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米国のITエンジニアが直面する厳しい現実

2003/05/06 10:00
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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米国IT産業界全体の雇用は、経済が少しよくなったくらいでは戻らない、構造的なものであろう。CIO Insight誌のEric Neeのコラム「Follow The Bits」をまずは手がかりに、何が起きているのかを見ていこう。

インドへのアウトソーシングがものすごい勢いで進む

Eric Neeという人は、Upside誌の編集長を長くつとめていた人で、そのコラムは安定した高いクオリティで定評がある。このコラムのテーマは、インドの情報サービス産業への米国企業によるアウトソーシングがものすごい勢いで進んでいること。

ポイントは、

「Programming jobs began moving to low-wage countries some years ago, but until recently the numbers were few and the tasks were mostly low-level. In the past few years the trickle has become a flood, as the heightened desire of U.S. companies to outsource IT has been matched by the growing sophistication of overseas firms.」

プログラミング系の仕事が米国から外に出ていく傾向は不可逆で、海外企業の質も高くなっている。

「What is occurring in the IT services business is disquietingly similar to what's been happening over the course of the past few decades, as millions of manufacturing jobs moved overseas.」

製造業の雇用が米国で空洞化したのと全く同じことがITサービスで起こるに違いない。

「The bulk of the work done by India's firms today is in application maintenance and custom application development. But more and more U.S. firms are turning over other IT services to these firms, including systems administration and support, packaged application implementation, systems analysis and architecture planning, and infrastructure outsourcing.」

最初のうちと比べてどんどん高度なプログラミング作業が国外に出ている。

コストダウンがアウトソーシングのもともとのインセンティブだったが、最近はそれだけでもなくなってきた。

「India's IT services firms are outperforming their U.S. counterparts in three key areas: they're producing better products and services; they're doing it faster; and they're charging less.」

「早い、安い、うまいの三拍子」というわけである。

生産の海外移転は米国の宿命

結局、インドの情報サービス産業は、過去から現在に至る日本の自動車メーカーと全く同じ道を歩み始めている。

この流れはもう不可避なのである。

アメリカという国は、好むと好まざるとに関わらず、変化をどんどん受容していく体質を持つ。だから、誰でもできる製造業が空洞化したように、誰でもできるプログラミングを、国内の雇用維持のために残そうなどというドライブは働かない。

少し前になるが、シリコンバレーで3月18日に開かれた「IEEE Consultants Network of Silicon Valley」という集まりのサイトを見てみよう。海外へのアウトソーシングとまず直接競合するのが、IT系独立コンサルタントである。彼らのためのネットワーキング・セミナーを学会(IEEE)が主催しているわけだ。

「David and Kevin are both contract broker-agents who match up engineering talent with project leaders looking for special skills. They will tell us how big the imbalance is between supply and demand for freelance engineers, past, present, and near future. Plus, what's hot, what's not, rates, and where.」

フリーランス・エンジニアたちにとっての需要と供給の不均衡の問題、どういうスキルをもてば生き残れるのか、といった内容のパネルディスカッションである。こういう会が定期的に開かれているところが面白いといえば面白い。

「Don was a full time EE consultant for many years, and now splits his time 50-50 as a real estate agent. Should all engineering consultants develop an alternate career as a survival plan? Don will share his graphs, which he used to predict the future, and influenced his decision to pursue real estate sales as a second career.」

サバイバルプランとして、不動産エージェントの資格を取ることを進めるElectrical Engineering(EE)コンサルタントもパネルの一人。

そしてこの厳しい雇用トレンドは、情報サービス分野に限らない。スタートアップの世界でも「80%ルール」というのがある。

「Venture Capitalists are now saying "Send 80% of the engineering work overseas." As a condition of funding, new start-ups are getting locked into this requirement.」

エンジニアリングチームの80%を海外にもっていきコスト構造を下げることを投資条件とするベンチャーキャピタルの話。

これは必ずしもベンチャーキャピタル全体の話とは言えない。しかし、投資候補企業とのミーティングで、従業員数が多いのに月額の固定費が小さくて「あれっ」と思うと、必ずそういうスタートアップはエンジニアチームの大半をインドに置き、創業者の一人がインド人だったりするのは事実だ。

安い仕事を引き受けるか、海外に行かない仕事に集中するか、それとも・・・

結局は、こういうことだ。

「Unless you are prepared to compete with India on price, you may want to focus your engineering efforts on those tasks that will not be going overseas soon. Or else, develop a second career, immediately.」

もしあなたがインドと価格競争をする、つまり安い仕事を引き受けてやっていく用意がないのなら、海外にしばらくは出て行かない仕事にフォーカスしなくちゃだめだ。さもなければ、セカンドキャリアを直ちにデベロップせよ。

こうした緊張感の中からしか、高コスト構造でも見合う新しい雇用を含む新しい産業は生まれない、それが先進国の宿命なのだ、というのが米国の流儀なのである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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