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英文情報を読みこなすことの重要性

2003/03/31 11:16
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umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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公開情報をバカにしてはいけない。僕はいつもそう思っている。

「新聞や雑誌に書かれている記事はたいしたことがない。本当に価値ある情報というものは、特別なルートや人を介して直接入るもの。公開情報になった時点で、その情報にはもうほとんど価値はないのさ」

こんな風に言う人がたくさん居ることはよく知っている。事実、最先端技術開発等に関わるミクロな情報については、この言葉があてはまることも多かった。

しかし、「IT産業の構造変化や技術の大きな流れや需要がどういう方向に向かおうとしているのか」といった「マクロ環境を認識するための情報」(戦略立案の大前提となる環境認識)について言えば、公開情報をバカにしてはいけない。そして、天才的な才能やひらめきなどなくても、コツコツと正しい勉強を蓄積していけば、マクロ環境の認識に限っていえば、誰でもあるレベルに達することはできる。問題は、時間の使い方における戦略性と、長続きするかどうか、つまり継続性にかかっている。

公開情報は、「戦略」を考えるための貴重なインサイト(Insight)の宝庫なのである。「戦略」というのは、自分の生き方という意味での人生の戦略の場合もあるし、ある企業の戦略、ある事業の戦略という場合もあるし、もっと身近な今抱えている問題解決のための戦略という場合もあるだろう。ただことIT産業に関わることに限っていえば、どのレベルにおける「戦略」においても、「正しい環境認識」が死命を制する。

そしてその「正しい環境認識」のためには、愚鈍なようでも、公開情報をきちんと読みながら考える、ということを毎日欠かさず続けていくことが、とても重要である。公開情報をもとにどこまで深く考えることができるのかを経験して初めて、「特別なルートや人を介して直接入る」特別な情報の価値や意味もわかる。

ところで、貴重なInsightを含む公開情報は英文コンテンツである場合が多い。

それは、
(1)IT産業は英語圏で(特にアメリカで)発展してきた産業なので、貴重なInsightの源がもともと英文であることが多い
(2)インターネット上にコンテンツ全文を無償でアップする新聞・雑誌は、英語圏のものが圧倒的に多い
ということに加えて、
(3)米国において去年から本格化したBLOGブームによって、IT産業界の一流の連中の肉声が、ネット上に豊富に溢れ始めたことに起因している。

このCNET Japan上で始める新連載「英語で読むITトレンド」では、こうした無償の英文コンテンツ(公開情報)の中から、比較的価値の高い情報を毎日最低1本選び、その素材(英語原文)をリンクの形で提供するとともに、その内容を読みながら考えるというスタイルの文章を心がけてみようと思う。

僕の場合、仕事柄、毎日、ウェブ上に新しくアップされたコンテンツを探しては読むように心がけているのだが、最近驚くのは、読むに値する質の高いコンテンツの日々の増分における圧倒的なボリューム感である。過剰性と言い換えてもいいかもしれない。BLOG現象ゆえに、今まで簡単には見えなかったものがどんどん見えるようになったという側面と、意味のあるコンテンツ自身が現実に激増・増殖しているという側面の両方がある。

たとえば、全米いたるところで、専門家を招いて最新のトピックを議論するさまざまなコンファレンスが常時、開かれている。2月末から3月初旬にかけての1週間を例に取っても、2/27-3/1にバークレイで「The law and technology of DRM(Digital Rights Management) conference」が、3/1-3/2にはスタンフォードで「Spectrum Policy: Property or Commons?」が、3/4から3/6までボストンで、「Search Engine Strategies Conference & Expo 2003」が、開かれた。どれもきちんと出席したいコンファレンスばかりである(実際にはたぶんもっとたくさんのイベントが開かれていただろうと思う)。でも出席する時間の余裕はないと残念に思ったとき、少し前では考えられなかったことであるが、これらの会議で何が議論されて誰が何を話したか、といったことがほぼすべて1日、2日の遅れで(ときにはリアルタイムで)、読めるようになったことに気づく。それも無償で。

DRMカンファレンスについては、コンファレンスすべての速記録が大学のホームページに掲載されているし、またDRMに関する参考文献リストも、ものすごく充実している。

Spectrum Policy」のスタンフォードのコンファレンスはこの3つのうちで最も話題になった会議であるが、ほぼすべての議論の速記録に近いメモが、作家のCory DoctorowのBLOGによってリアルタイムに近いスピード感でウェブにアップされた。こうした質の高い情報開示がきっかけの一つにもなって、このテーマについての極めて質の高い議論が、ネット上で行なわれている(このテーマは、いずれこの連載でも取り上げるつもり)。

Search engineのコンファレンス(参加費$1,395)は、この2つに比べれば専門的なもの。それだけにハイレベルのサマリーだけでいいや、という感じだが、それにうってつけの内容は、Dan Bricklin(VisiCalc開発者でTrellix社CTO)のBLOGで読むことができる。

あくまでもこれらはほんの一例であり、今ご紹介したサイトを読むべきだと、読者に推奨しているのでもない。

ただ、まずは、日本語ネット空間でイメージする情報のボリューム感とは全く異なる「過剰性」が存在するのだということを、とりあえずは感じていただければよいかなと思う。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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