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ハリウッド対シリコンバレー、「ステイシスト」と「ダイナミスト」の激しい戦い

2003/04/07 10:00
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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ハリウッドとシリコンバレーの対立については様々な報道が既になされているが、この「Hollywood Stasists vs.Valley Dynamists」(By Edward B. Driscoll, Jr.) というコラムは、StasistsとDynamistという2つの概念を使って、問題の本質をうまくえぐり出している。

この2つの言葉は、筆者Edwardのオリジナルではなく、

「In Virginia Postrel's 1998 book, The Future and its Enemies, rather than using traditional political groups such as Republicans and Democrats, or even conservatives and liberals, she classifies people as being either dynamists or stasists.」

「The Future and its Enemies」という5年前に書かれた本で使われたコンセプトを借用したものだ。このStasistsとDynamistの対立こそが、共和党対民主党とか、保守対リベラルという対立以上に意味のあるものになるというのが、この本の主張の一つだったようである。

StasistsとDynamistという言葉は、たぶんこの本の中で定義された造語だと思うが、Dynamistの定義は、

「a group of individuals who want to allow for more individual exploration and experimentation; a group "looking for improvements in their own lives, in their businesses, in technologies they work with. And doing this in a very decentralized way."」

一方、Stasistsは、

「"There are a lot of people who are very uncomfortable with that choice or with that process"; uncomfortable with individuals having too much control. "And this group wants stability or control at the level of the whole society. They want some form of stasis. Some form of holding the future still." And says Postrel, they typically want the government to do this on a national level.」

じっくりそれぞれの定義を読んでみると、どちらが正しいとかそういうことではなく、全く違うタイプの生き方、人生観であることがよくわかる。

前者はまさにシリコンバレーの連中の特徴を明確に文章化しているし、後者は日本人のことを描写しているかのようである。

そのまま「シリコンバレーと日本の違い」についてのエッセイにも転用できそうな書き出しのコラムであるが、このコラムにおけるStasistsは、ハリウッドなのである。

ハリウッドはこれまで築き上げてきた業界秩序を維持するためならば何でもやる。

シリコンバレーは、テクノロジーが実現可能とする新しい経験(個人の可能性を広げるものであれば特に)について極めて積極的で、それが仮に既存の業界秩序を破壊するものであれ、積極的に推進すべきだという立場を常に取る。既存業界の秩序は古いテクノロジーしか存在しなかった時代の遺物であり、新しいテクノロジーが登場したからには新しい業界秩序が創造されるべきだと無邪気に信じている。そこがシリコンバレー独特の起業家精神の源泉の一つになってもいる。

そんな背景で、ぜひ、このコラムを読んでみてください。原文には色々と関連サイトへのリンクも張られており、米国での両者の対立の激しさを感じることができると思う。

では日本ではなぜそこまで激しい対立が存在しないか。

それは日本が全体としてDynamistよりもStasistsのほうが圧倒的に多い「成熟した国」だからだろうと思う。

なおこのコラムが書かれてウェブにアップされたのは、3月19日である。文中で

「But the television industry has filed suit to block Sonicblue's automatic commercial skipping technology.」

と書かれているSonicBlueは、3月21日にChapter 11、つまり連邦破産法第11章の適用を申請した。

ちなみに、SonicBlueの訴訟対応コストは月額1億円以上と、同社にとっての大きな負担となっていた。

ことほどさように、現在は既存産業側のハリウッドが攻勢であるが、さらにハリウッド対シリコンバレーの対立は続いていくに違いない。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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