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Googleの独自技術はどこまで汎用的で競争力があるのか

2004/04/15 09:39
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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今日も再びGoogleをめぐるホットな議論をご紹介しよう。

まずは、人気Blog、Kottke.orgの「GooOS, the Google Operating System」である。本欄4月6日「Googleの本質は新時代のコンピュータメーカ」でご紹介したRich SkrentaのBlog「The Secret Source of Google's Power」に刺激されて書かれたもの。Kottke.orgも、Richのこのエントリーを絶賛しており、

「He argues that Google is building a huge computer with a custom operating system that everyone on earth can have an account on. His last few paragraphs are so much more perceptive than anything that's been written about Google by anyone;」

これまでで最も洞察の鋭いGoogleについての論考だと評価する。

Googleが持つ3つのコアアセット

そしてKottkeは、Googleの根幹を、「GooOS, the Google Operating System」と呼び、Googleが現在持つコアアセットを、

(1) the importance of the supercomputer

(2) the scores of Ph.Ds being Google's main assets

(3) the data that they're storing on those 100,000 computers

つまり、(1) 10万台のコンピュータを並べて出来上がったGooOSで動くスーパーコンピュータと、(2) それを作り上げたPh.D連中の才能と、(3) そのコンピュータの中にどんどん溜まっていくデータ、の3つだと規定している。

「So. They have this huge map of the Web and are aware of how people move around in the virtual space it represents. They have the perfect place to store this map (one of the world's largest computers that's all but incapable of crashing). And they are clever at reading this map. Google knows what people write about, what they search for, what they shop for, they know who wants to advertise and how effective those advertisements are, and they're about to know how we communicate with friends and loved ones. What can they do with all that? Just about anything that collection of Ph.Ds can dream up.」

そして、Googleはウェブについての巨大マップを持ち、人々がバーチャル空間をどう動き回るのかを知る。そのマップを格納する最適な場所(それが10万台から出来上がったコンピュータだ)を持つ。そしてそのマップを理解し得るほど賢い。Googleは人々が何を書き(原文ではBloggerへリンクがある)、何をサーチし、何を買おうとし(原文ではFroogleにリンクがある)、誰が広告を出したいのかを知り、その広告がどの程度効果的なのかをも知る。そして、Gmailによって、我々が友人たち等とどうコミュニケートするかも、まもなく知るようになる。それで彼らは何ができるのだろう? Ph.Dを持った連中が夢見るたいていのことは、成し遂げられてしまうだろう。

Googleにとっての競合という概念

そして、Kottkeはこう言う。

「Google isn't worried about Yahoo! or Microsoft's search efforts...although the media's focus on that is probably to their advantage. Their real target is Windows.」

今、Googleは、MSNやYahooのサーチとの競合を全く心配していない。メディアがそこにフォーカスしているのは、Googleにとって有利。Googleの真のターゲットはWindowsだからなのだ、と。

余談になるが、本欄2003年7月17日「Googleの台頭は全てのネットビジネスに影響を与える」で、Roger McNameeに会ったときの話を、

「先日、シルバーレイク・パートナーズのRoger McNameeと話をしたときに、彼は、「GoogleにとってXXXは競争者ではないが、XXXにとってはGoogleが競争者(脅威)に見える、そういうXXXが業界にはたくさんいる。でも、Googleにとっての競争者(脅威)は厳密な意味で存在しない」という表現を使ってGoogleのユニークネスを説明していたが、まさにそういう感じなのである」

とご紹介したが、この部分の彼の正確な発言は、

「But the point is it’s a really short list and the way you know how important they are is that they are going into a space that didn’t previously exist. Or if it existed, there wasn’t anybody doing it their way, so they have no competitors. And that’s the thing about Google is -- Google is a competitor to a lot of other people but none of those people are competitors to Google.」

である。「a space that didn’t previously exist」「there wasn’t anybody doing it their way」が、競争者のいない理由。

「Googleは他の大勢にとって競争者だが、そのどれもがGoogleの競争者ではない」

Rogerのこの言葉を聞いてから約9カ月が経過したが、Kottkeの言う「GooOS」とか、Rich Skrentaの言う「a massive, general purpose computing platform for web-scale programming」の「One and only」性こそが、Rogerの表現をサポートするタンジブルな実体なのである。

