[ゲスト] 岡田正大 Masahiro Okada
5月24日(月)〜5月28日(金)までの間、梅田望夫さんの代わりに慶應ビジネススクール助教授の岡田正大さんがゲストブロガーとして登板します。岡田さんのプロフィールについてはこちらをご覧ください。
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昨日は、梅田さんに慶應ビジネススクールで恒例の講演会(ライブトークとQ&Aセッション)を行なっていただいた。テーマは「グーグルを通じてみるベンチャー企業戦略、IPO、そしてコーポレートガバナンス」。修士課程40名が集まり、グーグルIPOの是非や、インターネットのあちら側やこちら側の話など、100分にわたって真剣な議論を行った。学生達も色々と刺激を受けたにちがいない。梅田さん、お疲れのところ、本当にありがとうございました。
さて、「本当の意味でのネット世代とは」に対しては、洞察の深いトラックバックをいくつかいただいた。例えばF's eyes氏の指摘である。じっくりと読んだ。長くなるが要点を引用させていただく。
「これからの社会と言うのはリアルであっても自律を要求される世の中に変化している。また、今までの社会においても社会をリードするような人は、自我の確立は必要条件であったろう。であるからして、自我の確立=ネット世代とPC世代の差にはならないように思う。」
「ネット社会で生き抜くためには、自我の確立だけでなく、やはりネット社会の事を良く知っていて、その社会でうまく立ち回れる能力」、つまり「ネットリテラシー」も合わせて必要だ。
さらにF氏は自律心の必要性に関連し、
「ネットは個人単位での発信が基本となるために、常に個人単位で判断を求められ、組織の傘の下で守られると言うことはない。このような社会においては、リアル社会のように判断保留で進むことは許されない。常に個人単位で判断をすることが求められる社会というのがネット社会である。これができない人は、ネット社会では大人しくしているしかない。」
そして、リアル社会とネット社会ではそれぞれにおける個人の「地位」の間に互換性がない。リアル社会での肩書きはネット社会では通用しない、と指摘しておられる。
これらの論点には基本的に同感だ。強い自我の存在はネット社会に棲息する資格の必要条件であって十分条件ではない。
だが、「待てよ」、と思った。リアル社会とネット社会は互いに一方の価値観が通用しないような分断されたものなのか。互いに無関係で独立のままで良いのか。このCNETというサイトも、情報技術が最終的には経済的価値に結びつき、実体経済を通じて生身の人間にとっての効用が高められることを目的の1つとしているのではないか。昨日の梅田さんの講演でも話に出たのだが、現実には映画のマトリックスのように、バーチャルリアリティで完結する世界は結局存在し得ないわけだから、やはりネット社会もリアル社会と結びついてその価値を追求するのが自然ではないか。
ネットとリアルの相互作用
私は、ネット社会がリアル社会に従属するといっているのではなく、両者が互いに無関係を装っていることは出来ない、と言おうとしている。それぞれの社会での地位に互換性がないとすることで、今はいわばネット社会が隔離された孵化器の中で育成されているのかもしれないが、前者が後者へ徐々に浸透していくことで、本来は互換性のある、両者が融合した世界が実現するはずだと思う。
現在は過渡期なのだろう。危惧するのは、リアル社会の不特定膨大多数がいつまでもネット社会を特殊なものとして取り合わないような風潮が続いてしまったり、ネット社会がリアル社会から逃避する場として使われたりすることだ。ネット社会はそのような状況におかれるにはあまりに重要すぎる。ネット社会の中で自己完結するよりも、リアル社会への積極的働きかけが不可欠だと思う。
実は、私がこれまでにお目にかかった「真のネット世代」は、リアルの世界における強力な変革者だ。まず、梅田さんや山岸編集長を通じてお目にかかったのがハイテクベンチャーの若き経営者・幹部たち。 そのほかにも多くの若き起業家たち。また一般に大企業といわれる組織の中にも、若き「真のネット世代」が着々と育っているのを知っている。私に身近な慶應関連では、大学発ベンチャーに力を注ぐSFC Incubation Village(SIV)の面々。
皆、情報技術をプロフェッショナルとして駆使しながらネット社会に生き、かつリアル社会にも大きなインパクトを与えている。こうした20代の人々、「世代」は、将来の日本を大きく変えていくだろうな、という予感がしてならない。
