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ポストPC企業に変身するアップルコンピュータ

2003/05/09 10:00
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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Kevin Werbachが「Post PC」という短い文章を、彼のBLOGの中で書いた。

ここ1週間くらいのいくつかの重要な動きや記事に刺激されて書かれたものだが、米国IT産業の現在、そして今向かっている方向について、なかなかいい総括をしている。

IT産業の構造変化を示唆する3つの刺激

「刺激その1」はAppleのiTuneサービスである。これについては、川崎裕一さんのBLOG「iTunes Music Storeに関して」に詳しいので、そちらをまずご参照いただくのがいい。僕のシリコンバレーの友人も、このBLOGを読んで、

「川崎氏のBLOG拝見しました。全般的に同感しております。iTunesのユーザーとしては、川崎氏もご指摘の通り、iPod、iTunes、iTunes Storeという流れは個人としての音楽利用を完結させるもので、まさに『あったら良いな』と思っていたものです。また、ファイルシェアリングによる無料音楽コピーに伴う『罪悪感』が払拭されるということ、1曲99セントという手ごろな価格で、量の拡大を目指している、といった指摘もその通りだと思います。」

という感想を僕に送ってきてくれた。

「刺激その2」は、ニューヨークタイムズにSteve Lohrが書いた「Technology hits a Midlife Bump」という記事である。Kevinはこの記事を「a marvelous article」と指摘している。

「刺激その3」は、デルが社名からコンピュータという名前を取り、ただのデルとなるというニュースである。

「The common theme is that the ecosystems of the personal computer and enterprise IT are maturing and giving way to something new.」

PCとエンタープライズITの生態系は成熟し、新しい何かに道を譲ろうとしているという共通点が、この3つの刺激から感じられたわけだ。

これは、「「死の谷」を越えるアンディ・グローブの直感力」の中でご紹介したアンディ・グローブの世界観

「That framework is changing now.」

「None of us have a real understanding of where we are heading.」

と同じだ。

戦略的転換点に立つデル、MS、インテル

「Smart companies like Dell, Microsoft, and Intel that have generated extraordinary wealth by riding the PC adoption curve realize that the ground is shifting. Dell's name change reflects the fact that it, like the others, is branching out to non-PC devices. But that's the least interesting of the three stories this week.」

「Apple's iTunes service is more significant. Simply put, Apple is becoming a post-PC company.」

デル、マイクロソフト、インテルといった「PCとそれをベースとした企業システム」で莫大な富を築き上げてきた会社が戦略的転換点に来ているという話以上に重要なのが、AppleのiTunesサービス、Appleが「post-PCカンパニー」になろうとしているということなのだ、とKevinは指摘する。

「Apple is becoming something much closer to Sony: an integrated digital media company. Sony sells computers, but no one would call Sony a PC company. What it does best is create unique platforms and experiences, then market the hell out of them. That describes the new Apple as well. The heart of the company is the digital lifestyle, not a box.」

Appleが目指すのは「something much closer to Sony: an integrated digital media company」であり、新しいAppleの心は、ボックスではなくデジタル・ライフスタイルなのである。

同じ市場を巡ってアップルとソニーが競争

日本に住み、AppleとSonyの両方を使っている友人が、僕のこの連載を読んで、

「『Rip, Mix, Burn』というAppleの広告にしても、ハリウッドではなく、シリコンバレー的なもの。音楽系のソフトを使っていても、ソニーのPCは不自由ですし、Macは良くも悪しくも自由。このあたり、根本的な思想の違いです。」

という感想を送ってくれた。

AppleとSonyは、ソニーの出井氏がAlways Onのインタビュー

「Well, in many ways Sony has always been Steve Jobs's model for Apple.」

という質問に対して、

「So we are also rivals, and trying to get together would frankly be a waste of time!」

と締めくくっているように、今後は、違った思想で、同じターゲット市場をめがけて戦う競争者になるのであろう。Always Onでの出井氏のインタビューについても、川崎氏がそのBLOGで3回にわたってきちんと解説をしているので、そちらもご参照。

Yublog: AOによる出井さんインタビュー(1/3)
Yublog: AOによる出井さんインタビュー(2/3)
Yublog: AOによる出井さんインタビュー(3/3)

エンタープライズ市場の構造変化

さて、本論に戻り、Kevinは「刺激その2」のニューヨークタイムズの記事に対して、その本質をこう言っている。

「The point of the article is not that tech is dying, or that innovation is drying up. It's that enterprise technology is moving into a new phase. Bigger, faster, and more feature-laden are no longer selling points in the same way. Smarter, simpler, more efficient, and more flexible are the new criteria. It's much harder to make powerful system simple than to make them complex.」

技術やイノベーションが死んだとか干上がったとかそういうことではなくて、「Bigger, faster, and more feature」というパラダイムから「Smarter, simpler, more efficient, and more flexible」への転換がキーワードだが、その実現が容易でないだけのことなのだ、と指摘する。

Googleのシステム構築の考え方(本連載「Googleのカネをかけない斬新なシステム構築」参照)などは、難題たる後者に解をもたらす典型的な例と言える。

「The same issue arises in the consumer market. Apple has won plaudits for the user experience of its digital music service. That, more than a novel business model or better deal with the record companies, is what could change the market. EMusic had most of the same features well before iTunes. But there were personal computers before the Apple II, and graphical user interfaces before the Macintosh. Apple, especially under Steve Jobs, has a genius for user experience and promotion. In a post-PC or post-technology world, those are two essential skills.」

同じことがコンシューマー市場についても言える。Appleは、Apple II、Macintosh以来のブレークスルーを生もうとしている。ジョブズは「user experience and promotion」についての天賦の才を持っており、それこそが、Post-PCワールドにおける2つのエッセンスなのだ。

Appleびいきのシリコンバレーの論調ではあるが、一読の価値あり。ぜひ週末にでも、ゆっくり読んでみてください。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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