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CNET Japan ブログ

Googleの台頭は全てのネットビジネスに影響を与える

2003/07/17 10:05
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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YahooによるOverture買収がきっかけになって、産業構造の議論が久しぶりに盛り上がってきた。

CNET Japanの記事では、「検索市場「三強」時代の幕開け-マイクロソフトによるグーグル買収の噂も」は、その一例である。

Googleを過小評価しすぎたYahoo

Pacifica Fundの同僚Tim Orenは、「Yahoo declares war on Google」(YahooはGoogleに宣戦布告したのだ)というBlogを書いた。

「For some time, I've known from friends at Yahoo that they regarded Google as a competitor. Though they have been on-and-off 'partners' it's clear that the Yahoos underestimated the attractiveness of Google to end users, and let them get far too competitive without having a reply. Now we see the reply: A $1.6 billion acquisition of Overture.

This will be interested to watch as it plays out. Google has long since outgrown the need for Yahoo traffic. Overture, under the name Goto.com, originated pay-for-placement search, and I've always felt that its search results and user interface have been compromised in the direction of advertisers vs. end users. Its technology is a bit of a grab bag - it has recently acquired both FAST and Altavista. Google remains more of a pure play, in spite of experiments such as the Pyra buy and Froogle.」

TimはYahooの中にも親しい友人がいて、検索技術は彼の専門分野の一つでもあるから、何かとインサイダー情報が入ってくる。「YahooはGoogleをずっと過小評価してきたため、それが遠因でGoogleをここまでのさばらせてしまった」という認識がYahooの内部(むろん一部かもしれない)にはあって、その巻き返しにOvertureを買収したわけで、間違いなく、宣戦布告だという見方を示している。

そういういろいろなコメントが出る中で、ウォールストリート・ジャーナル(以下WSJ)の「Rising Clout of Google Prompts Rush by Internet Rivals to Adapt」という記事がとても充実していた。WSJは有料購読記事なので、参照・引用はせず、その要旨を僕の言葉で簡単にご紹介しよう。有料購読している方は、ぜひ原文に当たってみてください。英語でIT情報をきちんとフォローしていこうという人には、WSJの年間購読はぜひお薦めしたい。

余談になるが、ネット上のコンテンツは、だいたい三種類に分かれるように思う。

第一は、このWSJの記事のように、有料購読サイトをはじめ、アクセスが厳格に制限されているコンテンツだ。

第二は、コンテンツ自体は無償でアクセスできるが、商業性が強く、そのサイトへのトラフィックが生まれることで某かの事業を営むという性格のコンテンツだ。

第三は、Blogや個人サイトで、基本的に「無償の行為」として発信されているコンテンツだ。

いま、この連載を続ける中で、参照・引用について自分として守ろうと思っているルールは、次の通りである。

(1) 第一タイプのコンテンツについては、内容の概要紹介はしても参照・引用はできるだけしない。どうしても引用したい場合にはせいぜい1パラグラフまで。

(2) 第二タイプのコンテンツについては、参照・引用はするが、その結果として原文サイトへのトラフィックが生まれるようになればいいと考える。だから、引用の分量はそこそこにとどめ、読者が興味を持って原文に当たりたいな、と思ってもらえるよう文章を書く。

(3) 第三タイプのコンテンツについては、もともとAttentionが得られることが発信者の目的であろうから、参照・引用に制限はあまり課さずに、できるだけじっくりと紹介する。やはり英語が原文の場合、二つのサイトを行ったり来たりしながら読むのは面倒で、大切な英文が引用してあったほうが読者には親切だからだ。

むろん、あるコンテンツを見たときに、特に第二と第三のどちらのタイプかを判断するのは僕の主観なので、いくら自分でルールを課しているといっても、コンテンツ元から「引用が多すぎる」といった指摘があれば、是正しなければならないとは思う。ただ、昨日の「個人による情報発信の可能性とネット時代の文章スタイル」でも書いたように、外国語で書かれた文章にリンクを張りつつ、他者の知恵や知識をレバレッジしていくスタイルの文章が、ネットの日本語空間にも根付いていくことがとても重要だと考えているのだ。

