最終更新時刻:2008年9月5日(金) 23時13分

-

日本企業が社内情報を生かせるようになるには経営的な課題が多い

公開日時:
2003/06/30 10:05
著者:
umeda

先週木曜日の「日本企業こそBlogに対して戦略的取り組みを」に対して、たくさんのトラックバックやコメントをいただいた。

この毎日更新連載も今日でちょうど3カ月。3日・3月・3年とよく言うが、長続きの第2ハードルまではどうやらたどりついたようである。そこで、というわけでもないが、今日は英文紹介をお休みして、いただいたトラックバックに刺激されて考えたことを書くことにしたい。

なんて書くと、また「今日はネタを探す時間がなかったんだな」なんてどこかのサイトで書き込みされそうで楽しいが、まあ息抜きに違うこともしてみようということです。

Blog的な原稿ゆえにフィードバックが集まった

先週木曜日の原稿というのは、「コラムという視点から見ると実は落第点に近いがBlogならOK」というタイプのユルイ文章で、その不完全さゆえに、少し俺も突っ込みを入れたいぞ、という気分を読者の方々が抱き、そしてその結果いただいたコメントが、逆に僕にとってはたいへん刺激的で面白かった。もちろんテーマがBlogだったということもあるが、トラックバックやコメントが多かった理由と、文章のユルサは少し関係があるように僕には思えた。

コラムを書くときというのは、かなり真剣に文章を武装する(突っ込みの余地を少なくすべく時間をかけて知恵を絞る)のだが、特にこの文章はその武装をいっさいしないBlogっぽい原稿にしてみたのだった。

それは、「日本企業こそBlogに対して戦略的取り組みを」なんて立派なタイトルがつくコラムを、僕はまだ書く自信が全くないから。
だから、「こういう発想で何ができるかを考え、何かを始めるのはとても大切だと思う。」なんて曖昧なことしか書いていない。

断片的に伝えたいことがあったので書き始め、起承転結もない文章だけどまあいいか、という風にして書き終えたもの(ちなみに、この連載では、僕が文章部分を編集部に送り、編集部がタイトルや小見出しをつけるのがルールになっている)だったが、それがかえって良かった。

社内専用のBlogにすべきか、外部に公開すべきか

さて、まずARTIFACT( - 人工事実 - )からのトラックバックから。

「このコラムだと、どうも外部に公開するのが前提みたいなんで、自分の考えている「社内情報共有システムとしての社内Weblog」とはちょっと違いますね。」

実は、文章を書いている僕の頭の中では、「社内情報共有システムとしての社内Weblog」をイメージしていたのだが、そうはっきりは書かなかった。逆に言うと、「外部に公開するのが前提」という意識は全くなかったのだが、その点はきちんと表現できていなかった。

でもこのトラックバックを読んで刺激されたのは、社内に閉じた情報共有システムとして企業がBlogを考えるべきなのか、それとも、外部に公開する「本物のBlog」をこそ考えるべきなのか、果たしてそのどっちがうまくいくんだろうか、という問いだった。

現時点での僕の直感は、社内に閉じた世界でやってもうまくいかないのかなやっぱり、むしろ思い切って、最低限のルールだけを決めて、社員に実名で外部公開原則のBlogを自由に書くことを奨励していくほうが面白いのではないかな、という感じ。

ARTIFACTも、

「外部に情報を発信することを評価するシステムにならない限り、社内で情報発信しようなんて人は出てこないんでしょうねえ。」

と最後に悩みを書かれているが、やはり、日本企業がまたまた閉じた空間で何かを始めようとしても、「いつか来た道」になってしまうのではないかなという懸念は、僕も強く共有する。

Blog以前の経営的課題

Cyberblocksからのトラックバックでは、

「社員の知識を共有化しようって動きは、ここ数年来の流行り言葉的には、ナレッジマネジメントだとかなんとかいう言葉で語られ、あるところでは実行されては来たけれど、ここで書かれている話にしても、結局その知識だとかってものを理解する努力や能力無しに、上位に位置する社員というか、経営側などがその知を発揮させるような取り組みは出来るはずがない…。」

と、日本企業の問題点を指摘している。だからタイトルも「Blog以前の問題だったりもしますけど…」。

これにも全く同感。日本企業の病弊はBlog以前の問題です。全くその通り。ただ、でもそこに某かの風を通すというか、砂地に水を撒くようなことかもしれないけれど、Blogが何かのきっかけにならないかなぁ、と、いまのところ僕の問題意識はそんな程度なのだ。

eNaturalからのトラックバック

「若い頃は志を持ち、それこそ世界を変えてやろうと燃えている。しかし、結局は、何も変わらないどころか「あまりいいことが起こらなかった」という現実に直面する。全くもって悪循環です(そりゃ会社ですから、個人の思い通りにばかりはいきませんが、なんとか個人の思いを表明・伝えるうまい仕組みがあれば、ということです)。」

