今日は企業経営の話をしよう。コンパクトにまとまっていて、しかもインパクトのある論考に出会ったのでご紹介しておきたい。ハーバードビジネススクール教授のNitin Nohriaら3人によって書かれた「4+2 = Sustained Business Success」である。企業成功のカギを、膨大な調査によって明らかにした研究成果である。
「Our findings took us quite by surprise. Most of the management tools and techniques we studied had no direct causal relationship to superior business performance. What does matter, it turns out, is having a strong grasp of the business basics. Without exception, companies that outperformed their industry peers excelled at what we call the four primary management practices - strategy, execution, culture, and structure. And they supplemented their great skill in those areas with a mastery of any two out of four secondary management practices - talent, innovation, leadership, and mergers and partnerships.」
これが結論である。成功企業は、(1)strategy, (2)execution, (3)culture, (4)structureという4つの点で圧倒的に優れていて、さらに、(5)talent, (6)innovation, (7)leadership, (8)mergers and partnershipsの4つの中の2つの点で優れている。だから、タイトルが、「4+2 = Sustained Business Success」となっている。
こういう膨大な調査を伴う研究結果を一言でまとめると抽象度が高くなりすぎ、とかく総花的になって、何が何だかよくわからなくなる傾向がある。抽象度の高いまとめ方の中にも、明らかに優劣があるのだが、このまとめは、なかなか出来がいい。
「The eight essential management practices we cite are not new, nor is their importance particularly surprising or counterintuitive. But implementing our formula for success is not as simple as it sounds. Companies can all too easily forget or ignore the basics, as we saw in the waning years of the last century.」
この8要素は決して新規なものではなく、むしろ基本的なことだが、企業というものは往々にして、基本を忘れたり無視したりするものだ。
その通りだろう。日本企業でも、この8要素すべてに優れた企業など、ほんの一握りしかいない。
成功のカギを握る8つの要素の行動原理
そして、このコンパクトな論考がいいのは、8つの要素のそれぞれについて、「a list of behaviors(行動原理) that support excellence in each practice」が付記されていることである。
(1)strategy<5個>, (2)execution<3個>, (3)culture<6個>, (4)structure<4個>, (5)talent<4個>, (6)innovation<3個>, (7)leadership<4個>, (8)mergers and partnerships<3個>で、計32個のbehaviorsチェックリストが出来上がる。
いくつか例として一読んでみよう。
この8要素を、戦略、執行、カルチャー、構造、タレント、イノベーション、リーダーシップ、合併・提携と、ただ訳してしまうだけでは、何だかわかったような気になって、当たり前のように感じられるかもしれないが、それぞれに付記されたいくつかの視点をひとつずつ読むと、その言葉の意味がはっきり理解できることだろう。
たとえば(1)Startegyの5つのbehaviors。
(1)-1 Build a strategy around a clear value proposition for the customer.
(1)-2 Develop strategy from the outside in, based on what your customers, partners, and investors have to say - and how they behave - not on gut feel or instinct.
(1)-3 Continually fine-tune your strategy based on changes in the marketplace - for example, a new technology, a social trend, a government regulation, or a competitor’s breakaway product.
(1)-4 Clearly communicate your strategy within the organization and to customers and other external stakeholders.
(1)-5 Keep focused. Grow your core business, and beware the unfamiliar.
「顧客にとっての明確な価値」のまわりに戦略が立案されているか。直感で戦略を立てるのではなく、外部(顧客、パートナー、投資家)の意見をきちんと取り入れた戦略になっているか。世の中の変化(新技術、社会トレンド、規制、競争者)に敏感で戦略を常にチューニングしているか。社内や顧客や関係者にきっちりとその戦略をコミュニケートしているか。フォーカスはちゃんと絞れているか。この5つ。
たとえば、(6)Innovationの3つのbehaviors。
(6)-1 Relentlessly pursue disruptive technologies to develop innovative new products and services.
(6)-2 Don’t hesitate to cannibalize existing products.
(6)-3 Apply new technologies to enhance all operating processes, not just those dedicated to designing new products and services.
イノベーティブな新製品・新サービスを開発すべくdisruptive technologiesをちゃんと追求しているか。既存製品を自ら食ってしまうような製品やサービス開発に躊躇してはいないか。新製品・新サービスの開発に目を向けるだけでなく、すべてのオペレーティング・プロセスを改善するための技術を適用しているか。この3つ。
読者の方にとって最も身近な会社を2つ(たとえば自分の会社と競争者、たとえば大好きな産業のトップ2社)選んで、この32項目でチェックしてみたらいかがでしょうか。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
torio on 2003/08/17
コンサルタントの山崎です。
米国のコンサルティング会社幹部と打ち合せてよく耳にするのが、日本企業の経営者と米国企業の幹部との違いだ。米国の場合、幹部本人がコンサルティングを実施するケースが多い。これに対し、日本企業の場合、企画部やマーケティング・セクションばかりが調査やコンサルティングを依頼するという。
多くの米国企業幹部は、多くの価値ある情報やスキル、エクスパタイズ、また、自社に必要な技術や
ビジネスプロセスの見直しから、最終的な経営数値の達成に向けて、専門家を十二分に活用している。
しかも、市場から集める資金は絶大だ。
HBR(Harvard Business Review)日本語版が出版され、比較的、容易にビジネスノウハウが入手できるようになったが、「知識」と「知恵」は異なる。
前者は単なる情報として知っていることを意味する。
だが、後者は実際のビジネスに活用できる次元までからだ。
日本企業再生のひとつに、有効な情報を現実のビジネスに活用できる経営者像が求められている。
だが、カリスマ性を発揮するトップには、
さらに、多くの投資家や社員を惹きつける
「Mind」と「Posibility of Excution」があると思われる。この「Mind」と「Posibility of Excution」は、
ビジネス・ノウハウ本で学習することは難しいと思われる。
山崎牧雄 on 2003/07/26
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梅田さんが引用されている「4+2 = Sustained Business Success」を訳してみました。
(名前のURLからどうぞ)
自分の勉強用にやっている稚訳ですが、原文が結構長いので梅田さんの文を読まれて興味を持たれた方にこちらを気軽に見ていただけると幸いです。
結構僕なんかは刺激を受けました。