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DVDレンタルもビジネスモデル特許になる

2003/07/18 10:05
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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6月末に、オンラインDVDレンタルサービスのNetflixが、DVDレンタルプロセスについてのビジネスモデル特許を取得した。サンノゼ・マーキュリー・ニュース「Netflix receives U.S. patent on online DVD rental processes」から。

「Netflix has built one of the Internet's biggest subscription services by charging $19.95 per month for the right to rent as many as three DVDs for an unlimited time. When subscribers mail back a DVD, Netflix sends another movie from a personal wish list stored at the company's Web site.」

「Since its 1999 inception, Netflix has attracted more than 1 million subscribers. The company's success is attracting more competition, including a similar service offered by Wal-Mart Stores Inc., the nation's largest retailer.」

月に19.95ドルで会員になる。会員は、Netflixのサイトで自分が見たいDVDのリストを作る。Netflix側が、そのリストとDVDの在庫状況を勘案して送ってくるDVDを選ぶ。DVDが届いても会員は見たいときまで放っておいていい。返す期限はないからレンタルビデオ屋に延滞料金を払う心配をしなくていい。ただ同時に借りられるDVDは最大3本まで。1本返却する(包装パッケージつき、送料不要)と、また次の1本をNetflixが選んで送ってくる。結局、19.95ドルで、何本でも見たいときに見たいだけ見ることができる(何本もと言っても、1日1本ずつ見続ける人で月30本、普通の人だったらせいぜい3-4本かなぁ、たくさん見る人ほど得になる)。この仕組みが受けて、100万人以上の顧客を獲得した。

DVDレンタルの事業モデルを工夫して特許を取る

この事業モデルは、聞けば当たり前のように思えるかもしれないが、Netflixが提案するまでは誰も思いつかなかった事業モデルで、実は当たり前ではない。本当にうまい工夫をしてある。この工夫の総体に対して特許が与えられたわけである。

この記事の最後に、ウォルマートが同様のサービスを提供し始めるなど、競争も激しくなってきたと書かれているが、Business 2.0誌は、「Netflix, a Division of Wal-Mart?」という面白い記事を書いた。「Netflixはウォルマートの一事業部門になるのかな?」 というタイトルからわかるように、特許つきのNetflixは価値が高まったので、ウォルマートが高値で買収してしまうのではないかという予想をしている。

「But what does the patent cover? Is it enough to help Netflix compete with the newly launched, less expensive Wal-mart (WMT) DVD service? More important, does the patent make Netflix an attractive takeover target for Wal-Mart or Blockbuster (BBI) (which is toying with the idea of launching its own DVD subscription service)?」

もちろん、買収するのは、ウォルマートではなく、ブロックバスタービデオかもしれない。

さて、この記事のサブタイトルにあるように、

「Armed with a new broad patent, Netflix is at a crossroads: Should it license, litigate, or sell?」

Netflixの今後の戦略は、特許をライセンスするか、特許侵害の訴訟を起こすか、買収してもらうか、の3つに1つ。Netflixは、特許が取れたことで岐路に立ったのである。こういうところが、アメリカのビジネスのダイナミズムで、面白いところである。

Amazonはワンクリック特許をAppleにライセンス

岐路に立ったNeflixとしては、特許をライセンスする戦略を取った場合、どういうライセンス契約が成立し得るのか、そしてどのくらいの特許収入が得られるのか、という概算が、経営判断のために重要になる。そのときには、比較的最近の特許ライセンス契約の具体例が重要である。

僕もこの記事を読むまで知らなかったのだが(こういう話はあんまり公にならないから)、Amazon.comのワンクリック特許(ビジネスモデル特許の例としてよく出される)をApple ComputerがiTunesサービスのためにライセンスしているとのことである。この具体例は、Netflixにとってはとても重要な参照例となるに違いない。

「Or Netflix could try to establish licensing agreements with its competition to open up a healthy revenue stream like the one pouring into Amazon.com (AMZN) thanks to Apple Computer (AAPL), which licensed Amazon's "one-click" patent for its iTunes store. Apple gives Amazon a small percentage of each song sold through the one-click technology (both companies were tight-lipped on the specifics).」

Appleは、iTunesで一曲売れるごとに、いくらかをAmazonに特許料として支払っている。もちろんその詳細は明らかにされていない。

ただ一般には明らかにされないが、専門家たちは皆、その契約の内実は知っているだろうから、ワンクリック特許の価値とNetflixの特許を天秤にかけて、どういうディールがNetflixとウォルマートやブロックバスターとの間で成立するかの交渉(あるいは交渉の下準備)が、たぶん水面下では行なわれていて、その可能性(契約の細かな条項1つ1つ)に対して、「特許をライセンスするか、特許侵害の訴訟起こすか、買収してもらうか」の選択肢のどれを取るのが合理的かの思考実験が続けられているに違いない。

ちょっと興味があったので、AppleとAmazonとの間の特許関係をGoogleで探してみたら、2000年9月(もうそろそろ3年前)のマックオブザーバー誌が、「Apple Borrows Amazon's "1-Click" Ordering Method」という記事を書いている。

「Apple today announced it has licensed Amazon.com's 1-Click patent and trademark for use on its Apple Online Store, as part of an e-commerce patent cross-licensing agreement.」

Appleは、Apple Online Storeで使うために、eコマースのクロスライセンス契約の一環で、Amazonのワンクリック特許をライセンスした。AppleとAmazonの関係の歴史はけっこう長かったのである。

あと、PDFファイルだが、Netflixの特許の全文が公開されている。フローチャートみたいな図もいっぱい入っている。米国のビジネスモデル特許の実例を見る機会もそうないであろうから、ざっと眺めてみたらどうでしょう。特許の英語はこんなふうに書くのかというのも実感できることでしょう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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