Googleが独自の軽いデスクトップOSを提供したら・・・

さてKottkeのBlogは、WindowsへのGoogleの侵攻について、こう続ける。

「Their real target is Windows. Who needs Windows when anyone can have free unlimited access to the world's fastest computer running the smartest operating system? Mobile devices don't need big, bloated OSes...they'll be perfect platforms for accessing the GooOS. Using Gnome and Linux as a starting point, Google should design an OS for desktop computers that's modified to use the GooOS and sell it right alongside Windows ($200) at CompUSA for $10/apiece (available free online of course). Google Office (Goffice?) will be built in, with all your data stored locally, backed up remotely, and available to whomever it needs to be (SubEthaEdit-style collaboration on Word/Excel/PowerPoint-esque documents is only the beginning). Email, shopping, games, music, news, personal publishing, etc.; all the stuff that people use their computers for, it's all there.」

Googleは、バックエンドの「GooOS」と「a massive, general purpose computing platform for web-scale programming」を前提に、いずれ新しいデスクトップ環境をほぼ無償で提供し、我々のコンピューティング環境を一変させてしまうであろう、と。

そしてKottkeは、こう締めくくる。

「I predict Google will be the biggest and most important company in the world in 5-8 years.」

Googleは5年から8年で、世界最大かつ世界で最も重要な会社になる。つまりは、マイクロソフトに取って代わるのだと主張する。

日本の製造業的なブラックボックス思考

さて、本欄4月12日「Gmailをめぐる、日本語ブログの質の高い考察」でご紹介したRadium Software Developmentでは、さらに高度なGoogleについての技術的考察「040408 - String Matching Algorithms」が書かれている。

「Google の技術的バックボーンに関しては,前述の "Google File System" のように,部分的な情報が公開されていることがあるものの,アプリケーションのコアとなる検索エンジンのアルゴリズムに関しては詳しい記述を見たことが無い。改めて考えてみると, Google の検索処理の速度は異常だ。これだけ日常的に Google を利用していても,いまだにその高速性に驚かされることがある。あのように巨大なデータベースからの高速な検索を,どのようなアルゴリズムによって実現しているのだろうかと不思議に思う。

これとちょっと関連があるように思えたのが,先日 Ned Batchelder 氏のブログにポストされていた "Bloom filters" の話題だ。

Bloom filter は,複数の要素から構成される集合のなかに,任意の要素が含まれているかどうかを判定するアルゴリズムだ」

として、Ned Batchelder「Bloom filters」を参照しながら考察を深めている。ここで重要なのは、Googleの競争優位の根幹たるコンピュータがブラックボックス化されている点である。

トラックバックをいただいたBlog「Think negative, act positive」では、そのブラックボックス化の問題をこうまとめている。

「目に見えているサービスはある意味表層的なもので、この会社の強みは、「サービスの製造装置/運用設備」である独自構築のlinux分散コンピューティング環境なんだ、という認識、かな」

「卑近な言い方をするとですね、ビンビンのクラスターマシン群をチューニングできるまっとうなkernelハッカーを雇え、ってことであったり、高機能な独自管理ツールを開発して(なおかつ、それを外部発表することなく)、少人数で数万台のlinuxシステムを一元管理せよ、ってことになる(のか)??」

「大中小を問わず、日本の製造メーカーには、オープンに販売されているものを組み合わせてそのまま使う(オープンアーキテクチャ)のではなく、自社独自の追加機能やソフトウェアを製造設備に追加して、それを製造ラインの中で上手に使うが、その製造ノウハウは外部に出さないという考え方がごく一般的にあります」

「googleはかなり大きな会社だと思いますが、根っこの部分では日本の中堅製造メーカーに似た感じで、インテグレートされた「マシン群」を製造設備として「核」に据え、その周辺に、大学やその他の研究機関の研究室に直結した才能を集め、実験的なプロジェクトの中から面白いものが生まれてくると、それを「核」に取り込んでいくようなイメージ、でしょうか」

これらのコメントは非常に鋭く、正確な視点だと思う。

汎用性と競争力はどの程度か?

Googleの本質は新時代のコンピュータメーカ」を書いて以来、僕が今も引き続き悩んでいるのは、(1) 「さぁこれからカネに糸目をつけずにGoogleを追いかけるぞ」と競争者が決めたときに、このGoogleのブラックボックスは、どのくらい先行しているものなのか? という問題。(2) Googleの新しいコンピュータは確かに凄い代物だが、Rich Skrentaが「a massive, general purpose computing platform for web-scale programming」と言うように本当に「general purpose computing platform」なのであろうか? という問題。つまり、特殊な目的に合致した凄い性能を出すコンピュータというのは、歴史的にみていくつも存在したが、Googleのコンピュータにおける汎用性の度合いがどの程度なのか? という問題。この2つについては、残念ながらまだ、自分なりの答が見出せていない。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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