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世界規模の人材競争に日本の若者が生き残るには

2003/07/09 10:05
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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IT産業の今後、IT化やグローバル化の社会への影響などをいつも考えているのであるが、気になって気になって仕方なく悩ましいのが、米国や日本のような先進国における雇用の問題である。

本連載5月6日の「米国のITエンジニアが直面する厳しい現実」でもご紹介したように、インドをはじめとするコスト構造の安い国へのアウトソーシングはどんどん進んでいる。本連載バックナンバー3月4日の「ITバブル崩壊がシリコンバレーの各世代に及ぼす影響の違い」の議論も突き詰めて言えば、雇用の厳しさの問題であった。昨日の文末で簡単にご紹介したFortune誌の「Down and Out in White-Collar America」も、Salon.comの「White-collar sweatshops」も、仮に景気が回復したって、ホワイトカラーやプロフェッショナルの雇用は簡単には戻らないぞ、という警告である。

失われる先進国のホワイトカラー雇用

「Globalized outsourcing is where the white-collar world meets the sweatshop, and an increasingly thick slice of laid-off workers, like Napier, fear that their jobs haven't just temporarily disappeared in a dip in the economic cycle -- they've gone overseas and are never coming back.」(salon.com)

ホワイトカラー世界はタコ部屋化(労働搾取工場化)し、レイオフされたワーカーの職は、一時的になくなったのではなくて、永久に海外に行ったまま戻ってこない。ここで例として出ているNapier氏は、修士号を持った53歳のシニア・ソフトウェア・エンジニアの場合である。

例として、EDSのグローバル展開が挙げられている。

「U.S.-based technology consulting firms have been relentlessly selling the joys of offshoring to their peers. Electronic Data Systems, for instance, has more than 15 centers -- in locations such as Auckland, New Zealand; Sao Paulo, Brazil; and Chennai, India -- doing everything from help-desk support to application coding, as part of its "Best Shores" initiative.」(salon.com)

IT化が推し進める無人経営

全く別の観点から、元オラクルCOOのRay Laneのインタビューは、グローバル化がもたらすアウトソーシングではなく、IT化のゴールとしての「リアルタイム・エンタープライズ」が実現することと人員削減の関係についての未来像を提示している。

「We've been trying to change 20th-century corporate culture for 20 or 30 years now. We've talked about automation of business processes, changing the way companies do business, and we've called it lots of things--business-operations engineering, client-server, or whatever. The idea is to replace labor with capital, automate, and process transactions more cheaply. Why are there still so many humans doing each step? Transactions are still mostly manual and labor-intensive, so we're attempting to change the model again.

The intractable conclusion about 20th-century companies is that their structure has to change and be more virtual. They can't be so rigidly based on location or organization; lots of nonessential work goes on. Processes can be outsourced cheaper, faster, better. Business processes will be more self-serve. Human resources (HR), order processing, those can be done without people. People will have higher-value jobs and they'll process the exceptions only.」

20世紀型の「人の多い」会社から、もっともっとビジネスプロセスを自動化し、無人化していくのが、21世紀型企業のイメージだと、Ray Laneは言う。オラクルからクライナー・パーキンスに移った今、そういう世界を実現する技術を開発するベンチャーへの投資を行なってもいる。

シリコンバレーという場所は、アメリカの中でも、変化が最もラディカルに表出する場所なので、ここに住んでいると、よくも悪くも、未来の仮説が増幅した形で、僕らの前に姿を現す。ここに住むほぼすべての人たちが理解しているのが、自分たちの子供の時代になったら、人をめぐる競争環境がますます激化するという事実だ。膨大な人口を抱える中国やインドで、どれだけ多くの子供たちが幼いときから徹底的に勉強しているか(させられているか)なんて情報もリアルな形でどんどん入ってくるし、アメリカに住むアジア系の移民たちは、アメリカでのし上がっていくために、徹底的に子供に勉強させている。それを見れば、アメリカ人たちも皆、ものすごい危機感を抱くわけだ。

若者が生き残る方法は「vantage point」を目指すこと

つい最近、シリコンバレーの投資家でもある知人と、これからの雇用はどうなるんだろう、若い人たちはどういう道を選ぶのがベストなんだろう、というテーマで議論した。社会全体の雇用なんていう話は僕らには荷が重かったので、自然に主題は、IT産業でエキサイティングな仕事をしたいと考える若い人たちの話になった。

「数少なくなる質の高い仕事を得るべく(起業家の場合は作るべく)競争し続け、できるだけ早くFinancial Independenceを得るべく稼ぎ、投資運用によってそのカネを増やして、一生を生き抜く(サバイブする)準備をする」

という生き方が、大きな方向性だな、という結論だった。身もふたもない話でもあるから、皆あまり声を大にしては言わないが、こう考えているアメリカ人はとても多いし、中国人やインド人にも、こういう現実的な考え方の人たちは多い。

では質の高い仕事を得るべく競争するって、それは具体的にどうしたらいいんだろう、という話の中で、その知人は、こんなことを言った。

「Go to a great vantage point, so that you can see what's going on. The idea is to get a job where you can observe how the world is developing so that when the next big thing comes along, you'll be in a position to see it.」

何が起ころうとしているのかがよく見える場所、vantage point(見晴らしのきく地点、よい観戦場所)に行け。世界がどのように発展していくかをしっかり観察できる場所に職を得よ。そうすれば、Next Big Thingがやってきたときに、それを見逃さないですみ、その波に某かの形で乗ることができる。

厳しくなっていくこれからの雇用をめぐって、自分が仮に20歳若かったとしたらどう生きるだろう、というようなことばかりを、最近、思考実験しているのだが、この知人のコメントは、その思考実験をするうえで、最も参考になった言葉であった。

月曜日の「オープンソースが引き起こすパラダイムシフト」に、楽天の田中良和さんのBlogからトラックバックがあった。ご紹介したTim O’Reillyのインタビューを読んで、

「楽天広場の企画/開発/運営で感じていた、もやもやした「何か」をクリアーにしてくれた。」

と書かれている。

「わんこ日記」からもトラックバックをいただいた。

「LAMP(Linux, Apache, MySQL, PHP/Perl/Python),LAPP(Linux, Apache, PostgreSQL, Perl)している人間としては、この上で走る特別なアプリと情報を使う何かを考えで動かせば成功できるということで、うれしい観点」

「という時代になれば、参戦できるかなぁ」

と書かれている。

楽天のような「旬の企業」で仕事をすること、LAMP-LAPPのような「旬の技術」に関わること、それは、僕の知人のいう、vantage pointなのだと思う。時代の大きな流れの意味を、vantage pointからは早く感知できる。早く感知できればチャンスも広がる。

中国人やインド人の猛烈受験勉強的競争とは違ったセンスで、世界人材競争をしなやかに生き抜くこと。「豊かな国」日本で生まれた我々は、そんな選択肢を意識して追求することが大切なのではないかと思う。そして、そのためにも、vantage pointに何とか近づこう!!!

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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