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無償公開で世界に広がるMITの授業

2003/09/08 10:05
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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MITのオープンコースウェアの現在について、Wired誌に長文の報告記事「MIT Everyware」が掲載された。

2001年4月にMITオープンコースウェア構想が発表されて以来、僕はずっとこの件については強い関心を抱いて、その進捗を見つめてきた。

2001年4月に「MITの授業教材無償公開に思う」(日経BP・BizTech eBusinessで)、2002年10月に「起業家精神こそ経済再生の決め手」(産経新聞「正論」欄で)、と「MITのオープンコースウェア」(本連載の前身だった個人サイトのBlogで)を書いた。

本欄でもどこかでちゃんとご紹介したいと思って、オープンコースウェアについてのきちんとした記事や論考をずっと探していたのだが、なかなか出会えなかった。このWired誌の記事は、2001年4月の構想発表時、2002年9月のパイロットプログラム公開時以来、米国メディアが久しぶりに取り上げたものと言えよう。今日と明日の2回に分けて、MITオープンコースウェアについて一緒に考えていきたい。

MITの2000コースの内容を無償で公開

まずはMITオープンコースウェアとは何か。

「When MIT announced to the world in April 2001 that it would be posting the content of some 2,000 classes on the Web, it hoped the program - dubbed OpenCourseWare - would spur a worldwide movement among educators to share knowledge and improve teaching methods. No institution of higher learning had ever proposed anything as revolutionary, or as daunting. MIT would make everything, from video lectures and class notes to tests and course outlines, available to any joker with a browser. The academic world was shocked by MIT's audacity - and skeptical of the experiment. At a time when most enterprises were racing to profit from the Internet and universities were peddling every conceivable variant of distance learning, here was the pinnacle of technology and science education ready to give it away. Not the degrees, which now cost about $41,000 a year, but the content. No registration required.」

MITの2000にも及ぶ授業コースのコンテンツをすべて(everything, from video lectures and class notes to tests and course outlines)ネット上で無償公開するというプロジェクトである。MITの学費はものすごく高い(4万1000ドル/年かかる)が、学位が必要でないならば、登録不要で、MITの授業を独学できるというわけだ。より詳しくこの構想の背景や定義を知りたい方は、冒頭で僕が過去に書いたものをいくつかリンクしたので、そちらをご参照ください。

さて、このWired誌の内容を読んでいくのは明日にまわすとして、まずは最も人気が高いコースとしてこの記事に取り上げられている「Laboratory in Software Engineering, aka 6.170」(akaはalso known asの略である)とはどんなものか、見にいってみることにしよう。

Electrical Engineering and Computer Science」で、今のところ教材がアップされている授業コースを一覧することができる。

大規模ソフト開発の授業が人気

人気の授業とは、「6.170 Laboratory in Software Engineering, Fall 2001」である。コースの記述は、

「Introduces concepts and techniques relevant to the production of large software systems. Students taught a programming method based on the recognition and description of useful abstractions. Topics: modularity; specification; data abstraction; object modeling; design patterns; and testing. Several programming projects of varying size undertaken by students working individually and in groups.」

となっている。大規模ソフトウェアシステム開発に関係する概念やコンセプトが授業のテーマ。20回の講義ノートは、それぞれPDFフォーマットでアップされ、宿題や試験の内容も公開されている。

そしてこの授業の目玉は、Wired誌の記事もこう書いているように、

「The final project in 6.170 requires students to design, document, build, and test a program that plays Gizmoball, a version of pinball, and the site provides links to tips, FAQs, and tools - everything needed to complete the project.」

Gizmoballというピンボールマシンのプログラムを設計してドキュメント化して作ってテストする、という課題だ。

実際のMITのサイトは「Projects」というところに行くといい。このサイトでは、Gizmoballプロジェクトに必要なものすべてが提供されている。興味ある読者は、ぜひこの課題に取り組んでみたらいかがでしょう。

世界中で利用が始まる

そしてWired誌はこう書く。

「One of the most popular offerings turned out to be Laboratory in Software Engineering, aka 6.170, a tough requirement for electrical engineering and computer science majors. Lam Vi Quoc, a fourth-year student at Vietnam's Natural Sciences University, relied on 6.170 lectures to supplement a software lab he was taking, and Evan Hoff, a software developer in Nashville, followed the course to improve his coding skills. In Karachi, Pakistan, a group of 100 students and professionals met weekly to study 6.170. In Kansas City, five members of the Greater Kansas City Java Professionals Association gathered monthly to take the course. In Mauritius, a tiny island nation in the Indian Ocean, Priya Durshini Thaunoo used 6.170 to prepare for a master's degree program at the University of Mauritius. Saman Zarandioon, an Iranian refugee living in Vienna, studied it to continue an education that was stalled by the Iranian government. And software developer Rahul Thadani in Birmingham, Alabama, took it to sharpen his skills.」

ベトナムのNatural Sciences Universityの4年生のLam Vi Quocは、大学での授業をこの6.170で補う。ナッシュビル(米国)のソフトウェア開発者・Evan Hoffは彼のコーディングスキル向上のために6.170を学んでいる。パキスタンのカラチでは、100人の学生とプロフェッショナル(プログラマーたちという意味だろう)が週に1回集まって、6.170を一緒に勉強している。カンザスシティでは、Greater Kansas City Java Professionals Associationの5人のメンバーが月に1回集まって6.170勉強会を開いている。モーリシャス大学のPriya Durshini Thaunooは、修士課程のプログラムを準備するのにこの6.170を利用した。ウィーンに住むイランからの難民Saman Zarandioonは、この6.170で、ストップせざるを得なかった勉強を再開した。アラバマ州のソフトウェア開発者Rahul Thadaniは、彼のスキルをさらに磨くためにこのコースを勉強している。

まだパイロットプログラムながら、MITオープンコースウェアは世界に広がりを見せている。これが、Wiredの記事のタイトルが「MIT Everyware」(言わずもがなだが、Everywareは、Everywhereのwhereを、OpenCourseWareのwareに置き換えたもの)になっている理由だ。

では、続きはまた明日。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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