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バブルの波に乗るのは悪いことか?

2003/09/29 10:05
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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Forbes誌の「Purple People」を読んでみよう。この記事のサブタイトルは、

「When the Internet roared, Yahoo spent lavishly on acquisitions, making hundreds of people into instant millionaires. What happened to all that newfound wealth?」

ネットブームの90年代後半、Yahooは膨大なカネをかけてスタートアップ買収を繰り返した結果、何百人ものインスタントミリオネアを生み出したが、彼らには何が起きたのか。この記事では4人の人物のその後を詳しく書いているが、最初に出てくるのが、Trevor Blackwell。

「Blackwell, 33, already has played a bit part in changing the Internet world. In 1995, while working on his Ph.D. thesis in computer science at Harvard, he helped launch a startup called Viaweb that set up online storefronts for retailers. In June 1998 he hit the jackpot--the 20-employee company got acquired by Yahoo for $49 million in stock. Blackwell's share was "in the low eight digits," he says.」

今33歳の彼は、1995年にハーバードのコンピュータサイエンス学科の博士課程に居たときに、Viawebというスタートアップの立ち上げに参画。1998年の20人になったところで、Yahooが4900万ドルで買収。彼の取り分は「low eight digits」つまり、1000万ドルを越えた。税金やら何やらを払っても数億円は手元に残る金額だ。

「But along the way he cashed out enough of his "purple dollars" (purple is a Yahoo signature color) to pay for the robot venture.」

「He figures he will put $1 million of his own money into the venture before looking for other investors.」

そのカネで彼はロボットベンチャーを興した。この記事のタイトルが「Purple People」になっているのはYahooのテーマカラーが紫だからだ。

バブルが生み出した億万長者のその後

「During the bubble, deals like the Viaweb purchase happened almost daily. From 1998 to 2000 North American tech companies spent $1.66 trillion on acquisitions, says Broadview International. They paid, for the most part, with the funny money of their own inflated stock. When the bubble burst, what happened to all that wealth? Some of it evaporated, when insiders couldn't or wouldn't sell.」

バブルの最盛期に、米国企業は、「$1.66 trillion」(1.6兆ドル、つまり約190兆円)を買収に費やした。高騰する株式との交換も多かったから「真水のキャッシュ」はそれよりもぐんと少ないだろうけれど、それでも莫大な金額だ。

「During its buying spree, which peaked just before the turn of the century, Yahoo spent $10 billion on acquisitions, creating some 450 new millionaires. (It continues to do so; its recent $1.63 billion cash and stock deal to acquire Web search firm Overture leaves founder William Gross with $75 million.)」

Yahooは、$10billionを買収に費やし、450人のミリオネアを生み出した。

この記事では、Trevor Blackwellに続き、Mark Cuban、David Bohnett、Amr Awadallahという起業家的な生き方を選んだ3人にフォーカスをあてているが、興味のある方は原文をどうぞ。

「FORBES tracked down 25 individual sellers in the Yahoo deals and found that every one of them is at work on something new and vital, a few of them on several projects at once. Only five still work at Yahoo. Ten are entrepreneurs. Four are angel investors or venture capitalists, and two others are weighing new chief executive jobs. The rest are teaching, writing or consulting. Sure, for many their workdays are shorter than they used to be, but entrepreneurial drive is tough to quash.」

Forbes誌は、数百人のインスタントミリオネアのうち、25人を調べた。うち5人が買収されたあともYahooで働き、10人が起業家の道を歩き、4人がエンジェル投資家またはベンチャーキャピタリストになり、2人が既存企業のCEO職についた。残り4人が「教えたり、書いたり、コンサルティングをしたり」している。ほとんどの連中が、もちろん以前より働く時間は短くなったが、起業家的生き方を捨てていない(いくらカネを持ったとしても起業家的ドライブは鎮められないのだ)とこの文章は締めくくる。

もう一度バブルがきたら?

