最終更新時刻:2008年9月5日(金) 23時13分

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そうは言っても優秀な人材をひきつけるマイクロソフト

公開日時:
2003/09/25 10:05
著者:
umeda

Business 2.0誌最新号のトップ記事は「Baby Bills」(無料で読めるのは1ページ目だけで後は有償の雑誌購読者用)である。米国の地域電話会社のことを「Baby Bells」と呼ぶが、それと引っ掛けたタイトルで、Microsoftの若いビル・ゲイツ(Bill Gates)後継者について書かれた記事だ。記事のサブタイトルは、

「A cadre of young, scary-smart executives is coming into power at the world's most important tech company. Someday one of them will be boss.」

若くて怖ろしく頭のいいエグゼクティブ幹部候補が、世界で最も重要なテクノロジー企業(Microsoft)の実権を握りつつある。いつの日にか、このうちの誰かがトップに上り詰めることだろう。ゲイツ・クローンという言い方もよくされるのだが、新卒でMicrosoftに入りゲイツに仕込まれて純粋培養された「scary-smart executives」がMicrosoftの要所要所で活躍し始めている話である。30代の連中が多い。本欄5月14日「中年期を迎えても若さを失わないマイクロソフト」でご紹介した「Longhorn」開発責任者のChris Jones(当時33歳、いま34歳)もその1人で、この記事でも紹介されている。

「They are also the first generation to have emerged from a leadership farm system, formalized in the late 1990s, that Spencer Stuart recruiter and author James Citrin likens to the fabled talent nursery at General Electric (GE). Says Citrin: "Microsoft is doing a spectacular job developing a whole cadre of general managers in the technology industry. Such a thing really hasn't existed before."」

Microsoftが1990年代に完成した「リーダーシップ・ファーム・システム」から生まれたリーダーの第一世代が彼らなのだという。

この記事で取り上げられているのは次の7人である。詳細は原文をどうぞ。

「(1) Eric Rudder

Age (tenure): 36 (14 years) | Senior vice president, Servers and Tools | Claim to fame: Trumped Java with .Net tools

(2) Chris Jones

Age (tenure): 34 (12 years) | Corporate vice president, Windows Client Group | Claim to fame: Led development of Internet Explorer and Windows XP

(3) J. Allard

Age (tenure): 34 (12 years) | Corporate vice president, Xbox Platform | Claim to fame: Helped create Xbox

(4) Yusuf Mehdi

Age (tenure): 37 (12 years) | Corporate vice president, MSN Personal Services and Business Division | Claim to fame: The marketer behind Internet Explorer and MSN

(5) Steven Sinofsky

Age (tenure): 38 (14 years) | Senior vice president, Office | Claim to fame: Helped clue in Bill Gates to the importance of the Internet

(6) Martin Taylor

Age (tenure): 33 (11 years) | Platform strategist | Claim to fame: Cracked the whip on customer satisfaction

(7) Tami Reller

Age (tenure): 39 (19 years, most at Great Plains) | Corporate VP, marketing and strategy, Business Solutions | Claim to fame: Helped integrate Great Plains into Microsoft」

知的エリートを養成するマイクロソフト

Microsoftやビル・ゲイツには毀誉褒貶がつきものであるが、Microsoftという会社が、アンビシャスで優秀な若者たちにとって、挑戦し甲斐のある場所であることは間違いない。Microsoftの人材についての考え方は、「マイクロソフト・ウェイ」という本に書きつくされているので、興味のある方はぜひこの本をお読みいただきたい。何箇所か象徴的な部分のみ、引用しておこう。

「ほとんどの人は、マイクロソフトとはゲイツとそのクローン集団であると思っているのではないだろうか。ここには頭のいい人がとにかく多い。マイクロソフトが知的エリートを養成していることは、とても興味深いことだ。それをマイクロソフトが重視していることと、人々がマイクロソフトに反感を持つこととは連動していると考えられるからだ」(24ページ)

「ゲイツが考える最高のプログラマーとは、超秀才(Super Smart)である。この超秀才というのはゲイツが好んで使う言葉で、多くの属性をあらわす。そのうちのいくつかをあげると、新しい知識をすばやくリアルタイムで飲み込む能力、鋭い質問をする能力、異なる分野の知識を関連づけて理解する能力、プリントアウトされたコードを一目見ただけで理解できるほどプログラミングに長けていること、ドライブや食事のときまでコードのことを考えているような熱意、極度の集中力、自分が書いたコードを写真のように思い浮かべられる能力などがある」(61ページ)

