2008年7月3日に、総務省が開催してきた「ICT成長力懇談会」の最終報告が取りまとめられました。名づけて、「"xICT"ビジョン 〜あらゆる産業・地域とICTとの深化した融合に向けて〜」
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080703_6.html
内容を見ると興味深いことがいくつか書いてあるのですが、まずその内容を読み解きます。(なお、ICTとはInformation and Communication Technologyの略で、情報通信技術のことです)
日本の1人当たりGDPや国際競争力ランキングは90年初等にトップを誇っていましたが、今は20位台に低迷しています。また、地域間格差が徐々に拡大し、人口・所得ともに大都市圏への集中が加速しています。
そこで、2011年を「完全デジタル元年」とし、u-Japan政策から「本格的な未来型の情報社会(ユビキタスネット社会)」を目指すことで、日本の国際競争力を上げていこうというものです。
その前提としては、ICTの競争力が国の競争力につながるというものがありますが、実際、国際競争力の高い国では「資源・金融・ICT」が産業に柱になっていることに加え、1人あたりGDPや国際競争力指数とICT産業の発展度合いには現時点で大きな相関関係があるそうです。
なるほど、ICTの力を上げると国際競争力が上がる可能性が高いことがわかります。
世界経済フォーラムによると、日本のICT競争力ランキングは現在19位です。2004年に8位まで上昇したことがありますが、ここ6年は10位〜20位あたりをうろついています。
内訳を見てみると、
つまり、日本のICTはインフラは世界最高水準であるにもかかわらず、利用方法や安心を与える仕組みに大きな課題を残しているということになります。
これまでのu-Japan政策はICTを利用することで、我々の生活がどう変わるのかに着目されてきました。それは大きな取り組みであったのですが、今回はさらに「産業」と「地域」が変わるところまで踏み込んでいます。
まず産業ですが、グローバルで成長していくためには産業が変わる必要があります。そのためには、@新たな事業領域を生み出し、A効率性を高める ようなICTが必要となります。@の具体例としては電子ペーパー・リモートのロボット制御・3次元メタバース等の活用で新しい事業が生まれるという例が考えられ、Aの例としてはRFID・業界データ共有等で企業の生産性を挙げるという例が考えられます。
また地域ですが、上記の成長力の担い手は地域であり、地域が変わることが全ての基本になっています。そのためには@集積効果を高める、Aコミュニティを確保する ようなICTが必要となります。それぞれ地域通貨やリモート会議・教育の例などが挙げられています。
ICT産業自体もICTを利用する産業も、かつグローバル成長力も地域成長力も全て狙っていこうというのが柱になっています。具体的には以下の4つの柱があります。
それぞれもう少し詳細はあるものの、ようやくすると上記になります。このプランは2008年6月27日に閣議決定されました。
私もICT産業に身を置く人間としては、前半いいこと書いているなーと思っていました。しかし後半になるにつれ、引き合いに出している具体事例や具体的な施策がないことが残念です。例えば、これから法整備を見直すとか、利用促進計画を見直すといった施策が書いてあるのですが、今何が課題でどのように見直すのかといったあたりまで書かれているともう少しイメージが沸いてきます。
また、4つの施策は残念ながら「当たり前」の領域から脱却できていないイメージもあります。我々一般国民から見ても、「まーそりゃそーだよね」という結論な気がしています。
しかし、日本の有識者が集まり、今のICTの課題が共有されたことは何よりもいいことです。また具体論はおいておくとして、解決の方向性までは出ていることも進歩だと思います。これから、この方向性をもっともっと具体化してもらい、いろいろなしがらみを取っ払い、日本でお祭り騒ぎのように関係者が推進していくことができれば、きっと日本のICTも盛り上がっていくでしょう。
これからの取り組みにぜひ期待しています。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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