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シリコンバレーVCの新しいゲームのルール

2003/02/27 17:50
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シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
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Public nuisance」というRed Herringの最新コラムは現在のシリコンバレーを考えるのにいい教材である。ただ、この原稿の書き手ですら、問題の本質を鋭く読者に提示しきれていない。少し補助線を引きながら、本質を考えていこう。

このコラムでは、公開企業の企業価値と、非公開企業の企業価値の間に逆転現象が起こっているという話から論をおこしている。

「Call it the inversion phenomenon: an increasing number of private companies are being valued at higher multiples than their public counterparts. In some cases, the premium is solely by virtue of their private status. That once-coveted Nasdaq listing sure ain't what it used to be.」

つまり、

「Mr. Haber has seen a number of mid- to late-stage private companies that are cash-flow positive being valued at revenue multiples twice that of their public counterparts.」

非公開企業で単月で黒字転換した企業には、同じような業績の公開企業よりも高い企業価値がついていると書く。

そして最近大型資金調達をしたいくつかのベンチャーの例を挙げている。

「Chip maker Foveon, which makes products for the digital-imaging industry, raised $41 million in April in a deal led by New Enterprise
Associates. The resulting post-money valuation was $167 million.」

「In June, the blade-server company Egenera raised a $44 million round led by Crosslink Capital with a post-money value of $172 million.」

「The business process software maker Exigen raised $62 million in September, at a reported post-money value of $140 million. With revenue
of some $50 million in 2002, venture investors like Lightspeed Venture Partners are valuing Exigen at four times the multiple of publicly traded Sapient (Nasdaq: SAPE). Sapient's market capitalization was a mere $238 million in January, despite trailing 12-month revenue of $204 million.」

確かにどれも皆、いい技術を持ったいい会社である。Foveonは、$41mil調達した直後の企業価値が$167mil。Egeneraは$44mil調達した直後の企業価値が$172mil。Exigenは$62mil調達した直後の企業価値が$140mil。

シリコンバレーに詳しい人にとっては言わずもがなであるが、少し解説を加えれば、この企業価値というのは、投資家が勝手に算定して設定するものである。だ
から、この$167mil, $172mil, $140milというのは、全部、投資家、つまりVCがそういう価値だと決めて投資したというだけのことに過ぎない。

「Obviously, some VCs think these private companies are worth the premium.」

ということなのである。

一方、公開企業の企業価値は、市場で決まる。その市場で決められたほぼ同等の会社(この例でいえば、Sapient)の企業価値の4倍ものプレミアムを、VCが勝手につけて勝手に投資しているのである。

ではその根拠は何か。VCの前提は、「しばらくは公開市場が戻らないが、大量の資金($41mil、$44mil、$60mil)を使いながら新事業を育てているうちに、投資先
ベンチャーは、累損は解消できなくてもキャッシュフローポジティブになるだろう。キャッシュフローポジティブになれば、いつまでも企業として存続しながら、ゆっくりとでも事業の価値を高めていくことができるだろう。そのうちに公開市場は必ず戻ってくるだろう。そのときにexitする」ということである。

この三つの「だろう」がすべて正しかったときにのみ、VCは利益を上げられる。そういうゲームを皆が始めたというふうに理解すべきなのである。そして、この「だろう」が正しくない場合には、こうしたゲームを始めたVCは、バブルのときと同じように再び大損するわけだが、そういうことが起きることを「業界における調整メカニズムが働く」と言うのである。

過剰な資金を調達したVC業界の調整が未だ道半ばなのか、そうでないのかは、すべてこのゲームの帰趨によるのだ。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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