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Boingoが予測するWi-Fiビジネスの4層構造モデル

2003/06/11 10:05
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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AlwaysOnでBoingo Wireless創業者Sky Daytonのインタビュー・シリーズが始まった。

まずインタビュー第1回「The Birth of Boingo」を読んでみよう。Boingo WirelessはWi-Fiサービスプロバイダーである。Boingoは本当に商売になるのだろうか、と不安視する人たちも多いが、要注目のベンチャーである。

全米第2位のISPを作った男が始めたWi-Fiサービス

「Sky Dayton has a knack for starting hot new companies. In 1993, he founded EarthLink, which has since become the second-largest ISP in the US. A few years later, Sky decided that the next phase of the Internet would be wireless and launched Boingo Wireless in late 2001.」

Sky Dentonは1993年にEarthlinkを創業し、米国第2位のプロバイダーにまで成長させた。そして、2001年末、インターネットの第2フェーズはワイヤレスだと確信し、Boingoを立ち上げた。

創業のきっかけになったインスピレーションは何かと問われて、第1に、2000年末に自分の家でWi-Fiを使い始めてとても便利で興味を持ったことだ、と話す。興味を持って調べてみるとWi-Fiの普及は始まったばかりだということがわかった。ここまでは何の変哲もない。

そして彼がコロラド州のアスペンにコンファレンスで出かけて行ったときにある人に出会う。

「By this time I'd started working on the software which Boingo now uses to spiff out Wi-Fi networks. And from my hotel room I think it was on the 5th or 6th floor I could see three different Wi-Fi signals. After I got up off the floor, because I couldn't believe it, I looked and the SSID (service set identifier) for one of the signals had the name of a guy's company and his phone number. It was actually broadcasting his phone number like an ad in the name of the network.

So I called the guy up to find out what he was doing, and then went to see him. He had a 10' by 10' little office in downtown Aspen crammed full of gear. He'd go around on the mountains putting up Wi-Fi antennas and was baiting the town in Wi-Fi signal.

After I got back to my hotel room, I had an epiphany. I realized that wireless was at the same point where the ISP business had been in the early 90s, with very low barriers to entry it was a grassroots network business. And it hit me that within a few years, all the well-populated areas would have one or more of these hot spot signals.」

Sky Daytonは、コロラドで滞在中のホテルから、3つのWi-Fiシグナルを発見する。そしてWi-Fiシグナルを出している主に会いにいく。その人は山の中にWi-Fiアンテナを張り巡らして、町をWi-Fiシグナルで覆ってしまおうとしていた。ホテルに帰って彼はひらめく。そういうことか。ワイヤレスは、90年代前半、自分がEarthlinkを始めた頃のISPビジネスの状況と全く同じだ。参入障壁が低い草の根的なムーブメント。数年以内にそこそこ人口の多いエリアには1つかそれ以上のホットスポットシグナルが存在するようになるに違いないと、Daytonは確信する。

彼の行動力、直感力もさることながら、Wi-Fiに興味を持った直後に、Wi-Fiシグナルを探すソフトをPCにインストールして出張に出ているというところも、シリコンバレーっぽい感覚だ。

「So I realized that soon we would have true wireless broadband at a reasonable cost for the end user. But due to the unlicensed nature of the business, the low barriers to entry, and the short range of Wi-Fi, these hot spots were going to be incredibly fragmented. When you walk down the street past a cafe, a bookstore, and a hotel, you can literally pass three different hot spots owned by three completely different hot-spot operators. A company was needed to go in and create roaming amongst all of these different fragmented hot spots, essentially bring them all together into a single service that an end user could sign up for. And that's how Boingo was born.」

しかし、Wi-Fiはライセンス所得不要だし、本当に参入障壁が低い。だから、ホットスポットがものすごく細かくフラグメントするのは自明。よって、それを束ねるサービスプロバイダーが必要になる。このアイデアによってBoingoが誕生した。