さて、この話はバブルの真っ只中で起こった物語とその後日談である。これを読んで、本欄の読者の方々はどんな感想を持たれるであろうか。感想をと問えばあまりに漠然としているから、わかりやすい質問に変えて問うことにしよう。

「バブルにつながるかもしれないブームが再び訪れ、こういう可能性があなたの前に開いたら、あなたはどうしますか?」

僕が最も尊敬するシリコンバレーの日本人の1人に、Skyline Venturesというベンチャーキャピタルのジェネラルパートナー・金子恭規さんという人が居る。ITの人ではないから本欄の読者で知っている人は少ないかもしれないが、バイオの世界では有名な人だ。

金子さんに初めて会ったとき、僕はこう思った。

「この人に自分のカネをまるごと全部預けてみたいなぁ」

誰かに出会ってこんなふうに思ったのは、後にも先にも金子さんただ1人だが、類稀な知性を持ちつつ「ビジネスで勝負したら必ず勝つぞ」というオーラをも強く発散している人だ。

その金子さんをインタビューして書いたエッセイの前編がフォーサイトのウェブにアップされた。「狩猟民族型ビジネスマンの戦いの日々(上)」である。

まだ前編だけだがリンクをたどってお読みいただければと思う。金子さんは、慶應義塾大学医学部を卒業して医師になるも、医局に入って半年でやめてビジネス界に進み、ジェネンテックというバイオベンチャーの草分けで活躍したあと、バブル期の日本に戻り投資銀行業務で大きく稼ぎ、バブル崩壊の前に日本を離れ、今度はシリコンバレーで共同創業したバイオベンチャーを米国バブル最盛期に公開させ、いまはシリコンバレーでベンチャーキャピタルを経営している。彼は時代の流れを読む嗅覚にすぐれ、大きな商売になる場所を探し当ててその場に身を置き、そこで大きく勝負する狩猟民族型ビジネスマンなのである。彼にインタビューしたときに感じた

「バブルだろうが何だろうが目の前にチャンスが開けているときは自己責任で行動して勝負する」

という彼の信念に、僕も強く共感するのである。

「誰も人の一生を面倒見てくれないんだから、自分の責任で勝負して、生きていくしかないじゃないか」

というのは至極まっとうな考え方だと僕は共感するのである。

人生はサバイバルゲーム

バブル経済を礼賛するつもりはないが、経済がある動き方をするときに、一個人の立場で、その経済の動き方が正しいとか正しくないとか言っていても仕方ない。そういう経済を前提として、そのときにどういう生き方ができるかが勝負だと、僕は思っている。人生は結局のところサバイバルゲームなのであるから。

ビジネスの世界というのは、芸術家やプロスポーツ選手のように、天賦の才に恵まれなければダメという世界ではない。

そういう「誰にも開かれている」ビジネスという分野だからこそ、別にそれがビジネス社会の主流たる考え方になってもらう必要はないけれど、「元手がなくても短期間で大きく稼げるチャンス」がどこかで開いていてほしい、と僕は昔から思っていた。

こういう話を書くと、あるタイプの日本の読者から強い反発を受けることがある。そんなことは承知の上で今この文章を書いているのは、資産形成は人生においてものすごく大事だし、おカネのことについては若いときから真剣に考えて計画したほうがいい、と僕は強く確信しているからだ。

今日ご紹介した記事のようなある種の行き過ぎは、確かにシリコンバレーのバブル最盛期にはあったけれどプロスポーツの世界にも似た短期決戦型ハイリターンの可能性が、ハイテク分野においてちゃんと開いていてくれるというのは「絶対にいいこと」だと、僕は考えている。

社会全体という観点から、それがバブルだとか何だとか後で言われようが、合法的に稼げるチャンスが自分の前に広がっているときは、自己責任でそのチャンスを掴むべく動くのに躊躇する必要は全くない、と思う。カネは、自由を得るための唯一ではないが大きな武器の一つなのだから。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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