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ハイテク企業のスタートアップに「若さ」は重要か?

2003/10/10 10:00
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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10月7日、「Silicon Valley 4.0」というコンファレンスが開催された。そのときのとても面白い瞬間を、サンノゼ・マーキュリー・ニュースが切り取っている。「Sun is feeling its age in valley of upstarts」の後半。GoogleのCEO、エリック・シュミットと、セコイアのマイケル・モリッツ(Googleのボードメンバー)が「fireside chat」する場面。「fireside chat」というのは、舞台の上に、暖炉のあるリビングルームみたいなセットを用意して、カジュアルに雑談をする雰囲気を作るトークショーみたいなもの。そこでのメインテーマが、「若さ」についてだったという話だ。

「若さ」を恐れるGoogleのシュミット

「Schmidt, asked whether he feared competition from young start-ups, said he worries about it ``every three to five minutes.''」

若いスタートアップからの競争を恐れているかどうか、と尋ねられて、エリック・シュミットは「3分か5分おきに、その心配をしているよ」と答えたらしい。

「Schmidt, leader of Sun's software division in the late 1980s, said his experiences in large companies -- Sun was left unmentioned -- is that ``you get used to things the way they were last year, and the year before.''」

エリック・シュミットが言わんとすることは、大企業というのは、過去に確立された考え方に基づく巨大な事業を持つゆえに、大企業に属していると、過去の常識、過去のやり方に慣れ、自然ととらわれてしまう。それは避けられないことだ。でも、若い人にはその「とらわれ」「しがらみ」がない。そこが恐ろしい、言っているのである。

この記事では、シュミットがSunの話をしているかように書かれているが、自社Googleですら、いや今既に大企業になりつつあるGoogleだからこそ、そういう危険が常につきまとっている、ということを、シュミットは言っているのである。

キャピタリストからすれば若者は良い労働力

一方、ベンチャーキャピタリストのモリッツは、同じ「若さ」を語るにも、もっと通俗的である。

「Sequoia's Moritz went even further. It's not just young companies. It's young people. Citing Bill Gates, Michael Dell and the Google founders, among others, Moritz said 20-somethings have a ``magic,'' a passion and drive, free from the distractions of family, that helps build dynamic companies.」

若い会社というのだけではなく大切なのは「若い奴」なのだ。ビル・ゲイツもマイケル・デルも、Googleの創業者も20代でまったく新しいことを始めたという事実に言及しつつ、モリッツは、「20-somethings」(20代の若い奴ら)にはダイナミックな会社を作り得るマジックがあると言う。そのマジックとは、情熱(passion)であり、やる気の充実(drive)であり、家族の問題に気を散らさずにすむこと(free from the distractions of family)だと言う。

「That's why Google, in its intense effort to hire employees, is focusing on ``getting 25-year-olds,'' he said. 」

だからGoogleは「25歳を雇え」という採用戦略を取っているのだ、とボードメンバーのモリッツは言う。若ければ給料だって安く押さえられる、という計算だって投資家としてある。

しかし、2人とも同じように重要視する「若さの価値」だが、ベンチャーキャピタリストは「働ける時間の長さや仕事に集中できる環境」みたいな面で実に通俗的にとらえ、技術者でありビジョナリーであるシュミットは、「若いゆえにまっさらな状態でモノを考え得る価値、つまりそのことによって生み出されるブレークスルーの可能性」を重視している点に、大きな違いがあるのである。

本欄10月8日「僕がこの連載でやろうとしていること」でギークとスーツの対立というような話に少しだけ触れたが、エリック・シュミットのような人物がシリコンバレーで高い評価を得るのは、ギーク世界からもスーツ世界からも絶大な信頼を集めることができる経験であり見識であり人柄ゆえなのである。この短いやり取りだけからでも、シュミットの立っている地平みたいなものを垣間見ることができる。

ベテランの重要性を主張する人も

そして面白いことに、このやり取りをたぶん会場で聞いていたのだろうBill Colemanが憤慨したらしい。

Bill Colemanは55歳。「vice president of system software at Sun during the 1980s」80年代にサンのシステムソフト担当副社長をつとめ、

「He left Sun to become co-founder of BEA Systems, in 1995, a company that saw early the need for the Web application server -- which beat out Sun for market leadership.」

そして、1995年だから、40代後半のときに、BEA Systemsを共同創業した人だ。そして今、50代半ばになって彼は、

「One is Menlo Park's Cassatt, unveiled last week and which hopes to conquer Sun's data-center management business.

Cassatt, led by founder Bill Coleman, just swiped 19 of Sun's top programmers from its N1 group in Colorado. N1 is precisely the project that Sun has high hopes for helping it out of its mess -- the data-center management business.」

Cassattというベンチャーを創業し、コロラドのサンの技術者をたくさん引き抜き、サンのデータセンター事業を脅かそうとしている。

「There's disagreement about whether youth is everything, namely from Cassatt's Coleman. For every one successful start-up by young people, he says, he can list a hundred successful companies that were built by people with more experience.」

「若い奴」で成功したベンチャーなんてほんのわずかだ。もっと経験豊富な人々によって作られた成功企業のほうが100倍も多いぞと、Colemanは会場から、きっと毅然とした声で、2人に向かって語ったのだろうと思う。

このやり取りから、「若さ」についての何か一意的な結論を導こうとは思わない。

ただ、シリコンバレーの雰囲気がよく現れている「いいシーン」だなと思ったので、ちょっとご紹介しておきたかったまでである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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