「ゲイツは、優秀なプログラマーを集めれば、同じレベルのプログラマーを引きつけることができることを見抜いていた」(66ページ)

本欄月曜日にご紹介した「データベースの権威が望遠鏡に注目する理由」のJim GrayもMicrosoftの人であるが、Jim GrayをMicrosoftに引っ張ったのは本欄でも何回かご紹介したGordon Bellだ。Gordonを引っ張ったのはもちろんゲイツ。

「なぜマイクロソフトに?」

と、僕はマイクロソフトに入った直後のGordonに尋ねた。95年頃のことだ。その質問に答えてGordonが言った言葉をいまもよく覚えている。

「いまのコンピュータ産業界でいちばん頭のいい連中がマイクロソフトに集まっている。ビルがその頂点にいる。だからマイクロソフトに行くことにした」

ちなみに、この「マイクロソフト・ウェイ」という本の実践編みたい位置づけにあるのが、最近出た「ビル・ゲイツの面接試験」という本である。

マイクロソフトの社員によるBlog

ところで最近、「Better Living Through Software: Life at Microsoft, the software industry from a rational perspective」というMicrosoftのBloggerによるBlogを見つけた。面白かったのは、彼の自己紹介部分

「Even more specifically, I choose to report from my own point of view -- as a software developer who believes that developers should make money based on the value they provide, and has expressed this belief by working for Microsoft.」

ソフトウェア開発者は自分たちが提供した価値の分だけ報酬を受けるべきであると信じ、その信念を、Microsoftで働くことで表現している。彼はそう自己紹介する。これは明らかに、Attentionをファーストプライオリティとし、無償で価値提供するオープンソース・プログラマーを念頭に置いたものだ。オープンソース・プログラマーが脚光を集める中、Microsoftのプログラマーがこういう考えを表明するのは、至極まっとうなことであると思う。

そしてさらに、Disclaimer(否認表明文書)欄が、Microsoftのプログラマーの雰囲気がよく出ていて面白い。このサイトはすべて個人の意見に基づくもので会社とは関係ないも云々と紋切り型の文を書いた後の全文と、その訳は以下の通りである。

「So why do I even mention the "M" word, you ask? First, if I spewed my biased opinions without disclosing my employer's name, some overimaginative hater would figure it out anyway, and assume I was hiding something, and start bandying about comparisons to some famous shill incident. I'm not hiding anything, I am biased, and there is no "secret conspiracy" going on. Second, when I chat with strangers on an airplane, on the street, or wherever, sometimes the topic of my employer comes up, and I don't feel I should avoid talking about the software industry. Heck, the software industry is my work and my hobby, so what else would I talk about? Third, I've worked a number of places before, and all had different characteristics. I'm where I am because I like this place best (otherwise I would work somewhere else, get it?) but I'm aware that different people desire different things. Microsoft is definitely not the best place for everyone, and maybe some of my comments about my personal experiences will help potential co-workers evaluate their decision to apply or not.」

第一に、雇用主(Microsoftのこと)をディスクローズせずに、僕がバイアスのかかった意見を吐くとしよう。そうしたら、「overimaginative hater」(想像力過剰のMicrosoft嫌いの奴らという意味だと思う)が何とかして僕の雇用主がMicrosoftであることを見つけ出して、僕が何かを隠しているだとか、Microsoftのちょうちん記事みたいなものを書き出す(という意味だと思う)とか勝手に言い出すに決まってる。そう、僕はバイアスがかかっている。でも僕は何も隠していない。「秘密の陰謀」なんてどこにもないんだ。

第二に、僕が飛行機の中などで知らない人と話をするとき、僕の雇用主(Microsoft)の話題になることがある。僕はソフトウェア産業の話題を避けるべきだなんて気持ちは持っていないからね (そういう話をすると必ず嫌な思いをする、ということが言外に現れている) 。ちくしょう。ソフトウェア産業は僕の仕事であり僕の趣味なんだから。他にどんな話をしたらいいっていうんだ。

第三に、僕はずいぶん色々なところで働いてきたが、どこもかしこも皆、違う特色を持っていた。僕がいまここにいる(Microsoftに勤めている)のは、ここがいちばん好きだからだ。そうでなかったら、他の場所で働いているよ。わかった? でも、別の人たちが別のことを求めているのはよく知っている。当たり前のことだけれど、Microsoftは、すべての人にとってベストな場所じゃあない。たぶん僕の個人的経験についてのコメント(つまり彼のBlogの内容)が、Microsoftに応募するかどうかの意思決定に役立つことになるかもしれないね。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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