これまでに僕がネット上で書いた文章の中で、いちばん読まれたのは、専門分野である経営やIT産業や投資やシリコンバレーの話ではなく、実は「英語の勉強法」の話であった。
CNET Japanの山岸編集長は、日経BP社時代にも、ウェブ上の連載「BizTech eBusiness」で、僕の担当編集者をしてくれていたのだが、彼の要請で、およそ2年前に、3回にわたって、「シリコンバレーで通用する英語の修行法」(1)(2)(3)を書いた。「いちばん読まれた」という意味は、アクセス数が多かった、ということだけでなく、後から、そして今でもときどき、この文章に対する感想をもらうということである。それもありきたりの「面白かったよ」的な感想ではなく、いきなりこれらの文章の細部に直撃するような「真に迫った感想」が多いということだ。日本人にとっての英語というのは、永遠の課題なのであろう。
正しい「英語の勉強法」を選ぶことが大事
興味のある方には、ぜひ、この文章をお読みいただきたいが、僕が言いたかったのは、
(1) 漠然とした「英語の勉強法」などというのは疑ってかかったほうがいい
(2) 「どんな英語をできるようになりたいのか」を明確にした上で、正しい山を登る努力をしたほうがいい、間違った山を登っている時間はない
(3) そのためには自分を取り巻く環境を正確に理解して、自分にぴったりあった勉強法を編み出すべきだ
というようなことだった。特に英語の才能があまりないと思っている人、英語自身にコミットするよりも他のことの優先順位が高い人は、間違った英語の勉強に時間を投資するのはきついはずだからだ。
そういう主旨で文章を書くとすれば、当然、僕自身がどれだけ英語ができなかったか、そして今でもすべてのタイプの英語を操ることができないことも白状しなければならなかったので、書いていて少し恥ずかしく、こんなことまで書くんじゃなかったかなぁなどと後悔して、つい最近まで一度も読み返すことがなかった。ただ、この文章の感想をずいぶんたくさんの人からいただいたことが潜在意識の中に残っていて、それが、この連載に「英語で読むITトレンド」というタイトルをつけた理由の1つになったのだ、と最近になって思う。
この連載は、英語で書かれた質の高い内容の文章を選び、毎日最低1つは参照し、その文章をめぐって何かを考えるというスタイルを取っている。
2-3ページの文章を毎日読むのが大事
だから、この連載の内容自身を面白いと思ってくださる読者(ITハイテク産業、米国、シリコンバレー、新技術、経営、ベンチャー、起業、投資みたいなことが関心のキーワードに含まれる読者)の方々にとっては、僕が引用したり参照したりしている英語の原文をきちんと読んだり、翻訳したり、その一部を暗記したりするのは、その人にとって必要な英語を勉強する上で、正しい山を登る行為の範疇に入るのだろうと思う。
本を1冊読み通す、というのも決して悪くはないのだが、2-3ページで完結する質の高い論考(つまり毎日違う内容だけれどテーストは一貫しているもの)を、きちんと1日1つずつ読んでいく、というのはとてもいい勉強法の1つだと、僕は思っているのだ。
そこで今日は、この連載では取り上げられなかったけれど、なかなか面白かった素材を10個ほどご紹介しておこう。
連載で取り上げなかった面白い素材
この連載では、技術的に高度な内容を含むものは取り上げないようにしているので、まずはそんな観点で、こぼれ落ちたものから。
(1) Salon.comの「The myth of interference」(by David Weinberger)
今、米国ではスペクトラム割り当て政策見直しの機運が高まっている。技術的には、干渉の問題が本当に解決されるのかということで議論が分かれている。この文章は、その干渉問題は、無線関連技術が進歩した現代ではあり得ないのだ、という立場で書かれたもの。
(2) 「QoSなしでもVoIPは上手くいく」の中で少し議論したEnd to end(E2E)の問題について、E2E推進の立場で書かれた「Worlds of end」(by Doc Searls and David Weinberger)
(3) またそれに関連して、Bob Franklinが書いた「The Internet is Missing」
では次に、同じテーマが重なってしまうとよくないなと思って、採用しなかったものの中から。
(4) 音楽業界はfile sharingを自らの産業の中にきちんと取り込んでいかなければ、死んでしまう運命にあるという主旨で2月に書かれた「Embrace file-sharing, or die」
(5) アンディ・グローブのFortune誌での最新インタビュー記事「Intel's Andy Grove: The Next Battles in Tech」
(6) マッキンゼー・クォータリーの「Time for a high-tech shakeout」
(7) William Gurley が1月に書いた「802.11 & Cellular: Competitor or Compliment?」
では次に、アメリカの産業や法律についての背景知識をかなり必要とするので、採用しなかったものの中から。
(8) 法律を専門とするハーバードビジネススクール准教授がまとめた「Top Ten Mistakes Made by Entrepreneurs」
(9) 日本でもおなじみのレッシグ教授の「Spectrum for All」
あと、やや経済に寄り過ぎているのかな、と思って採用しなかったのが、
(10) Arnold Klingの「The Elastic Economy」
それぞれ単独で、十分この連載一回分を使ってご紹介する価値のあるものばかりです。ギリギリで採用しなかったRunners-upたちでありますので、興味のあるものを、1つまたはいくつか、ぜひ週末にでも読んでみてください。
Have a nice weekend!
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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梅田さんのこの日の記事にもろに感化されて自分でも英語の記事を読んでみようと思い、本文で紹介されている記事のうち「The Elastic Economy」を読んで訳してみました。
(名前のリンクからどうぞ)
今は訳する(さらに英語へも再訳したり)だけですが、そのうち梅田さんのように自分の意見も交えたものを作れたらと思います。