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アップルのユニバーサル・ミュージック買収は是か非か

2003/04/14 10:00
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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アップルコンピュータが、ビベンディ傘下のユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)買収交渉に入っているとの報道があったのは、米国時間の11日(金)である。L.A. Timesのスクープだと思う。提案買収額上限が60億ドルの大型ディール。

この件については、買収がまとまるまとまらないに関わらず、これから膨大な量の書き込みがBLOG空間でなされていくだろうが、とりあえず反射神経的に書かれたBLOGを2つご紹介しておこう。ファクトについては、CNET Japanのこの記事をご参照。

まずはSan Jose Mercuryニュースのダン・ギルモアの4月11日のBLOG

「If this is for real, it's a breakthrough moment. But I fear it'll be the wrong kind of breakthrough.」

もしこれが本当に実現するなら、ブレークスルーの瞬間だと言えるが、間違った方向のブレークスルーとなる恐れも抱く、と言っている。

「The conflict of interest that bedevils Sony, with its technology gear and ownership of copyrighted material, has crippled Sony's ability to sell what its customers actually want. Ditto for AOL with its ownership of Time Warner's music and movies.」

それは一企業の中に、技術製品事業部門と、著作権で守られた作品の事業部門が存在することによる「利害相反」(conflict of interest)は、イノベーションを阻害するに違いない、というシリコンバレー的な考え方によっている。

僕はシリコンバレーに住んでいるので、日本でソニーについてどの程度こうした指摘がなされているのかを皮膚感覚としてはわからないのだが、シリコンバレーの連中の本音は、

「アップルのiPodなどは、本来ソニーが出すべきものだったんじゃないの。ウォークマンを出した頃のソニーなら、iPodよりももっと凄いものを出していて不思議はないはず。それができないソニーなんて、もうダメなのかもしれないね。でもソニーがそうなってしまった根源には、社内に著作権コンテンツ産業を抱えたからだ」

というものだ。それがダンの

「has crippled Sony's ability to sell what its customers actually want.」

という激しい表現になっているわけだ。

「If Steve Jobs & company are interested in genuinely offering what customers want -- the ability to use what they buy in any way they see fit for personal use -- then this could be a great move. I have to wonder, though, whether it will turn Apple toward the side of control freakery.」

「control freakery」(コントロール中毒)の側に立つことなく、消費者の立場での音楽配信事業を、ジョブズならばやってくれるかもしれない、というのが期待であり、でもひょっとしたらそうならないのでは・・・という恐れもあわせて表明しているわけである。

ナップスターをつぶした既存音楽産業は、シリコンバレーでは悪者。ナップスターがつぶされて以来、CDは絶対に買わないと密かに誓って1人静かに不買運動をやりつつ新しい時代の到来を待っている連中を、僕は何人も知っている。

続いて、元アップルのライター・Chris Gulkerの4月11日のBLOG

クリスはジョブズの近くで長く仕事をしていたベテランで、ジョブズについては知り尽くしている人。そういう部分を割り引いて読むべきかもしれないが、簡にして要のコメント。

「Smart... Steve Jobs 'gets' content ( witness Pixar) and solving the music download problem doesn't require DRM, Palladium or other draconian, user-hostile measures. It just requires figuring out what to let go, as a marketing vehicle, and what and where to add value that people will pay for.」

素晴らしい。ジョブズはコンテンツをわかっているのだ。そして音楽ダウンロードの問題の解決にDRM(Digital Right Management)なんて要らないのだ。どの音楽を無償で配信し、消費者がカネを支払うだけの価値をどこでいつ付けるかを編み出すことが必要なだけだ、と彼は書く。

DRMを「user-hostile」と表現する人は、ここシリコンバレーにはとても多い。

「Steve has the resources to outflank the music biz, which is basically so many dead, lawyer-heavy companies looking for a place to fall over. Only caveat: will this be another Macintosh, where the first, best mover winds up in second place... or is Steve experienced enough to pull this one off?」

ジョブズは音楽産業を出し抜くリソースを持っているぞと応援する。ただ、業界構造は変えたが、自分たちは負けてしまったというようなことにはならないようにと注意する。「マッキントッシュはPC世界を変えたが、トップシェアになれなかった」ことの経験を、ジョブズはちゃんと活かせるのかな、と。

僕自身は、このディールは最終的にはまとまらないのではないか、という漠とした予感を持っているが、これからも観察していこうと思う。

本件をフォローしていきたい人は、「MyAppleMenu」をBookmarkに入れておくといい。このサイトでは、アップルに関して書かれた質のいい記事やBLOGへのリンクはだいたい網羅されています。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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