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CNET Japan ブログ

Linux、Google、Blog再考

2003/09/12 10:05
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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今日は、夏休み明け以降に書いたもので人気の高かったものへのフォローアップをまとめて。

インフラとしてのLinux

8月26日「今までのLinuxビジネスは革新的じゃない」ではDebian創始者、Progeny創業者のIan Murdockの考え方について議論したが、とても参考になるトラックバックをいくつもいただいたので、まずご紹介しよう。

まずは、arclamp.jpの「コンポーネント・ソフトウェアとは何か」でyusuke氏はこう書いている。

「ソフトウェアビジネスをどう理解するかというと、僕自身は以下の式で考えている。

問題を解決する = 理想の形を考える力 + 解決策(ソフトウェアコンポーネント + α)

顧客の問題を解決するためには、まず解決後の理想の形を考えて、そこにいたる解決策をしめす必要がある。いわゆるコンサルティング能力である。次に、その解決策は、ソフトウェアコンポーネントと+αで提供される。もちろん、ソフトウェアコンポーネントは、他からお金で買ってくるもの。で、+αというのが、肝だ。」

「この考え方に基づき、エンジニア視点で考えたときに、Ian Murdock氏のいわれるコンポーネント化という言葉の奥深さに感銘を受けた。Murdock氏は、Linuxは解決策じゃなくてソフトウェアコンポーネントなんだよといっている。であれば、コンポーネントというものは、「+αしやすいようにつくらなければいかんよ」と言いたいのだと思う。Linuxディストリビューターが勘違いしちゃっているのは、Linuxにいろいろ乗せて販売して、それを解決策のように言っていることだ。コンポーネント屋はもっと違うアプローチをしなくてはいけない、と。そこで、Murdock氏の会社では、カスタマイズしやすいLinuxというアプローチを取っているのだと思う。」

また、わんこ日記からは、

「RedHatは、Linuxをパーケージとして売っていて儲けているけど、Linuxのビジネスは、それだけじゃないと確かに思う。

Linuxの嬉しいところは、製品OSに比べて新技術が、どんどん取り込まれて、新しい機能が、どんどん使えるようになっていくことだと思う。もちろん製品OSも、その技術や機能が良ければ取り込まれていくのだけど、オープンソースの作成者が自分の使っているような小規模サーバとして必要な機能を作っているものも多く、製品OSのようなエンタープライズがターゲットとしていない物もあったりして、それは製品OSには組み込まれない。

たとえば、電話での音声(留守番電話)、FAX、ダイアルアップログイン、ダイアルアップIPが自動切り替えで受信待機できちゃうvgettyとかね。

そのような物を含めて、ユーザに必要な機能だけを取り込んで、ユーザに必要なカスタムメイドのOS基盤としてLinuxを利用するというのが正しいLinuxの使い方なのかもしれない。

カスタムLSIがあるように、カスタムOSが有ってもいいじゃない。

で、当然、その上に、ユーザが必要な機能を取り込んで製品にすると、ユーザはOS基盤がなんだか分からなくても全く問題なし。(良い感じ)」

またHomelogからは、

「僕は元Debian派であり,現在も研究でDebian使いまくりなわけで,Debian創始者さんの言う内容には納得させられます.やっぱりハコ売りの Linux てのにはどうしても馴染めない.現在のRedHatがMSのようにサポート期間をどんどん短くしていることとか.で,現在は FreeBSD 教に改宗しているので,Linux (特にDebian) が如何に個別のプロジェクトの寄せ集めによって成り立っているか,てのが分かります.」

「で,Linuxはインフラ技術だってところ.最近の流れである組み込みLinux(Linux-ZaurusとかコクーンとかTivoとかその他諸々)を見るにつけ,なるほどねー,と思う.一般ユーザにとってOSなんてなんでもいいのです.」

というトラックバックを、それぞれいただいた。

この連載を始めて良かったなぁ、と思うのは、僕が興味を抱く対象について、こうしたトラックバックをいただくことによって、より深く考えることができるようになったことだ。

このIan Murdock氏の考え方について、最も新しい記事としては、Linux Planetが「The Closing of the Bazaar」をつい最近掲載した。前回ご紹介した論考よりももっと直接的に、Linuxディストリビューター(特にRed Hat)の問題点を指摘している。興味のある方は是非ご一読ください。

サーチエンジンは自らの成功の犠牲者

8月28日「Googleを取り巻く苛酷な競争」との関連で面白かったのは、LooselyCoupled.comの9月1日のBlog「Google's crisis」だった。

「The search engine is a victim of its own success. It's still better than anything that came before. But users are getting increasingly frustrated with their inability to find what they want using Google. There are two reasons why this is happening:」

サーチエンジンは自らの成功の犠牲者である。Googleは、過去のどんなサーチエンジンよりも良い。でもユーザは、Googleを使っても自分が欲するものが見つけられないことで、フラストレーションをどんどんためるようになってしまった。その2つの理由とは、まず

「Users have come to depend on Google so much, they expect it to deliver a perfect search result every time, even when that expectation is unreasonable.」

ユーザが過度にGoogleに依存するようになり、どんなときにも完璧なサーチ結果を期待する(たとえそれがどんなに非現実的な期待であっても)ようになってしまっている。つまり、ユーザの過剰な期待という問題。そして、

「More and more website owners understand the importance of optimizing their sites for Google, which increases the number of matches that are found for each search.」

それぞれの(検索される)ウェブサイト側が、自サイトをGoogle向けに最適化することの重要性に気づいたことだ。つまり、膨大な検索対象サイトのそれぞれがGoogle武装し始めた結果、サーチ結果にノイズが出るという問題である。