Googleは全てのウェブビジネスに影響を与える

さて本題のWSJ記事に戻ろう。この記事では、Googleの台頭(Googleによって人々のネットの使い方が変わったこと)によって、マイクロソフトからヤフーまですべてのウェブビジネスの戦略全体が揺らいでいるという分析である。

またまた横道に入るが、Googleがウェブ全体に及ぼした影響の一つとして、たとえば、Jakob Nielsenの「情報採餌理論:Google のせいでサイトの滞留時間が縮まった理由」(英文は、「Information Foraging: Why Google Makes People Leave Your Site Faster」)なども面白い変化の一例として挙げられよう。

さて、このWSJ記事では、過去にYahooが検索技術をGoogleに依存することにしたという判断は、PC産業の初期に、IBMがチップとOSをインテルとマイクロソフトに依存する意思決定をしたのと等価で、その愚に遅まきながらYahooは気がついたのだ、としている。ただ、PC産業におけるウィンテルはロックインメカニズムが働いて独占状態が長く保たれたが、ウェブの世界ではそうはうまくいかないのではないか(つまりGoogleにはウィンテルほどの先行優位はないのではないか)という見方を示している。

また、この記事ではさらに、Googleが、Yahooのみならず、マイクロソフトにとっても、eBayにとっても、AOLにとっても、Amazon.comにとっても、いかに脅威になっているかを、それぞれ具体的な例を示しながら解説している。

Techdirtという人気Blogサイトが、このWSJ記事のこの部分の根幹を、短い文章で本質をサマライズした上で意見を付記している。

「Yahoo apparently only realized this when Google launched Google News. Microsoft realized it when someone pointed out that search was the third most popular task online, after email and instant messaging. AOL hasn't realized it yet, but some feel they will soon. eBay and Amazon are both trying to figure out exactly what kind of a threat Google is. Of course, I still question how big a threat Google really is to many of these companies. If they stand still, maybe. However, if I were at these companies, I would look for ways to leverage Google to my advantage, rather than trying to compete directly with them. People like searching with Google - so it's up to these companies to figure out a way to take advantage of that. Perhaps it's building additional services around Google, or perhaps it's making sure that it's easy for anyone using Google to end up at your site.」

Googleと競争していると考えるな、うまくGoogleをレバレッジできるすべを見出せ、がTechdirtの考えだ。

先日、シルバーレイク・パートナーズのRoger McNameeと話をしたときに、彼は、「GoogleにとってXXXは競争者ではないが、XXXにとってはGoogleが競争者(脅威)に見える、そういうXXXが業界にはたくさんいる。でも、Googleにとっての競争者(脅威)は厳密な意味で存在しない」という表現を使ってGoogleのユニークネスを説明していたが、まさにそういう感じなのである。Googleは、険しく厳しい道だが成功すれば物凄いことになる「競争の王道」を、これからひた走っていくのであろう。

Amazonの研究者はYahoo出身

トリビアであるが面白かったのが、この記事の最後で、Amazonは、去年、「chief algorithms officer」というポジションを用意して、Yahooの元チーフサイエンティストでアリゾナ大学教授のUdi Manberを招聘したとのことである。

Googleで探してみたら、彼のホームページがみつかった。彼の専門は、

「His research interests include WWW applications, especially search and resource discovery tools, software tools, computer networks, computer security, and design of algorithms.」

で、彼が開発を手がけたソフトウェアの一覧はここを見るといい。

彼が去年の12月に行なった「The First 10 Years on the Web」というスピーチの内容を記録したBlog(by Michael J. Radwin)もみつかり、読んでみたらなかなか面白かった。特に、彼の専門分野である検索技術の歴史と展望については

「1995: collect data from the entire web (Lycos, AltaVista, InfoSeek, Inktomi)

1998: it's all about relevancy, stupid! (Google)

2001: it's all about monetization, stupid! (Overture)

and the next generation of Web Search is yet to come」

と言っている。GoogleとOvertureをStupid!と言うところが最高に可笑しい。いま彼はAmazonでどんなR&Dを始めているのだろう。そこについては、ほとんど情報がない。

ネット五強(Yahoo, Amazon, Google, eBay, IAC)にマイクロソフト、AOLも交えての、「新しい産業構造における覇者」を再び目指しての競争と、そのための買収合戦と才能獲得競争は、これからますますヒートアップしていくのであろう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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