバレーを支えている。

この5年間の変化

さて、僕がまずVishに聞いたのは、1998年末(公式には1999年初となっているようだが大した違いはない)に彼がInktomiに入ってから今日に至る5年半というのは、IT産業全体で見れば「まもなくバブルがはじけて、冬の時代に入り、今もそこから抜け出せない」という期間だったけれど、サーチエンジン産業から見れば、ドックイヤー的な5年間だったんでしょ? ということだった。開口一番、彼は

「That's a good way to put it.」

と言い、こんな言葉を続けた。

「Sure. I think the first period of the search business, actually Inktomi's search engine, which is where the company I came from to the acquisition by Yahoo, we were actually the seventh search engine to market. So it was a period of technology tackling what was one of the toughest math problems. At its core, search is a math problem. And so you had some great minds in the industry tackling what was a very challenging scientific problem, but there wasn't really a sustaining business model that accompanied that in the beginning. So some time went by and incremental improvements continued in the search business, but it wasn't until Overture frankly pioneered sponsored search, and I think it was around -- do you know what the exact date was? It was in '99 or something like that? Yeah, it was '99.」

Yahooは既にOvertureを買収し、OvertureはいまやYahooの一部になっているわけだから、「公式発言としてOvertureの意義を強調することになっている」という面もあろうが、「サーチエンジンビジネスを革新したのはGoogleではなくてOvertureなのだ」と彼がまず強調するところが非常に面白かった。

YahooのAfter Acquisition Management

そしてYahooは、VishがいたInktomiを買収した。

「So the deal was announced in December of '02, and the acquisition was closed in March of '03.」

発表が2002年12月だから、わずか18カ月前のことである。

「So I kind of told most people about the acquisition because I was in negotiation for the acquisition.」

「So when I was at Inktomi, I was the General Manager of the Web search business, so I was involved with the negotiation with Yahoo for the purchase of the company.」

とのことなので、Inktomi側でこの買収を仕掛けた1人が、Vishだったことになる。

「Prior to the acquisition of Inktomi, Yahoo did exhaustive testing of our product. I was involved in those things and we had gotten the product to the point where we knew that we actually had a sustainable foundation for innovation and delivering a high-quality product.」

買収直前に行われた徹底的なDue Diligenceにも、VishがInktomi側の当事者として関わっていた。

そして、僕が「InktomiのAfter acquisition managementはどうだったんだ?」と聞いたとき、「After acquisition managementは自分の仕事だった」と彼はこう答えた。

「That was actually my primary job when I came here. So I would say I did a famous job, I did the job famously. Yeah, so that was actually my primary responsibility when the acquisition was completed, was to integrate our business into a small but fast-growing team here.」

「So we were designed a little bit differently from our organizational perspective. So I worked with a variety of folks. With founders like Dave Filo as well as well as engineering managers and so forth here. All in all, it went quite smooth. We, like I said, we had unbelievable retention of our employee base, which I think is the best evidence of integration gone well.」

「And I think there's no better testament to a good integration than kind of keeping your key employees and delivering a great product to market.」

買収した会社のGMを、買収後経営統合の事実上の責任者にしてしまう融通無碍が、シリコンバレー企業の柔軟さである。その結果、優秀な人材もあまり外に逃げなかったと彼は自慢するわけだ。ただ、これはシリコンバレーの長い歴史の中でも、わずかここ10年の間に急激に進歩した経営手法である。シスコがスタートアップ買収によって成長する1990年代半ばまで、「スタートアップを買収しても、優秀なリソースは皆逃げていくから絶対にスタートアップ買収はうまくいかない」がシリコンバレーの常識であった。この地の常識は、日々細かく塗り替えられている。

興味のある方は、1997年末に書いた「シスコ、買収続け急成長」も合わせてご参照いただきたいが、わずか6年半前でも、スタートアップ買収戦略というのは、シリコンバレーでもとても珍しかったのだ(最近では日本でも常識になりつつあるが)。

さて続きはまた明日。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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