最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

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「ITは重要ではない」から「ITはどの程度重要か?」へ

公開日時:
2004/05/13 09:10
著者:
umeda

昨年ハーバードビジネスレビューに掲載されて話題を呼んだ「IT doesn’t matter」が、その後の論争を踏まえて1冊の本「Does IT Matter?」になった。著者はもちろん論文の筆者でもあるNicholas G. Carr。著者のCarrについては、英エコノミスト誌が「Does IT matter?」で紹介しているが、

「ONE year ago, Nicholas Carr was just another 40-something junior editor at the Harvard Business Review—interested in information technology (IT), sometimes contributing as a writer, but otherwise as unknown to the outside world as such editors tend to be. Then, last May, he published a simple, jargon-free, eight-page article in the HBR, called “IT doesn't matter”.」

何だか嫌味な言い方だなぁ、と思いますね、エコノミスト流の。「ITに興味を持ってときどき何か書いていたけど、編集者の誰もが皆そうであるのと同じように、一年前には誰にも知られていなかった程度の、HBRの40ちょっとのjunior editorが・・・」とは。

多くの人がIT論を考える触媒に

まぁそれはともかく、「人生の勝負所」ということで、Nicholas G. Carrは勢いに乗って、1年で本を書いたわけである。Carrの論はあえて論議を巻き起こすために刺激的にしているという部分が強いため、エコノミスト誌もあんなふうに揶揄するわけだが、多くの人がそれなりに皆、真剣にITの意味について論を立ててくるので、Carrも触媒としては、大きな役割を果たしたことになる。

ニューヨークタイムズ5月6日に、UCバークレイのHal Varian教授が書いた「How Much Does Information Technology Matter?」をご紹介しよう(このリンクは、教授のサイトから張ってきたので、将来もずっと読めるはず)。

これを読む前に、Techdirtの「Commoditization And Innovation - IT Does Matter」を読もう。Techdirtの要約力というのは、いつも有難いと思います。

「Professor Hal Varian, in the NY Times has responded brilliantly to the arguments Carr makes. Carr's assertion (often misunderstood) is that IT is becoming a commodity, and as such, offers no sustainable competitive advantage to companies. Basically, the argument is that everyone can easily have the same IT setup, so it should be looked on in the same way as electricity: a necessary component, but one that gives no particular advantage.」

ここまでが、Carrの論の要約で、以降がVarian教授のニューヨークタイムズでの論について。

「Varian makes the point that we've discussed here in the past: commoditization, by itself, does not mean the end of innovation or the end of business opportunities. In fact, it can be the exact opposite. Commoditized products are inputs into innovation. 」

つまり、Carrの論点は、技術のコモディティ化によって、ITはもはや企業に「sustainable competitive advantage」を提供しない、だって誰もが同じものを電気のように簡単に手に入れられるのだからというもの。しかし、Varianは、コモディティ化自身はイノベーションの終わりやビジネス機会の終わりを意味するものではないし、実際には全くその逆だよ、コモディティ化された製品はイノベーションへのインプットなんだ、と主張する。

さて、本文である「How Much Does Information Technology Matter?」では、冒頭でまずVarian教授は、この本はいい本だと褒めている。

「It's a good book. Mr. Carr lays out the simple truths of the economics of information technology in a lucid way, with cogent examples and clear analysis.」

そして、そこからスタートする全文の最初の半分はCarrの本の要約にあてている。TechDirtの要約よりも長い分、きちんと論旨が要約されている。そちらは原文をどうぞ。

ITは持続的な競争優位につながるか

そして、Techdirtが要約したコモディティ論の部分の文章を引っ張り出せば、

「Standardization and commoditization of a technology don't always mean that innovation stops. Once products become commodities, they can serve as components for further innovation.」

「In the 19th century the real innovations came after the basic building blocks were commoditized.」

「Perhaps information technology is like those standardized parts. Desktop PC's, Web servers, databases and scripting languages have become components in larger, more complex systems. As these components have become more standardized, the opportunities to create innovations have multiplied.」

となり、最後に「Do such innovations offer "sustainable competitive advantage"? Maybe, maybe not.」と問いかけている。

Techdirtはその部分に対して、

「Still, I think the real stumbling block with Carr is his insistence on "sustainable competitive advantage." Let's face it, sustainable competitive advantage is a myth. There is nothing any company can do that can't be copied eventually (or leapfrogged). Competitive advantage is always fleeting. What a good company recognizes, however, is that the way you build the idea of a sustainable competitive advantage is by constantly innovating, so that your fleeting competitive advantages add up to a sustainable one. One way to do that is to recognize commodities for what they are: opportunities for new innovation, and not something to be pushed aside as useless.」

と返している。「sustainable competitive advantage」なんていう概念が、もう既に神話なのであって、現代の競争優位などというのは一瞬の儚いもの。良い会社というのは、「constantly innovating」によって「sustainable competitive advantage」を築くのだ。そのための部品や道具として、コモディティ化されたITを位置づけるわけである。

同じテーマで、もう少し長くきちんと書かれたBlogがある。SAPVentureのJeffrey Nolanの「Gorillas vs. Guerillas」である。こちらも合わせて読まれると、何が論点になっているかが、より明瞭になってくるはずである。

また、さらに興味のある方には、CIOマガジンによるCarrのインタビュー記事「The Argument Over IT」と、ドン・タプスコットによる反論「The Engine That Drives Success: The best companies have the best business models because they have the best IT strategies.」も、合わせて参考文献としてご紹介しておきたい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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