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英エコノミスト誌が指摘する米国政府とマイクロソフトの共通性

2003/08/04 10:05
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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エコノミスト誌のIT関連記事は、数は多くないが、アメリカのフォーチュンやビジネスウィークのような雑誌と一味違って面白いモノが多い。でもあまり本連載で取り上げていないのは、有料記事が多いからである。「Economist.com」サイトに行って「E+」と書いてあるのは、有料記事である。

今日ご紹介するのは、「Microsoft as America」で、今のところ無償でアクセスできるようである。

「As Colin Powell is to George Bush, so Craig Mundie is to Bill Gates」

ビル・ゲイツにとってのクレイグ・マンディを、ジョージ・ブッシュにとってのコリン・パウエルになぞらえて、クレイグ・マンディを描いたもの。

マンディはマイクロソフトには珍しい普通の人

クレイグ・マンディはマイクロソフトの「chief technical officer of advanced strategies and policy」である。

「As chief technical officer of advanced strategies and policy, Craig Mundie reports to Chairman and Chief Software Architect Bill Gates and works with him on developing a comprehensive set of technical, business and policy strategies for Microsoft Corp. Mundie’s role includes coordination of aspects of these strategies where their implementation spans multiple Microsoft product groups.」

バルマーではなく、ビル・ゲイツに直接レポートしている。

エコノミスト誌の記事の冒頭はこうなっている。

「HE DOES not rock on his chair when thinking (and sometimes saying) that a reporter's question is the height of stupidity, as Bill Gates, Microsoft's founder does. Nor does he jump about a stage, screaming “I love this company”, like Steve Ballmer, Microsoft's chief executive. Craig Mundie, the software giant's chief technical officer, is not a typical Microsoftie.」

取材者の質問が「愚の骨頂」だと思っても<ビル・ゲイツは口にすることもある>、彼(マンディ)は、椅子の上でいらいらして振動するようなことはしない<ビル・ゲイツはそうする>。また、スティーブ・バルマーのようにステージの上に飛び乗って「俺はこの会社を愛している」なんてことも言わない。ソフトウェアの巨人のCTOは、典型的なマイクロソフティではないのだ。

こういうヨーロッパ的なシニカルな視線や文章のうまさが、エコノミストを読む面白さの1つである。

最後の「is not a typical Microsoftie.」というあたりは、マンディという普通の人格の経営者に焦点を当ててそれが普通でないと言うことで、マイクロソフトがいかに変であるかを皮肉っている。そして、この3人、つまり、ゲイツとバルマーとマンディを、現ブッシュ政権のブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド、パウエルに置き換えて話が進む。

ブッシュとゲイツの共通点

「Although there may be only superficial similarities between Mr Gates and George Bush (relative lack of sophistication, accident-prone speeches), and Mr Ballmer seems more a fusion of Dick Cheney (power behind throne) and Donald Rumsfeld (tells it like it is), Mr Mundie is unambiguously the secretary of state of the United States of Windows. As such, he is yet another sign, alongside the restructuring announced this week to improve financial control and the decision to forgo share options, that the global software bully has, to quote Mr Mundie, “recently exited adolescence”.」

ブッシュとゲイツの共通点(表面的ではあるが)を、「relative lack of sophistication」(洗練の欠如)と「accident-prone speeches」(事故が頻発するスピーチ)とし、バルマーはチェイニーとラムズフェルドを足して2で割ったようなものであり、マンディこそが、「the secretary of state of the United States of Windows」、つまりコリン・パウエルなのだ。

ここまでの文章は、欧米のスピーチのうまい人が、スピーチのつかみの部分で、ゆっくりゆっくり聴衆の反応をうかがいながら話す部分をテープに起こしたような感じである。スピーチだったら、色々なところで爆笑が起こり、そのたびに話者は、爆笑が収まるまで、無言のままいろいろな表情をして、聴衆を笑わせたりする。

「Now, he is one of seven members of Microsoft's "senior leadership team" - or "cabinet", as he calls it. He spends half his time talking new technology with Mr Gates and with other IT firms. The rest is dedicated to corporate diplomacy, such as helping foreign governments to "understand" issues such as spectrum allocation.」

マンディは半分の時間をゲイツと共に新技術へ、残りの半分の時間をマイクロソフトにとっての外交に当てている。

世界の支配者としてのアメリカとマイクロソフトの共通点

「But why should Microsoft need a secretary of state? Without pushing the analogy too far, Microsoft can be seen as the dominant nation in the digital realm - just as America is in the material world.」

なぜマイクロソフトに外交が必要なのか、それは、世界におけるアメリカという超大国の位置づけと、デジタル世界のマイクロソフトが同じように支配的なポジションにいるからだ、とエコノミストは書く。

「Until recently, Microsoft excelled in an extreme form of unilateralism. It frequently absorbed new features invented by others into its operating system - thus making life extremely difficult for many smaller software firms.」

今、世界の超大国になったアメリカとマイクロソフトにはunilateralism(単独覇権主義)という点で共通点があるが、トップがそういう方向に傾斜していく中で、外務大臣・国務長官にあたる人物(パウエルとマンディ)が、その方向を緩和すべく努力している点も共通、という論理で議論が展開していく。

興味のある方は、ぜひ原文にあたって、エコノミストの雰囲気を味わってみてください。

あと、この記事の最後に出てくるマンディのTrustworthy Computingについては、「Trustworthy Computing」をご参照ください。

また、今のところ無料で読めるその他のエコノミスト記事としては、「The new geography of the IT industry」をぜひ読んでみてください。これも本欄で解説しようかと思ったのだが、この記事は、僕がこの連載でこれまでに取り上げてきた関心領域とオーバーラップする部分が多いので、ご紹介にとどめることにする。なるほど、同じ現象に関心を抱いても、シリコンバレー流の解釈と、英エコノミスト流の解釈はかくも違うものなのか、というようなことを感じていただければいいかなと思う。エコノミストのIT産業記事には、シリコンバレーで興奮した頭を冷やしてくれるという効果がある。ただ、クールなだけでは、何も新しい創造はできないのですけれどね。

明日から8月17日まで連載はお休みします

さて本連載も、日本のお盆休みに合わせて、8月17日(日)まで夏休みに入り、8月18日(月)より再開します。その間は、本連載バックナンバーと、その中でご紹介したたくさんの英語原文を、お楽しみください。

最後に、本連載6月10日「Googleの現代IT産業における意義を50代、60代の人に伝える」でご紹介した、産経新聞「正論」欄に寄稿した「グーグルが切り拓くIT産業の新地平: 日本が学ぶべき起業家精神の原点」を英訳しました。「What Japan can Learn From Silicon Valley Entrepreneurship」です。興味のある方は是非ご一読ください。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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