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シーゲートに続いてサンの非公開化は実現するか?

2003/09/02 10:05
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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シリコンバレーで最も注目される投資ファンド、シルバーレイクパートナーズが、30億ドルから40億ドル規模の2号ファンドを集めるようである。本連載6月5日「ハイテク業界の再編を予想して投資活動を活発化させるバイアウト・ファンド」でご紹介した、あのシルバーレイクである。サンノゼマーキュリーニュースの「Silver Lake plans new fund drive」から。

「Silver Lake Partners, the Menlo Park buyout fund that invests in technology companies it considers undervalued, is planning to raise another fund, this time capping it between $3 billion and $4 billion.」

シーゲートで成功したシルバーレイク

シルバーレイクは、1999年に1号ファンドを組成し、23億ドルを調達した。その資金で、HDDのシーゲートを2000年に非公開化し、2002年に再び上場させたことは6月5日の本欄で解説した。

「Silver Lake is helped by its considerable success -- unusual among private equity firms in recent days. In less than four years, the firm has reportedly more than doubled its money on the approximate $1.6 billion so far invested. While some of that is still paper value, it has also reportedly returned $1 billion to investors.」

さすがのシルバーレイクでも、30-40億ドル規模の2号ファンドを集められるのは、1号ファンドのトラックレコードがあるからだ。23億ドルのうちこれまでに投資した16億ドルを既に倍に増やし(むろん現金化していないpaper value分も含む)、既に10億ドル分は投資家に現金でリターンを返している。これは99年度に組成されたベンチャーキャピタルのバブル崩壊ゆえの厳しい結果と好対照である。

「In December, Silver Lake's $875 million investment in Scotts Valley disk-drive maker Seagate Technology, made in 2000, paid off. Seagate went public, and Silver Lake's stake increased approximately eightfold in value.」

「In July, another of Silver Lake's investments, Seagate spinoff Crystal Decisions, a Palo Alto software company, was acquired for $820 million by Business Objects. Again, the transaction produced a significant profit for the investors -- a consortium including Silver Lake that pumped about $100 million into Crystal in 2000 when it was divided from Seagate.」

特にこの好成績に貢献したのは、シーゲート案件から派生した投資のリターンであった。CNN Money「Silver Lake goes for the gold」は、このあたりのことについてややシニカルに、

「In fact, if there's a touchy topic around the halls of Silver Lake it's that it is so far a one-hit wonder. But what a hit: the firm's investment in Seagate has returned all its investors' money and more, and that's not counting the recent sale of Crystal Decisions, a former Seagate unit.」

と書いている。凄い凄いって言うけど、シーゲート物件の大ヒットだけじゃあねーか、というような調子なのだが、投資ファンドは「勝てば官軍」。1つの大ヒットが出れば、その他の投資の失敗はすべてちゃらになるのだ(余談だが、Googleに早い段階で投資してかなりの株を持っているセコイアとクライナーパーキンスの当該ファンドだけは、厳しいVC業界でもほくほく顔である)。

ところで、シルバーレイクの司令塔はRoger McNameeであるが、彼に会ったときに、「1号ファンドを集める時点でシーゲート非公開化構想は既に持っていたのか」と質問をしたら、Rogerは「シーゲートを非公開化できるという保証は全くなかったが、構想はしていた」と答えた。1号ファンドを組成したときに彼がイメージしていた2つの投資案件例は、シーゲートの非公開化と、インテルのマザーボード事業買収だったそうである。前者は、公開企業を非公開化する投資案件例。後者は、公開企業の事業部門を買収する投資案件例である。前者は実現し後者は実現しなかった。

結局、1号ファンドのトラックレコードを創出する源になったのは、資金調達段階で構想されていたシーゲート案件周辺のリターンだったわけで、機関投資家は当然、2号ファンドにおけるシーゲート構想に相当するものは何かと聞きたいところだろう。

今度の狙いはSun?

僕は思い切って「Sunを非公開化する構想こそが、2号ファンドの肝なんじゃないの?」とRogerに聞いてみた。

彼はとても正直に次のように答えてくれた(Roger McNameeとの対談はダイヤモンド社のLOOP誌掲載のために行なわれた)。

「And the reason many people have said that was because the former president of Sun Microsystems, Ed Zander, will be joining our firm when he is done with his responsibilities at Sun. And I’ll tell you, nothing would make me happier than to do a deal with Sun Microsystems. I admire the company enormously. Sadly, as far as I can tell, they’ve got no interest in doing one. And I hope that at some point that will change. 」

そういう噂が流れているのは、シルバーレイクがSunのEd Zanderをパートナーとして招聘したからであるが、RogerはSunの非公開化ができればそんなに素晴らしいことはない、と認めたうえで、今のところ残念ながら、Sunには全くその気がないのだ。でもある時点でその状況が変化することを希望しているよ、と彼は答えた。

「Sun is a great company, and it faces challenges in the near term, but I think it has a very clear market opportunity long term. And if they are interested in working with us, I’ll tell you we -- it wouldn’t even take me a second to get myself over there to have that meeting. But so far, no such luck.」

Sunは素晴らしい会社だ。もちろん短期的には厳しいチャレンジが待っているけれど、長期的には明確な市場機会がある。もし彼らが我々と一緒にやろうと言ってくれるならすぐに駆けつけるさ。でも今のところそんな幸運には恵まれていないよ。

でもこの発言のあとで、Rogerは、シーゲートのときだって、非公開化なんて言っても最初は誰も耳を貸さなかったんだよ。構想を話して何カ月もたってから、「あの話はまだ生きてる?」という連絡がマネジメントから入って、そこから一気に実現に向かって動き出したんだからさ、と語った。

間違いなく、Rogerの頭の中では、Sunの非公開化構想とシルバーレイク2号ファンド組成がセットになっているのだ。むろん実現するかどうかはともかく。

Sunには技術力がある

ところで、8月30日の日経新聞を読んでいたら、SunのCEO、Scott McNealyが相変わらず強気の発言をしていた。テクノロジーを提供できる会社は、IBMとSunとWintelだけになった、HPやDellのような販売業者にのみ、業界再編の波が押し寄せるであろう、みたいな主旨であった。

Rogerが言うように、独自技術を持つSunの長期的に見たときの可能性は大きい。「長期的可能性は大きくても短期的には事業が厳しい、ゆえに市場の評価も低いときは、その会社を非公開化して、じっくりと会社を作りなおして、機が熟したときに再公開する」というRogerの理論は、間違いなく今のSunに当てはまるものと思うが、果たして今後はどのように推移していくのであろうか。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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