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Wi-Fiによる無線ブームの次は燃料電池によるコードレス革命

2003/06/12 10:05
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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QualcommのCEO、Irwin Jacobsのインタビュー記事「The Unquiet American」は短いが、Wi-Fiについて語った彼の言葉をうまく拾っている。

Irwin Jacobsは、Qualcommの共同創業者である会長でありCEO。名実共にQualcommの大黒柱。

もともとは大学教授で、1965年に書いたデジタル通信についての教科書「Principles of Communication Engineering」は今も使われている。Qualcommの前にも1つ会社を創業させて成功させている連続起業家でもある。69歳でなお現役。

Wi-Fiの課題と将来性

「What about Wi-Fi? Does the spread of Wi-Fi threaten wide area networks like the ones Qualcomm sells? 」

という問いに、彼が答えた文章はこれだけである。

「There are problems with Wi-Fi. It wasn't designed with security in mind. It's not spectrally efficient, so there are availability and interference issues. And it doesn't do much about power management, so it can be a drain on batteries. All that can be improved, but the real question is, Can you make money selling Wi-Fi service? That's still an open issue. CDMA and Wi-Fi will probably be complementary. Some people will want access beyond the limits of Wi-Fi hotspots, so they'll move to wider area coverage. Consumers will have the best of both worlds.」

(1) Wi-Fiにはいくつかの問題点がある。まず、Wi-Fiはセキュリティという思想があって設計されたものではない。

(2) スペクトラムの観点から効率的ではないから、availability(可用性)とinterference(干渉)の問題が常につきまとう。

(3) パワーマネジメントの概念が弱いから、電池の消費が激しい。

(4) そういう諸々のことはもちろん改善されていくだろうが、真の問題点は、Wi-Fiサービスを売ることでビジネスになるのかということだ。それは依然としてOpen issueであり続けている。

(5) CDMAとWi-Fiはおそらく補完的なものとなるだろう。

(6) Wi-Fiホットスポットの限界を超えてアクセスしたい人は、Wider area coverageを求めるだろう。消費者は両方の世界のいいところを組み合わせて利用できるようになるだろう。

短い文章だが、Wi-FiとCDMAの関係のエッセンスについての彼の考えが語られている。

ことに、最も重要なのは、(4)である。

ビジネスが回れば、技術的問題は解決できる

Irwin Jacobsは、決して、Wi-Fiの現状の問題点(1)(2)(3)を挙げて、将来性がないと、我田引水的に断定しているわけではない。その意味では、表現が知的である。

Jacobsは、(1)(2)(3)が改善するためには産業全体で膨大な投資が必要になるが、その投資を牽引するためには、「Can you make money selling Wi-Fi service?」、つまり誰かが、Wi-Fiサービス事業で金儲けすることができて、その収益が再投資されるというサイクルが廻る必要がある、ということを主張しているわけである。

昨日ご紹介したBoingo Wirelessにしても、「2008年までに5000万ユーザを」とぶちあげているCometa Networksにしても、最初はいい。誰かが初期投資に踏み切れば、何事かが始まる。でも、事業の蓋然性が見えないと、その関連技術の進歩の勢いは止まり、それなりの役割を果たす技術として成熟する。事業の蓋然性というのは、Boingoがイメージする4層構造にせよ何にせよ、産業構造のレイヤーが確定し、そのすべてのレイヤーにそれなりの経済モデルが働くようになるという意味である。

そういうことも含めて考えれば、(5)CDMAとWi-Fiはおそらく補完的なものになるだろう、というのが、Jacobsの論理である。

また3つの問題点の中で極めて重要なのは、(3)パワーの問題である。

Wi-Fiの普及でバッテリーに対するニーズが拡大

Stewart AlsopもFortune誌コラムで、「Silicon Valley Isn't Dead; It's Just Getting Recharged」で、Wi-Fiとバッテリーの問題を取り上げている。

「Anyone alive and reading today knows about Wi-Fi, the relatively new way to make your notebook computer connect to the Internet without wires. It is way cool, and I've used Wi-Fi connections in coffee shops, in offices, in hotels, at home, and even on the street in New York City. But I do so only during the relatively brief time that my battery can carry a charge. Running into that limitation has brought me a blinding insight: The Next Big Thing will be the Cordless Revolution!」

Wi-Fiは素晴らしい。いつでもどこでも使っているよ。でもほんのわずかな時間だけ。そう、Next Big Thingは、コードレス革命だ。Wi-Fiや3G、4Gがケーブルを不要にする革命なら、電源コードを不要にするバッテリー革命も一緒に起こして、コードレス革命となってくれないか、そういう主張である。

「Battery power remains the really tough challenge, but several companies are preparing prototypes of portable fuel cells for notebook computers. Those devices are small enough and cheap enough that it is possible to imagine getting eight to 12 hours a pop from disposable fuel cartridges that cost $4 to $5 each. Two such companies made presentations in early May at Wireless Ventures, a private-equity mobile-computing conference: Neah Power and PolyFuel. Another new company, A123Systems in Boston, is also starting to generate buzz for its low-cost battery technology. Several other firms have been making the rounds on Route 128 and Sand Hill Road looking for money to work on new ideas for portable power.」

そして、Stewartは、ベンチャーキャピタリストらしく、Neah Powerと、PolyFuelという燃料電池ベンチャーと、A123Systemsというステルス・モードのベンチャー(ウェブにはあまり何も書いていない)を紹介している。

日本発の英語の技術情報に期待

このコラムがちょっと弱いのは、これら米国の電池ベンチャーのブレークスルーが、日本や韓国のエレクトロニクスメーカーの研究開発の最先端と比べて、本当に先を走っているかどうかの確信が、読者として、もう1つ持てない点である。

米国の読者も、こういう技術についてまで、米国ベンチャーが世界の先頭を走っているとは思っていないから、何だかちょっと結論が弱くなっている。Stewartだってそういうことは百も承知であろうが、彼が米国以外のことを書けないのは、日本発の英語情報が足りないためである。機密情報という意味ではない。日本の技術メディアで扱われている公開情報の中のレベルの高いの、クラスの情報が、きちんと英語で発信されるだけで、ずいぶん、様子が違ってくるはずだ。

しかも日本発の英語Blogで、若い日本人の手によるもの、なんていうのが出てくると美しい。

その意味では、つい最近、日本発の英語Blogサイト、KoKoRoがオープンされて、その内容が新鮮なので、シリコンバレーでも少しずつ話題になり始めている。

KoKoRoは、iモードや携帯やゲームやガジェットといった日本が最先端を走っている分野の情報を、英語でかなり頻繁に更新するという、センスのいい野心的なサイトである。

KoKoRoでは、ぜひ、日本が強い先端技術がどこまで行っているのかについても、情報を世界に発信してほしい。

日本発の正確な英語情報が増えることで、日米のコラボレーションによるイノベーションはより深いものとなると思うからである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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