にも、そうだよなぁ、と同感した。この「志」を、ほんの一部の例外を除き、ここ10年、日本企業はちゃんと活かすことができていませんね。

日本企業は若手の発想を生かせていない

Dragonflyからのトラックバックも、20代の若手の発想を日本企業が活用できていない現状をこう指摘する。

「特にちょっとしたITを使って仕事の質改善みたいなことを気づけるのは20代の若手になるんだと思うが、まずそのポジションの人が新しい仕事の仕方を提言できる仕組みになってない企業がほとんど。また、仮に提言できても責任ある立場の方が全くもってIT音痴なことが多いので、その仕組みは採用されない。」

そして、CAPSCTRLDAYSからのトラックバックは、タイトルが、「blogのよいところは分かるし、社内の問題も分かるけど、blogがそこをズバーンと抜け出してくれるようには、ぜんぜん思えないのよね。正直。」となっている。

そうだなぁ。確かにBlogが「ズバーンと抜け出す」起爆剤にはならないな。それだけのパワーは持ってないな。

「ここで述べられている問題提起と、情報発信(ツールは何であれ)の重要さはよーく分かるんだけど、「encourage」こそが本当の肝であって、情報発信のツール自体はそんなに肝じゃない。「苦情は社長へ直接メールでどうぞ!」なんつっても、送らないでしょふつう。だからといって「苦情はblogでどうぞ!社長
も読みます!」ってのもなぁ……。」

この指摘も、本当に的を射ている。

本質を見失ったまま使えば悪影響も

そして最も厳しいのは、Maeda Masahiroさんからのコメントだ。

「日本企業ではちょっと理想論に近いかもしれないですね…。個人的にはそういう変革がおこってほしいと思うんですが、むしろ全く逆の効果を生み出すように思えます。」

「今の高齢化した日本企業、そして私自身もそういう衰退期にある企業にいるから分かるのですが、こういうツールの本質を見いだすことすらできなくなってしまっているのでうまく使えないだろうと思うのです。」

「そうした人たちがとる行動…つまり保身に走りつつ流行の情報ツールを取り入れる、結果としてblogを作らせた挙げ句「出る杭を打つ」という結果になるでしょう。」

うーん、実に鋭い。そういう会社やそういう中間管理職の姿が目に浮かぶ。でも、もう少しましな会社も多いと思いますよ。

いま、日本企業に勤める若い人たちが、色々な意味で苦しんでいるんだなぁ、ということを強く実感しました。

いただいたインプットを頭に入れて、僕もいろいろと考えて、またいずれ何か書くことにします。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

3

大変恐縮してます(-_-;;
だめですね、ああいう書き方をしてしまうと議論がつまらなくなってしまうので。反省してます。ちょっと力点の置き方を間違えました。

「現時点での僕の直感は、社内に閉じた世界でやってもうまくいかないのかなやっぱり、むしろ思い切って、最低限のルールだけを決めて、社員に実名で外部公開原則のBlogを自由に書くことを奨励していくほうが面白いのではないかな、という感じ。 」

私のスタンスとしてはこれが理想! Blogへのフォローはトラックバックかコメントだけという誰にでも見える形に限定すればガラス張りにできる。それができるなら効果がある、という認識です。

以上のような前提に立ってみて、うちの会社じゃ無理だなと。オフラインでの潰し合いか、放置プレイ。

日本式高齢化企業の再生というよりは、健康的な会社が使うとうまくいくようなものじゃないかなと思ったからです。様々な意見を集めるのに熱心で、人事も柔軟、業務上の責任とBlogで書かれる内容の自由を明確に分けることができる知性、そういう組織であればうってつけの武器だと思います。

さらにいえば「思考をまとめるための装置」としてそこで書かれていることが常に未完成であることを相互に了解する、変化を受け入れる人々の集合体であることも必要かな、と思います。反論よりは補完するアイディアの提供を重視していけるようなコミュニティ。(そしてこの意味で前の私のコメントは、落第!)

高齢化企業が中途半端に若返るよりは早く退場してもらって、健康的な会社が増えてほしいなぁ。

  Maeda, Masahiro on 2003/07/01

2

<引用開始>
Dragonflyからのトラックバックも、20代の若手の発想を日本企業が活用できていない現状をこう指摘する。

「特にちょっとしたITを使って仕事の質改善みたいなことを気づけるのは20代の若手になるんだと思うが、まずそのポジションの人が新しい仕事の仕方を提言できる仕組みになってない企業がほとんど。また、仮に提言できても責任ある立場の方が全くもってIT音痴なことが多いので、その仕組みは採用されない。」
<引用終わり>
とあるが、上への提言の挙げ方が悪いということに、若手が気づいていないからだ。それを上の責任へ押し付けてしまうのは、まだまだ若いという証拠だ。

  Char Aznabul on 2003/07/01

1

Then, you would envy me. I am a resident officer here in Silicon Valley and my responsibility is to write reports periodically to our HQ as if I were an outsider. As you can imagine easily, this position is patronized by a few radical executives. Some people ask me why the company authorized this position and how I could get it. Seek for the executives of your kind and make them feel that you could make their dreams in their youths come true. This is not flattery. Flattery is to do the things against your will. You also have to have the courage to make an enemy of the majority and the toughness to prove your vision. Silicon Valley is a place for such people. I know it is not so easy. "Luck" is highly respected here. "Luck" will fill the last gap.

I will give you a great idea. Develop a stealth blog. Don't be a destructive terrorist, but a constructive innovator :-).

  anonymous on 2003/07/01

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