当時、ベンチャーキャピタルもWi-Fiに関心を持ち始めていた時期。彼は、Stewart Alsopのところに行き、NEAからの資金調達を決める。

ホットスポットビジネスは4層で考える

そしてインタビュー第2回「The Wi-Fi Matrix」は、ホットスポットビジネスの4層について語っていて面白い。

まず第1層は「不動産の層」

「There are four layers in the wireless industry. The first layer, at the bottom, is the real estate the physical venues where hot spots are deployed. These are places like Starbucks and McDonalds, the Los Angeles Airport, Hilton Hotels, Shell Gas Stations. By their very nature, there are a huge number of these locations. In the United States alone, there are almost 2 million public spaces where hot spots could be deployed. And no one company has more than approximately one-tenth of one percent of that footprint. So it's very fragmented.」

ホットスポットとなり得るパブリックスペースが、米国には200万箇所あるが、ここはフラグメント化している。

第2層は「ホットスポット・オペレータの層」

「The next layer consists of the companies that create hot spots and deploy infrastructure in those locations. So these are what we call Hot Spot Operators (HSOs), like Wayport, Surf and Sip, T-Mobile, Cometa, Toshiba, Azure, Pronto, NetNearU. There are over a hundred of these companies already, and that number is going to grow rapidly, because the barriers to entry for the business are very low.」

これも参入障壁が低いので、膨大な数のプレイヤーが参入する。

第3層が「アグリゲーションの層」

「The next layer above that is the aggregation layer. That's what we do at Boingo we take all of that fragmentation at the HSO layer and bring it together and provide software and roaming services that allow customers to move from network to network with the same account, the same brand.」

ここがBoingoの狙う層。

そして第4層が「エンドユーザ接点のキャリア・ISPの層」

「Those brands ISPs like EarthLink and carriers like Sprint are the final layer. They're the companies that own the end user relationship.」

彼らのビジネスモデルのロジックにさらに興味のある方は、BoingoがWhite Paperと呼んでいるネット上の文書「Towards Ubiquitous Wireless Broadband: The Wi-Fi Business Model, Challenges to Adoption and Boingo's Role in the Industry」を読むといい。よくまとまっている。ただ、こんなふうに、産業構造が本当に4層構造になるのかどうかが重要ポイントで議論の多いところだろう。ただ少なくともBoingoはそこに賭けて全力疾走しているわけだ。

ここから先は、第3回以降のお楽しみなので、読者でこの話に興味のある方は、AlwaysOnをときどき見に行って、更新されたらぜひご一読を。

Wi-Fiの可能性を大胆に予見したWilliam Gurley

さて、このインタビュー第1回の最後で、Sky Daytonは、創業当時読んだWilliam Gurleyのコラムについて触れている。僕も当時、Gurleyのこのコラムを読んでWi-Fiの巨大な可能性に目を開かれたのだが、Business 2.0の2001年3月号に書かれた「Why Wi-Fi Is The Next Big Thing」は、ビジョナリーGurleyの面目躍如たるコラムだ。今読めば当たり前のことが書いてあると思うかもしれない。でもこれを何もなかった2年以上前にリスクを取って書いているから偉いのである。

当時はバブル崩壊直後。バブルを煽ったベンチャーキャピタル・バッシングが始まっていた時期に重なる。Gurleyの所属するベンチマーク・キャピタルなどは最も強気なVCで、時代の寵児でもあったから、その反動も厳しいものがあった。Gurleyもコラムを書く頻度を減らし、自粛する姿勢を見せていた。そんな中で書かれたのがこのコラムだった。勇気があるなぁ、と思いつつ、読んだ記憶がある。

リスクを取って未来について語るから意味がある

僕もこの連載を続けていてつくづく思うのだが、IT産業の未来について何かを論じるということは、リスクを取るということそのものなのである。

僕は顧客企業以外での講演はいっさいしないのだが、つい最近、ある日本の大手メーカーで500人以上の聴衆に対して、IT産業のこれからについて話をした。その前段で、僕のことを昔からよく知って、懲りずに付き合って下さっている同社のトップが、

「梅田さんの話は、けっこうはずれることが多いんですけれど」

と僕のことを紹介してくれて、会場は大爆笑になった。

「たまにはものすごく正確に当たることもあるんですよ」と僕は少しフォローしたが、まぁその通りだから、仕方ない。

「けっこうはずれる」話にも某かの価値があると思ってくれる人がいるうちは、リスクを取って、シリコンバレーの話を続けていこうと思っている。

答えがわかってから、さも見てきたような昔話を書くのは、誰にでもできるので。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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