[ゲスト] 岡田正大 Masahiro Okada
5月24日(月)〜5月28日(金)までの間、梅田望夫さんの代わりに慶應ビジネススクール助教授の岡田正大さんがゲストブロガーとして登板します。岡田さんのプロフィールについてはこちらをご覧ください。
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留学譚。昨日の話題は国内MBA教育だったのだが、別に私は留学に価値がないと思っているわけではない。むしろ全く逆である。自己鍛錬の場としてこれ以上の機会はないとさえ思っている。
留学関連の話はありとあらゆるところで飽きるほど書かれているのだが、今日の話は少々特殊である(と思う)。それは修士を飛ばして博士課程にいきなり進学してみよう、という話だ。
修士課程を経ずに博士課程に入れるアメリカ
アメリカ(の少なくとも私の知る学校)では修士課程を経ていなくても博士課程に入学できる(そういえば日本でも博士課程前期といいますね、確か)。私が日本でMBAを終え、ADLで1年過ごしたあと進んだのは、Hondaのオハイオ工場時代から縁があった同州立大の経営学博士課程である。
戦略理論で著名なバーニー教授がテキサスA&Mから移ってくるというので渡りに船だった。同期入学5人のうち、1人は学部卒業後数年働いてきたアメリカ人。本来は最短4年のところ、彼はMBAコースから取るため1年よけいにかかるものの、博士課程での快適な知的生活が約束される。
学校にもよるに違いないが、アメリカの博士課程の良いところはそのクオリティの高さもさることながら、まずお金がほとんどかからないことだ。足掛け6年の滞米期間中、私は学校に学費を1セントも納めていない。ごくわずかな学生健康保険料だけだったと思う。月々のコンピュータ使用料も免除だった。学費よりも、5年間で支払った学食でのドーナツ代の方がはるかに多い。
博士課程は学費も免除
「でもそれは奨学金だろう。だれもがそんなうまい話にありつけるわけじゃない」といわれるかもしれないが、実は博士課程の学生は入学から卒業まで全員学費免除(tuition waiver)だった。お金がなくても、外国人でも、やる気さえあれば機会が与えられるところがアメリカの高等教育の懐の深さだ。入学試験もGMAT(もしくは他の社会科学分野であればGRE)と調書、面接が主であり、専門知識に関する試験はない。ポテンシャル採用だった。学校によっては初年度のみ学費を要求するところもあるが、それでも相当に助かる。
その代わり、学生はTA(teaching assistant)かRA(research assistant)として学内で働かなければならない。私はほとんどの学期でTAをした。クラスで教えるのだ。多いときには約300人ほどのクラスも1人で受け持たされた。私の行った大学は教員を補佐するのではなく、博士課程の学生も1人前の教員としてクラス(大半が学部)を持つため、大変によい経験だった。英語も上達した。
働けばわずかだが月給までもらえる。約800ドル。その中から寮費250ドルと光熱費を払って、残りは本代と食事代だ。4ドルで5本入りのソーセージと、99セントで5本入りのバン(細長いコッペパン)でつくる特製ホットドッグが朝食。つまり朝食代は1週間で7ドル。昼は学食で4ドルの中華料理。夜はV8(野菜ジュース)とボンカレーにバタートーストなど。十分生きていける。死なない。同期で韓国から来た留学生には妻帯者もいたが、安い物価に助けられ、何とかなっているようだった。アメリカは食品・食材が安い。こうして、私の資産ポジションは、丸5年間全く減らなかった。
2年間サバイブし、博士論文着手資格試験(general examとかcomprehensive examという)に合格すると、修士号の申請も出来る(私はしなかったが)。あとはABD(all but dissertation、残すは博士論文のみというステータス)となる。
気になったら自分で調べよう
留学とは「お金のかかるもの」だと思って、はなからあきらめている人は是非一度詳細に調べてみることをお勧めする。社会科学ではほぼ似たような条件だと思うが、自然科学分野でのルールは違うかもしれない。今日の話は私の体験談です。その気になった方は一度ご自分でよく検討してみてください。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
KARINO on 2004/06/07
山岸広太郎(CNET Japan編集部) on 2004/05/27
このエントリーのタイトル「おカネを使わずに海外留学をする方法」は編集部に付けていただいたのですが、私の本旨は「タダ」というところにあるのではなく、知的鍛錬の場として留学は大変良い機会だ、という点です。そのfeasibilityとして、米国の博士課程では学費の条件が大変恵まれている、といいたかったのです。もちろん他の国でも良いのです。
Okada on 2004/05/26
たしかに9.11以降、米国では海外からの留学生・研究生へのビザ発給が格段と厳しくなりましたね。日頃から留学生を送り出しているので実感しています。私の頃は平和だったのかもしれません。最近の当校では、ビザだけが理由ではありませんが、より多くの学生が欧州への留学を希望するようになってきています。
Okada on 2004/05/26
zoffy on 2004/05/26
こんにちは
先日、今Stanfordで宇宙工学の博士課程にいる人に聞きましたが、RAをやって月収2500ドル、手取り1800ドル、プラス学費大幅割引、だそうです。勉強で忙しくて使う暇もないので、貯金が減らないどころかお金がたまり、ついに念願の車を買った、と言っていました。
一方で、近くの公立小学校の中には、資金難で運動用具が何もなく、体育の授業はジョギングしかない、なんていうひどいところもあり、アメリカの大学のレベルの高さからは随分落差があったりするのが興味深いところです。
chika on 2004/05/26
rahmenn on 2004/05/26
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費用以外で留学にひっかかる大きな要素としては、‘年齢’があります。
当方そろそろ30代の折り返し地点に到達するマーケティグ担当の会社勤務者ですが、
学部を卒業した時点では全く学ぶことがなかった、包括的なビジネスについての講義には
大変惹かれます。しかし、下手をしたら卒業時に40代に突入すること考えると
躊躇まではいかないのですが、迷いが常に生じるというのが正直なところです。
(卒業後の仕事、体力的に追いつけるか?、出産は?等など)
実際に会社勤めを経てからの30代後半での留学(MBA、ドクター)はまだまだ少数なのでしょうか。