「自分への信頼」と「情報リテラシー」を備えた者が真のネット世代ならば、そうした人々は、実は「リアル社会への影響力」も必然的に持つはずである。これら3つの条件を満たしている個人は、当然ながら、リアル社会かネット社会かを問わずに「成功者」たり得る人物であろう。ここを目指すべきだ。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
MostlyVowels on 2004/06/01
包丁や自動車が、元来危険なモノであるにもかかわらず当たり前のように社会に普及しているのは、それを使う人が責任意識を持っているからにほかならないわけで、言うまでもなくネットにも同じレベルのそれが求められます。
そういう「道具」「手段」「方法」であるネットのユーザコミュニティが、社会における特定のプレゼンスを発揮するかどうかはわかりませんが、道具の発達が産業に寄与する役割は小さくはないはずです。
McDMaster on 2004/05/28
2001年にHBR(Harvard Business Review)で紹介されたマイケル E. ポーター氏の論文「Strategy and the Internet」を思い出してほしい。実は、インターネットの本質は、リアル・ビジネスの補完的なポジショニング・手段にあるという。つまり、リアルなビジネスを実現するためのイネーブラーとして価値ある存在となるわけである。このような表現は、Blogやネット・ビジネスに熱狂的な技術者、および研究者の方々から多くの批判を受けるのかもしれない。だが、ネットビジネスは真のコストが見えにくい課題は払拭されていないと思われる。
さらに、「ブランディング」に関して、ネットビジネスはどのような施策を取り得るのだろうか。
例えば、リアルな世界であれば、「ディズニー」や
「コカコーラ」のイメージを想定するのは至難ではない。
ところが、ネットビジネスを展開している企業のブランディングを容易に想定できるだろうか?
おそらく、応えは否であろう。
ここで間違えないでほしい。決して、ネット上で起こっていること、これから起こるであろうことに対して否定論者ではない。むしろ、大切であると感じているからこそ、もっとインターネットとリアルな産業構造について議論したい。同氏のクラスタード理論はネットによって妥当性が再検討されるかもしれない。
しかし、リアルビジネスにとって、必要不可欠なツールとして確固たるポジショニングを持ちつつあることは確かなようだ。
maki on 2004/05/28
お隣から失礼いたします。
世代論的にまとめると、20代が過渡期を上手く経験することで「適応」の出来た世代、10代はもう一歩進んで身体の一部のごとく、シームレスにごく普通に使いこなすハイブリッド世代になってしまうのではないかと感じています。
マイケル・ルイスの「ネクスト」で描かれている少年達の事例や10代で世界中からサイト構築を受けているチーム(しかもチームメンバーは世界中に散在)のエピソードなどを読み、機器として制約の大きいポケベルやケータイを見事に使いこなした女子高生カルチャーを見るにつれ、同種のカルチャーギャップは今後も繰り返し起こり、旧来の文脈では説明し難い事例が蓄積されていく展開になると予想しています。
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自我境界については、rigidな西洋モデル(=Blogが普及しやすい)の反対側に自他同根なモデル(=日記サイト、「はてな」が普及しやすい)もあり、機器との距離感も身体の下位に置く従属型ではなく、身体と融合するモデルの方に進んでいくのが日本ではないかとも考えています。
SW on 2004/05/27
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makiさん曰く:
「例えば、リアルな世界であれば、「ディズニー」や「コカコーラ」のイメージを想定するのは至難ではない。ところが、ネットビジネスを展開している企業のブランディングを容易に想定できるだろうか?」
ここで、「ブランド」を「ある程度の品質が担保されている事を表すマーカー」として捉えれば、Google、Amazon、Apple iTunes Music Store、eBay、cnn.com、priceline.com、lastminute.com等はもう既に十分通用するブランドを構築したネットビジネス、と言えましょう。