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オラクルのピープルソフト買収でERP市場はどうなる

2003/06/09 10:05
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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6月6日(金)、オラクルがピープルソフトに対して「51億ドルでのTOB(株式公開買い付け)」を仕掛けた。

この敵対買収提案がどう推移していくかは、米国時間で週が明けてからでないとはっきりしないが、毎日更新の利を活かして、今の段階で議論されていることをここで整理しておこう。

敵対的買収で寡占化を進めたいオラクル

まずは、「Oracle Offers $5.1B for PeopleSoft in Hostile Takeover Bid

「Oracle (Nasdaq: ORCL) has made a hostile bid for PeopleSoft (Nasdaq: PSFT), in an apparent and quite dramatic response to PeopleSoft's announcement earlier this week that it would acquire J.D. Edwards (Nasdaq: JDEC). The surprise US$5.1 billion bid would effectively consolidate the enterprise marketplace, leaving only SAP (NYSE: SAP) as a competitor.」

という総括がわかりやすい。この記事が「Hostile Takeover」と明確に書くように、この話は、合意の上の買収発表ではなく、敵対買収の提案だということだ。

それも、6月2日(先週月曜日)に発表された「ピープルソフトによるJ.D. Edwards買収発表」への「quite dramatic response」だということ。そして、この敵対買収が成功すれば、SAP対オラクルという構図がはっきりし、アプリケーションソフト業界のconsolidationが進むということである。

「"At first, I thought it was Larry [Ellison] acting like a toddler in a sand box grabbing someone else's toy in order to gain attention in the press ... but he's serious," Yankee analyst Sheryl Kingstone told CRMDaily.」

最初、私は、ラリー・エリソンが、メディアの関心を集めるために、「砂場で、誰かのおもちゃをつかみ取ってしまう、よちよち歩きの幼児」みたいに振舞っているのかと思ったら、シリアスな話だったので驚いた、みたいなことをアナリストが言ったらしいが、オラクルのラリー・エリソンというのは、こういうふうにおちょくられやすい「我が儘で自分勝手なCEO」の見本のようなキャラクターである。

「Also, there is much dispute about how serious Oracle CEO Larry Ellison actually is about the offer, with many speculating the bid was merely an attempt to derail the J.D. Edwards acquisition.」

さらに、実はシリアスな敵対買収提案でもなくて、ただただ、ピープルソフトのJ.D. Edwards買収をつぶしてしまう意図だという説もある。

シーベルにはピンチ、SAPにはチャンス

いやこの買収はシリアスなもので、戦略的に意味があるという主張の骨子は、

「"A combined PeopleSoft-Oracle CRM offering will be a much more compelling product than SAP," he said. "It will also make Oracle a much more significant player in the CRM space." The big loser, according to Nelson, would be Siebel, because it does not offer any back office functionality "which is half of the CRM process."」

CRMスペースで、PeopleSoft-Oracle CRM offeringはSAPを凌ぎ、最もきつくなるのはシーベルだろう、というもの。

いやいや、この買収が成功すれば、事業統合のごたごたで「漁夫の利」を得るのはSAPではないか、という意見もある。

「In the immediate term, SAP likely will be the big winner if Oracle acquires PeopleSoft, according to Columbus. Oracle has said it would support PeopleSoft customers but kill the product -- effectively forcing them to upgrade to the next release of Oracle. "This leaves PeopleSoft customers without any road map for the future of their investments in applications. Ironically, this move by Oracle potentially opens up the PeopleSoft customer base to SAP and others, even if the transition is perfectly executed."」

どちらにしても上手く行く強者の戦略

CNET News.comの「Wall Street on Oracle's PeopleSoft bid」では、ウォールストリートのアナリストの反射神経的なコメントを集めている。

「"Given PeopleSoft's modest valuation, and the small premium proposed by Oracle, we believe that Oracle is in a no-lose situation. We believe Oracle is banking on the prospect that no alternative bidder will emerge (we tend to agree with this). If Oracle can buy PeopleSoft at a reasonable price, they substantially increase their market share and eliminate a competitor. If Oracle is unsuccessful, the bid in any event heightens the perception that PeopleSoft is in trouble and creates further confusion among customers/prospects in the wake of PeopleSoft's pending deal for J.D. Edwards."」

その中で、James Mendelsonがこんなことを言っている。この買収が成立してもしなくてもオラクルにはメリットがある。つまり、オラクルはどっちに転んでも、損はないということだ。これはなかなか当たっている。

どっちに転んでもうまくいくような戦略というのは強者にしか取れない。そういう強者の論理は、アンフェアで嫌な感じを心に残すので、シリコンバレーの連中は、ラリー・エリソンに対してあまりいい感情を持たないのである。

同じくCNET News.comの「PeopleSoft calls Oracle bid 'atrocious'」が伝える、ラリー・エリソンの元部下で「エリソンとは犬猿の間柄」で有名なピープルソフトCEO、Craig Conwayのコメントがおかしい。

「"atrociously bad behavior from a company with a history of atrociously bad behavior.」

極悪非道の悪い振る舞いの歴史を持つ会社(オラクル)が、またも行なった極悪非道の悪い振る舞いである。

週明けから、まあとにかく、相当もめることは間違いない。

敵対的買収でその後の経営は上手く行くか

ただ、真の問題は、仮に買収がうまくいったとしたときに、敵対買収というこのやり方で、果たしてAfter Acquisitionがうまく経営できるかどうか、ということだろう。

つい最近、AlwaysOnのTony Perkinsがサンマイクロシステムズについてこんな文章を書いている。

「Sunが買収されるだって? 俺はそうは思わない」(Is Sun for sale? I don't buy it!)

苦境に陥って、あれこれと買収の噂が出ているサンについて、(1) 「サンは誰かに買収されることを望むような柔な性格の会社ではない」 (2) 「だとすればサンを買収するには敵対買収しか方法がない」 (3) 「候補者を見渡しても、敵対買収なんて手法でうまくいくなんて考えている会社は存在しない」 (4) 「よってサンは買収されないであろう」という三段論法的ロジックの軽い文章である。

このコラムのへそは、

「The bottom line is that any takeover of Sun would have to be unfriendly. And Silicon Valley companies like Cisco and HP don't do unfriendly takeovers because they know they don't work.」

シスコやHPのようなシリコンバレーの会社は、敵対買収はしない、なぜならば、そんなことはうまくいかないと彼らは知っているから、というくだりである。

実はオラクルもシリコンバレーの会社である。極悪非道とまで言うかどうかは別として、ラリー・エリソンは、日本人から見たら驚くほどアグレッシブなCEO連中たちから見ても、さらに過激な、皆とちょっと違う人なのである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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