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CNET Japan ブログ

Blogは個人が自分の信用を作るための舞台装置

2003/07/08 10:05
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プロフィール

umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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Blogについて書かれた最近の文章の中で、いちばん心に残ったのは、Wired誌6月号の「Mind Share」(by Steven Johnson)の中のこの一節だ。

「Following a well-maintained, up-to-date personal blog is - short of shacking up with someone - the most efficient method yet invented to keep track of what's going on in another person's head over extended periods: what they're working on, linking to, obsessing about, listening to, reading. On a day-to-day basis, I am more intimately aware of the latest happenings in the world of my 10 favorite bloggers than I am of what's going on with my closest friends. And of those 10 bloggers, I've met only two or three in person.」

きちんとメインテナンスされて頻繁に更新されている個人のBlogをフォローしていくことは、誰か(他人)の頭の中で何が起こっているのかを、かなり長い期間に渡って追跡・把握するための最も効率的な方法である。自分の親友たちに何が起こっているのかということ以上に、いつも読んでいる「my 10 favorite bloggers」(そのうち会ったことがあるのは2-3人)に何が起きているのかを、より親密に感知するようになった。

これは、Blogよりも前からある日本の日記サイトにも通ずる話であろう。

僕も、ここ半年くらい、アメリカのBlogサイト、日本の日記サイト、Blogサイトをかなり集中的に読んで、ケミストリーの合うサイトの筆者を親密に感じるという経験をしているので、この文章を読んで、そうだそうだ、と思ったものだ。

Blogをめぐる2つの反応

余談になるが、最近、面白い経験をした。この連載の読者2人から全く違う感想をもらったのである。1人は日本企業のシリコンバレー駐在者Aさん。もう1人は、日本人なのだが、もうアメリカに来て20年以上で、アメリカでのビジネス経験が長く、ご主人もアメリカ人、という日本人女性Bさん。2人とも、僕が経営コンサルタントとして日本企業を顧客にしていることをよく知っている。

Aさんの感想。「こんなに毎日たくさん書いてしまうと、(僕が仕事を失ってしまう)リスクが大きいんじゃありませんか?」

Bさんの感想。「この連載の内容を顧客企業の人と毎日共有していると、実際に会って議論するときの内容の密度が濃くなるから、付加価値がものすごく高くなるでしょうね。」

2人の感想のどちらが正しいというものでもない。現実は、AさんとBさんの感想のちょうど間くらいである。

Aさんが言うようなリスクは存在するが、それは僕がもしスタティックな情報提供を生業にしていたら、という前提がある場合だ。でも、インターネットの登場以来、スタティックな情報の価値なんてほとんどゼロになってしまったから、よほど官僚的でダメな会社を顧客にしていない限り、そんなものでカネが稼げる時代はとうに終わっている。でも、厳密に言えば、そうその通り、リスクは確かにある。

一方、Bさんの感想は、日本企業の現実を知らない理想論である。日本企業の経営者は、それがIT企業のトップであれ、インターネット上のコンテンツで面白いものを自分で探して、毎日読みに行ったりしないのである。

「ちょうど間くらい」と書いた意味は、顧客企業の僕と同世代の連中や、僕よりももっと若い人たちとの日常の議論の質は、この連載内容を共有することによって格段に高くなった。これは、大きな発見であった。だからBさんの感想も、部分的には的を得ている。

VCから資金調達するには信用が大事

ところで、August CapitalのVenture Blogで、「Networking Is Not A Dirty Word」という文章があって、その中でネットワーキングの重要性について語られている。
ベンチャーキャピタリストが書いているから、ベンチャーがどうやったら資金調達できるのか、という題材でのネットワーキングの話になっているが、これは就職先を探す場合を含めもっと広い範囲にもあてはまる。「ベンチャーを仮に起こしたとして、どうやったらVCで、資金調達のピッチができるのか」という質問に対して、こう答える。

「My answer was to know someone who knows that VC. By far the best way to get your executive summary read is to have it sent to a VC by someone that investor trusts. And the key to those introductions is networking.」

VCを知っている人を知っていること。VCにビジネスプランを読ませるには、VCが信用している誰かがそのビジネスプランを送ってくれること。そういう紹介を得られることがネットワーキングだ。この文章のキモは、「trust」という言葉だ。知っているだけではダメ、「trust」が生まれていなければ、何人の人を知っていようが意味がない。

Blogがあれば会っていなくても信用を高められる

Blogというのは、誰かと頻繁に会わずとも、その誰かとの間にある種の「trust」を生み出すことができる舞台装置みたいな意味があると、僕は最近感じている。

本連載で以前にご紹介したKoKoRo(-P2P, i-mode, mobile gadget and game biz in Japan-)という日本から英語で情報を発信しているBlogサイトがある。発信情報は、日本が世界で最も進んでいて面白い分野の最新情報。

僕のシリコンバレーの友人たちの何人かが、面白い面白い、と言って、KoKoRoサイトの更新を待って、毎日読んでいる。KoKoRoの筆者は、少なくともその連中にとっての「my 10 favorite bloggers」か「my 20 favorite bloggers」か知らないが、その中に入っているわけだ。KoKoRoの筆者は、サイトのオープンから2カ月足らず、しかも日本に居ながらにして、シリコンバレーのエンジニアやVCたちの「trust」を得始めている。そこから何が生まれるかは、Who Knows? だが、積極的に何かをやりたいと思う人にとっては、実に面白い時代になったものである。

プロフェッショナルには過酷な時代

一方、Fortune誌は最近の号で、「Down and Out in White-Collar America」というプロフェッショナルの雇用の今後についての特集記事を組んだ。リードの文章が

「Professionals have never had a tougher time finding a job. It's not just the economy; the rules of the game are changing.」

となっていることからわかると思うが、プロフェッショナルの雇用は世界的にみてこれからますます厳しくなる。

Blogは、たくさんの道具や舞台装置のほんの一例に過ぎないが、いかにして、自分を世界とつなぎ、自分にとって大切な誰かと「Trust」をつむいでいくか、そのことを誰もが明示的に考えなければならない時代がやって来ているのである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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