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優良未公開企業Salesforceは社会貢献に対する考え方が違う

2003/11/20 10:10
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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半年ほど前から「米国ハイテクワールドに学ぶ破壊的創造のマネジメント」と題するシリーズ対談を、ダイヤモンド社「LOOP」誌でやっている。その第7回(12月初旬発売号)のために、Googleに続く有望未公開企業Salesforce.comのCEO・Marc Benioffと会った。いま未公開企業といえばGoogleばかりが注目を集めているが、このSalesforce.comも年間売上高は1億ドル、もうとっくに利益を出して自走している立派な会社である。オフィスはサンフランシスコの一等地のビルの中にある。

ビジネスウィーク11月17日号の「Initial Public Momentum?」のサブタイトルでは、「The Google and Salesforce.com offerings may be harbingers of a hot 2004 for tech」と、Googleと並んで取り上げられ、冒頭でこんなふうに紹介されている。

「With the market for tech IPOs starting to heat up, cubicle dwellers everywhere are excitedly speculating that the Google offering, as well as one from Salesforce.com Inc., could provide the spark needed to really rekindle the market.」

GoogleとSalesforce.comの2004年IPOが市場回復の導火線となるだろうと。

さて、Salesforce.comについては、本欄9月19日「絶望する米ソフトウェア産業と新しい可能性」でも簡単にご紹介したし、彼らの事業がこれから何を目指しているのかは、「LOOP」誌1月号(12月初旬発売)をお待ちください。

さて、今日はMarc Benioffに聞いたこぼれ話を一つ。こぼれ話なんて言うとMarcは怒るかもしれないが、雑談の中で彼が熱心に話してくれた財団(Foundation)の話である。

「成功企業してから社会貢献」ではぜんぜんダメ

「シリコンバレーの会社のほとんどは、成功して大きくなるまではなりふりかまわず競争して、それでものすごく会社が大きくなってからふと気がついたように、はいこのことに100万ドル、はい別のことに200万ドル、みたいな寄付をして、何か社会貢献をやったような気になっているけれど、そういうやり方はぜんぜんダメなんだよ。」

というようなことをMarcは言った。

「会社が小さいうちから、社会貢献という概念を、会社の一部としてインテグレートしたいんだよ。」

それで彼は創業したときから、「1%ルール」というのを作ったという。「1% Time、1% Equity、1% Profit」、つまり社員の時間の1%、株式の1%、利益の1%は、財団活動の原資になるという考え方である。社員が増えれば、社会貢献だけを仕事とするフルタイムの社員も持てるようになるし、時価総額がぐんぐん上がっていけば、財団の資産もどんどん大きくなるし、利益が増えれば財団の運転資金も増える。会社の成長とシンクロナイズするようにして、社会貢献活動も一緒に成長していける。これが彼のビジョンである。競争に追われる殺伐とした雰囲気のスタートアップとは一味違う。

Salesforce.com Foundation専門のサイトがあるので、そこを散策してみよう。ビジョンとしては、

「We are the global leaders in fully integrating business and community service by creating an inspiring and innovative philanthropy model.」

ビジネスとコミュニティ・サービスを一体化して、奮い立つような、そしてイノベーティブなフィランソロピー・モデルを作りたい、という彼の考え方がうまく表現されている。

このサイトのグローバル・プログラムの項には、

「Salesforce.com/foundation operates on the premise that as the company expands globally, the expansion of our social programs will grow in parallel. As salesforce.com opens offices around the world, we are building philanthropy programs to support the needs of these communities. The Foundation opened its first branch offices in Dublin Ireland and London, England in 2002. In 2003 we opened another Foundation office in Tokyo, Japan to support community needs in that region. Volunteer and small grant programs are in place in these locations as well.」

Salesforce.comは東京を含め、既に世界中に拠点を増やしているが、オフィスを開くとすぐに、その地域コミュニティのニーズに合わせたフィランソロピー・プログラムを作る。

「東京にも、事業とは無関係のこういう仕事専属のフルタイムのスタッフが居るんだよ。」

とMarcは教えてくれた。

この財団では、

「The Foundation has supported the development of 43 technology and multi-media centers in 10 countries around the globe.」

Afghanistan、England、Ireland、Germany、India/Nepal、Israel、Japan、Kenya、Laos、United States 10ヶ国で、子供たちのための43個のテクノロジー・マルチメディアセンターを作るのをサポートしている。

「In the case of Kenya for example, a salesforce.com employee out of Ireland applied for a small grant to take the 6 annual service days the company provides and installed a computer lab at a girls orphanage in Nairobi. The Foundation supported his desires with funds for equipment and internet connectivity.」

ケニアの例では、アイルランドのsalesforce.com社員が6 annual service days(有給だと思う)を使って、ナイロビの孤児院にコンピュータ・ラボを設置した。財団がその従業員の希望をサポートして、機器とインターネット接続のための資金を出したという。

「自分でかなりの意思決定ができる会社を持ち、そこに某かのカネが出たり入ったりしている状態」をいったん作ることができると(Salesforce.comほどの成長性を誇るベンチャーでなくたって)、「自分が好きなこと、やりたいこと」、それがたとえ「人のため世のために何かをしたい」という社会貢献願望であっても、個人で奮闘するのに比べて、かなりスケール大きく実現できる。そんなことを、Marc Benioffは、このFoundationという一つの実例を通して、我々に教えてくれているのだと思う。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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