特に2点目が重要な指摘で、次の文章が本質的だ。

「It's a simple matter of network economics. The more popular Google becomes, the more important it is for website owners to gain a high ranking. This is a numbers game that Google can't win. Google's ranking algorithms are a centralized system. It's inevitable that, sooner or later, it will succumb to a tipping point at which the number of autonomous independent agents trying to outwit it will always triumph, simply due to the sheer weight of their random numbers.」

Googleのランキングアルゴリズムが1つのcentralized systemであるのに対して、敵は、Googleの鼻をあかそうとする膨大な数のautonomous independent agents。遅かれ早かれ、分散無数が勝つに違いない、とこの文章は結論付ける。

「This is not a challenge that's unique to Google, of course. Each development of the network is like peeling an onion. There's always another layer of decentralization and automation to go through. Yahoo! succumbed because its human operators couldn't categorize the Web fast enough. Now Google is succumbing because its human developers can't devise algorithms to outwit the smarter nodes fast enough.」

これはGoogle固有の挑戦ではない。ネットワークの本質である。ネットワークはたまねぎの皮むきみたいなもの。Yahoo!は、人間のオペレータが十分に早くウェブをカテゴライズできなかったために敗れたが、今Googleは、知恵のある膨大なノード群の裏をかくアルゴリズムを人間の開発者が十分早く工夫できない、という課題によって敗れようとしているのではないか。

このBlogはなかなか本質的で面白いので、興味のある人は原文をどうぞ。

Blogの経済的価値

そして、9月1日「Blogの経済的価値」に関連した論考として、Clay Shirkyが、「Fame vs Fortune: Micropayments and Free Content」という長文の論考を発表した。マイクロペイメントは絶対にワークしないという主張。

「These systems didn't fail because of poor implementation; they failed because the trend towards freely offered content is an epochal change, to which micropayments are a pointless response.」

These systemsというのは過去から現在までのマイクロペイメントのシステムのことだが、それらが失敗したのはインプリメンテーションがまずかったのではなくて、もっと本質的な問題(無償コンテンツの爆発的増大というトレンドの前でマイクロペイメントの意味がなくなってしまった)ゆえに失敗したのである。

彼はメンタル・トランザクション・コストというNick Szabo氏の概念を、

「the energy required to decide whether something is worth buying or not, regardless of price」(価格の多寡にかかわらず、何かが買うに値するものかどうかを判断するために必要となるエネルギー)

と、紹介した上で、

「Mental transaction costs create a minimum level of inconvenience that cannot be removed simply by lowering the dollar cost of goods.

Worse, beneath a certain threshold, mental transaction costs actually rise, a phenomenon is especially significant for information goods. It's easy to think a newspaper is worth a dollar, but is each article worth half a penny? Is each word worth a thousandth of a penny? A newspaper, exposed to the logic of micropayments, becomes impossible to value.」

「Mental transaction costs help explain the general failure of micropayment systems.」

メンタル・トランザクション・コストという問題こそが、マイクロペイメント・システムの失敗を説明できるとClay Shirkyは言う。僕も全く同感である。

アフィリエイトへの期待

ただ、9月1日「「Blogの経済的価値」へのトラックバック(そして過去の同様のテーマに対するトラックバック)を見て感じたのは、ほんの一部の人を除いては、コンテンツ1つ1つに安い値段をつけて読者に支払ってもらうというマイクロペイメント・システムにはあまり期待をかけていないということ。かわりに、ネタフルのBlogのように、

「ウェブから収入を得るということに対して、ぼくが得た1つの答えはアフィリエイトプログラムです。」

「参考までに、ここ2〜3ヶ月のネタフル経由の売り上げは毎月150万円以上になっています(ネタフルの売り上げではないのでご注意を)。腰を入れてアフィリエイトを始めてから、そろそろ1年になろうとしていますから、この数字が大きいと思うか小さいと思うかは人それぞれでしょう。」

「ネタフル経由の売り上げは150万円以上ありますが、アフィリエイトですので手元に入ってくるのは1%です。つまり15,000円です。」

「そこで最初のWeblogで生計が成り立つか否か、という問いに戻る訳ですが、コンテンツの量が10倍になれば、ある程度は可能なのではないか、というのがぼくの感想です。いま、Weblogのエントリー数は200強です。Weblogを書いていると飛躍的にエントリー数は増えていきます。ですので、このエントリーが5倍、10倍になるひもそう遠くはなく、それなりにアフィリエイトからの収益も増えていくのではないかと思います。」

とあるように、まだまだ始まったばかりのアフィリエイトが化けていく可能性に対してあまり早期にノーと言うべきではない、というご意見は、とてももっともなものと感じた。このネタフルの別のエントリーへのコメントで、

「そうですよね。Googleがしていることの重大さが最近ようやくわかってきました。w

エントリーごとにアドセンスのタグを自動で挿入するようなことができれば、アドセンスを利用した書き手に対するマイクロペイメント的な報酬のバックを行うことで、(それ自体で生計を立てるのは難しいかもしれないけれど)ブログに記事をパブリッシュすることで収入を得る、ということが可能になる予感がしています。」

というのも印象に残った。むろん「生計を立てる」の定義となる報酬水準について、それぞれ皆、期待値は違うわけだが、いずれにせよ、マイクロペイメント的アプローチよりも、アフィリエイト・アドセンス的アプローチのほうが面白い、期待できるという点では、ある種の合意形成ができつつあるように思う。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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