●100年に1度の大きな変化がやってきた
先日、HMVが日本事業の売却交渉をしているというニュースが大きく取りざたされた。
http://bizplus.nikkei.co.jp/manda/news.cfm?i=2007060808308ma
TowerRecordが既にDocomo傘下、新星堂がTSUTAYA傘下ということを考えると、日本のCD/DVD販売リアルチャネルは崩壊寸前であろう。現に、2006年は国内音楽デジタル配信の売上高(534億円、前年比56%増)が、CDシングルの生産額(508億円、前年比4%増)を初めて上回った。また、音楽ソフト市場全体に占める割合も10%を超え、更に成長が見込まれている。
http://www.yomiuri.co.jp/net/frompc/20070405nt01.htm
説明するまでもないが、音楽はこれまでレコード/CD/DVD等、リアルな媒体をリアルチャネルで販売して成り立ってきた業種である。しかしiPodや携帯電話の登場で簡単に崩壊の危機に直面し、100年に1度の大きな変化が起こっている。
特に堅調なのは携帯電話による音楽市場の急成長である。これは世界でも類をみない音楽配信の姿であろう。2006年通期のデジタル音楽配信は下記である。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20343836,00.htm
・合計
ダウンロード回数: 3億6,806万回(37%増)
売上高: 534億7,800万円(56%増)
・インターネットダウンロード
ダウンロード回数: 2,390万回(153%増)
売上高: 50億2,700万円(172%増)
・モバイルダウンロード(着うた・フル)
ダウンロード回数: 3億4,414万回(33%増)
売上高: 482億4,000万円(49%増)
これを牽引してきたのは着メロ業者であることは間違いないが、大手レコード会社は過去に着メロが全く収益に結びつかなかった反省から、自分自身のメディア(PC・モバイル)及び共同設立会社(レーベルモバイル等)により独自に音楽配信を実施してきた。しかしこれも、2005年3月24日の公正取引委員会の勧告を受け、徐々に他着うた業者、PC配信業者に配信許諾を与えるようになった。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/05.march/050324.pdf
リアルチャネルの売上低迷と、配信権の許諾開始により、レコード会社も完全にデジタル配信に体制シフトを完了した。
●聞き放題とDRMフリーによって再び市場が大変化
1年近く前になるが、NTTドコモが定額聞き放題サービス「Napster」を日本で開始した。3年で100万人を獲得するため、大手レコード会社から優先的に配信権を獲得し、現状既に350万曲の楽曲を配信している。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20258107,00.htm
また、904iシリーズからは携帯ダウンロードによる定額聞き放題サービスも開始され、NTTドコモが遅れていた着うたフル市場に本格的に参入している。このインパクトは非常に大きく、年間数百万台が聞き放題対応端末に置き換えられていくため、市場は急速に伸び、「携帯で音楽を聴く」ユーザが大幅に伸びていくことが予想される。
また、米国で話題となっているのが、「DRMフリー(コピー制限をかけずに音楽配信する)」である。iPodでもWMVでも、ダウンロードしてから他のデバイスにコピーすることは制限・禁止されてきた。しかしDRMフリーになると、一度ダウンロードした楽曲はどのデバイス(携帯・iPod・コンポを問わず)で使えることになる。
米Amazon, Apple社はこれに先駆けてDRMフリー楽曲配信を開始した。この狙いは「デジタル音楽配信市場の再活性」にある。iPodの販売が一巡したことに伴い、Amazon, Apple社は、まだCD/DVDから移行していないユーザの取込みに躍起になっている。
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20349047,00.htm
DRMフリーによって更なるデジタル移行が米国で実証されると、日本でも同様の動きになる可能性は非常に高く、音楽市場はさらに大きな変化を遂げることになる。
●今後はレコメンド・コミュニティ戦略により非メジャー楽曲が大きく躍進
これまで述べてきた状況は、主にメジャー楽曲(JPOPヒット曲)に主に適用されることであるが、音楽は実にロングテール型ビジネスである。私も着うた・フルのモバイルサイトに従事していたが、「こんな曲まで」と思う曲がダウンロードされるので、非常に面白いビジネスである。裏返せば、非メジャー楽曲(ロングテール楽曲)は、うまく掘り起こして提案していけば、もっとダウンロードされる可能性が高い。
そのキーワードとなるのは、「レコメンド」と「コミュニティ」であろう。
レコメンドとは音楽のダウンロード履歴や相関関係から、ユーザに別の楽曲を推奨していくサービスである。既にWebのコマースでは常識となりつつあるが、音楽のレコメンドはより複雑な計算が必要となり、これまではあまり実現されてこなかった。
しかし、ここにきてその動きが活発化している。USENが提供している音楽配信サイト「OnGen」ではこの7月からレコメンド・エンジンを導入した。この動きは他サイトにおいても活発化していくであろう。
http://www.nikkeibp.co.jp/news/it07q3/539071/
そしてもうひとつのキーワードである「コミュニティ」は、今後非メジャー楽曲の主戦場になるであろう。先行的にサービスを開始したソニーのPLAYLOGを始め、エキサイトのlast.fmやmf247等、10以上の音楽SNSが既に誕生している。しかし、まだユーザの心を捉え、勝ち組となっているSNSは存在しない。
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT0g000023082006
音楽と人の出会いは非常に親和性が高い。音楽SNSで100万人集めるサービスを提供できるか、次の主戦場はここにある。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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質問させて下さい。
タワーレコードがドコモ傘下、新星堂がツタヤ傘下であるが故に、日本のCD/DVD販売リアルチャネルは崩壊寸前だとのことですが、その二社に筆頭株主がいると事実から、どのように「CD/DVD販売リアルチャネルは崩壊寸前であろう」と判断されたとのか、詳しい根拠を示してご教示下さい。
PS:ナップスターはドコモではなくタワーレコードが始めたサービスのようです。ご自身で貼られたリンク先ページにそう書いてあります。訂正されたほうがよろしいかとおもいます。