お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

Blogを書いてカネを儲けられる時代が来るか?

2003/07/30 10:05
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
ブログ管理

最近のエントリー

blogcount」によれば、2003年6月時点でのアクティブ・ブロガー(Blogの書き手)は、世界中で240万人から290万人程度とのことである。

Phil WolffのBlogでは、この数字が18カ月後には、900万人から1200万人くらいまで膨れ上がることを想定してBlog空間の可能性を計算したりしている。

Chris GulkerのBlogでは、この現象を「The democratization of publishing」(出版の民主化)と呼び、16世紀に印刷技術と郵便サービスが同時に登場したときと同じようなインパクトだと述べている。

「The democratization of publishing has had an enormous effect on the world. In the 16th century, the printing press and reliable postal service became available at about the same time. Even though most of the world was illiterate, the ultimate effect of a newly easier exchange of ideas included the rise of humanism, the flowering of the Renaissance and the Industrial Revolution.」

「The Web server is the cheapest printing press in history.」

「Clearly, there is an enormous interplay of ideas occuring in the world today. And while the number of bloggers, and people with Net access, even, is small compared with the population of the world, I would guess that number is much larger than the small group of literate people who sparked the modern world by exchanging ideas in the 16th century. The Net and Apache are like Gutenebrg's press and mail service - enormous enablers that I believe will spark unprecedented change in the world.」

ウェブサーバーは歴史上最も安価な印刷所である。ネットとアパッチは、グーテンベルグと郵便サービスのようなもので、世界に前例のないような変化を誘発するであろう、とGulkerは書いている。

個人の情報発信はカネになるか

確かに総体としての世の中へのインパクトは大きいかもしれないが、そのことはさておき、Blog現象に代表される「The democratization of publishing」つまり「膨大な量の個人が情報を発信する状態」において、情報を発信することが果たして営利行為たり得るのだろうか、ということを考えてみよう。

「ウェブログで生計を立てるジャーナリスト、成功の秘訣を語る」()()では、ジャーナリストのラファット・アリ氏を題材に、Blogで生計を立てる成功の秘訣らしきものが書かれている。

「現在は約2500人の購読者に向けて毎日発行され、ウェブサイトでは1日当たり約1万ページビューを記録しています。加えて、約500〜700人が私の(サイトの要約記事)投稿を参考にしていると推測しています。」

「この仕事を本業にしてから、5、6ヵ月しか経っていないので、まだ初期段階ということになりますが、広告・協賛関係だけで今年は6万〜8万ドルを稼げるのではと見積もっています。」

とあるが、冒頭で触れたように、これから個人発信情報コンテンツが爆発的に増えていくとき、一般的にいってコンテンツのコモディティ化は避けられず、果たしてこのビジネスモデルは維持されるのだろうか(そもそもこの6-8万ドルというのも希望的観測が混じった見積もりであろう)と、どうも懐疑的にならざるを得ない。

MicordocNewsの「Waldman, Nano Publishing, Nano Business and the Bazaar Economy」では、個人情報発信サイト・ビジネスをNano Publishingと呼んでいる。

この文章では、ガーディアン誌(商業メディア)のWaldmanが書いた「Random thoughts on the rise of nano-business」から、

「To be honest, the revenue model on this sort of publishing seems slightly scary. Yep, the costs are micro...but I'm slightly sceptical about how much advertising money there is coming in, given that you have relatively small amounts of advertising inventory to play with.」

広告収入はあてにならないぞ、という主旨の文章を、まず引用している。そしてその上で、確かに広告収入に頼るのはよくないが、複数の収入ソースを確保する道を目指せば、Nano Publishingも十分に成立するのではないか、という見方を示している。

「Nano publishing is about multiple income streams, each one contributing their own little grain of mustard to the complete steak meal. Nano publishing is about creating a business that also manages risk -- the risk of one income stream drying up. Therefore, we do not base our whole business on advertising, or even one type of advertising, we have multiple ways of earning money, some of which die and others of which cut in and so on. Microdoc News has three forms of advertising, affiliate fees, information sales, and promotional services.」

「To imagine that nano publishing is just about advertising, no wonder Waldman considers that the business model is rather thin. Nano publishing is rather much more like full-scale publishing than Waldman has imagined.」

広告、アフィリエート・フィー、情報の販売、プロモーション・サービスの収入を見込み、小さくても営利な新しいタイプのNano Publisherという存在があり得ると主張している。

中途半端にモノを書いても商売にはならない

ただ最後に僕の感想を述べれば、皮膚感覚として、「The democratization of publishing」現象は、書く側にとって、カネの匂いが全くしないのである。膨大な情報をスケール大きくアグリゲートする部分には某かの価値が生まれる可能性はあるが、個々の情報発信者にカネは落ちてこないだろう。

「モノを書くことが好きで好きで仕方なく、組織に隷属して給料をもらうのも嫌だから、好きなことをやって自分ひとりが生きていくくらい稼げればいい、あるいは少人数のグループでコスト構造を切り詰めて切り詰めてやっていく(それも2-3年楽しめればいい)」というくらいのことならば目指せるかもしれないが、それ以上は難しいだろう、というのが僕の直感である。

もちろんほんのわずかな例外は存在するだろうが、これほど金儲けがしにくそうな場で成功できる才覚があるのなら、他のことをやったほうが手っ取り早く稼げる、という気がする。

「モノを書く」などという贅沢な行為だけで飯を食っていくことなど、よほどの才能のあるほんの一握りの人にしか許されないことだと、僕はずっと昔から思ってきた。僕は「モノを書く」のが好きだけれど、それは非営利行為だと割り切っている。

生計を立てる道は別で作れ、「中途半端なモノを書く」ことなんかで飯を食っていけるなんて考えるな、というのが、「The democratization of publishing」時代の教訓だと、僕は考えている。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー

個人情報保護方針
利用規約
訂正
広告について
運営会社