2007年6月28日、TBSがリクルートと資本・業務提携を発表した。提携内容はTBSの番組制作力とリクルートのマーケティング力を組み合わせてワンセグやインターネットサービスを共同開発するというものである。
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/net_gyoukai.aspx?n=AS1D2805O%2028062007
リクルートは同6月にフジテレビとも資本・業務提携をし、既に共同設立しているワンセグデータ放送サービス会社(コネテレ)を中心としてワンセグ関連サービスの強化を図っている。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20350557,00.htm
この一連の動きは何を意味しているのであろうか。私はまずワンセグに関する下記の動きは見逃せないと考えている。
論点1:ワンセグ端末の普及
ワンセグが視聴できるデバイスは多々あるものの、本命は携帯電話であろう。矢野経済研究所の予測によると、2010年までにワンセグ対応端末は3,480万台(国民全体の27%)普及するとしている。モバイルキャリアの最新端末の動向を見ても、この流れに大きな間違いはないと想定される。特にドコモは2007年冬モデル(905i)からは全端末ワンセグ対応を発表していることから、通常の端末買い替え需要から想定すると年間1000万台単位で普及が予想される。
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0702/08/news062.html
論点2:そもそも見るのか
私もワンセグ対応端末を保持しているが、実はワンセグを視聴したのは数回程度しか経験がない。本当にワンセグは視聴需要があるのであろうか。モバイルマーケティング研究所の調査によると、1日1回以上ワンセグを視聴するユーザは、まだ20.8%しか存在していない。逆に1ヶ月数回程度は40%程度も存在し、やはりまだ頻繁に利用されていないようである。同研究所の別調査によると、ワンセグのパワーユーザーはほぼ20歳以下であり、ここに課題がありそうである。
確かにわざわざ外に出て、ワンセグを視聴する機会はあまり多くない。当初は電車の中や待ち時間等で利用されると想定されていたが、携帯専用イヤホンを購入・接続する手間を考えると、あまり利用するシーンは今のところなさそうである。
論点3:コンテンツ連動の効果は
ワンセグはただ視聴されるだけでは放送局側にとってメリットが多くない。ワンセグはご存知の通り、画面上部がテレビ放送、画面下部が連動コンテンツ(BML)で構成されている。ワンセグの当初の設計においてはこの構成が必須であったが、ユーザメリットの観点から、全画面表示を可能にしてしまった。これによりワンセグ視聴ユーザのほとんどは全画面表示を選択し、連動コンテンツを見る機会はほとんどない。
私も放送局とのワンセグ連動コンテンツを管掌していたことがあるが、ワンセグからコンテンツに流れてくるユーザは当初の期待値から考えると100分の1程度であった(成功と呼ぶには程遠い数値)。まだ通常のテレビ放送からテロップを入れてモバイルコンテンツに誘導する手法の方が効果は圧倒的に高い。
ワンセグとモバイルコンテンツを両方提供しているキー局、準キー局が悩んでいる声をよく聞くが、主にはこのコンテンツ連動の方法で悩んでいるようである。KDDIとテレビ朝日が2006年4?9月にかけて実施したワンセグ共同事業検証によると、「プレゼント(LISMOぬいぐるみ)」「ワンセグへの誘導を目的としたインフォマーシャル(番組の中で内容と関連付けたスポンサー企業の商品紹介などを行なう広告)放送」の2つを実施することにより、訪問効率が大きく向上した事例がある。特にEコマースなどでは訪問率が200倍になったものもあるようである。
http://ascii24.com/news/i/serv/article/2006/12/08/666427-000.html
論点4:MediaFLOの侵略(?)
黒船襲来と1年ほど前から騒がれているのは「MediaFLO」である。MediaFLOとは、動画コンテンツを放送するのはワンセグと同じだが、ユーザが事前に視聴したい番組を予約しておくことで擬似VODを実現する技術のことである(クアルコム社が開発)。今、モバイルキャリアや放送局がMediaFLOへの周波数割当てに関して真っ二つに割れている。2011年移行のアナログ放送終了に伴い、空き周波数を使って日本への参入を検討しているようだ。アメリカでは2007年4月から既に実施が開始されている。
コンテンツで先行したいAUとソフトバンクはこれを推進しているが、放送局およびドコモは消極的という構造が続いており、周波数割当で割れている。
http://japan.cnet.com/news/com/story/0,2000056021,20350537,00.htm
まだ将来の話ではあるが、このサービスで日本で花咲くとすると、ワンセグにとって大きな脅威になるのではないか。
以上の論点から今後のワンセグビジネスの可能性について考えてみたい。
?ワンセグで爆発するサービスはコマース
実験は今も繰り返されているが、ワンセグを起点として爆発するサービスはなんと言ってもコマースであろう。「テレビでインフォマーシャルされたサービス・物をそのまま携帯電話で買える」まだ普及していないが、このメリットは放送局にとってあまりにも大きい。4マスの広告収入が減少に転じている中、放送外収入は放送局にとって今後生命線となる。これまで広告配信が主なサービスであったところから、物販サービスまでバリューチェーンを広げ、さらに売上・マージンをとることが可能であるからだ。
今、放送されているテレビCMで売れる製品の10%がモバイルコマースを通じて購入することになるとすれば、売上にして同2,000億円程度の市場が形成されると想定される(テレビ広告市場が2兆円。広告出稿により広告費と同程度の効果が得られると仮定)。
?まずはワンセグソリューションビジネスが乱立
対エンドユーザのサービスとしてはコマースが立ち上がると予想されるが、対放送局・コンテンツプロバイダに対してはワンセグソリューションが先に立ち上がってくる。既にインデックス、大手SIベンダはこれを見据えて参入しているが、端末普及に伴い、より多くの技術・製品が出てくると予想される。ハード(ワンセグチップなど)、ソフト(ファームレベルからアプリケーションまで)、コンサルティング等、関連市場は多い。
放送局・キャリア・端末メーカー・他関連市場まで合わせると1000億円以上は市場形成される可能性があり、モバイルコンテンツ市場(3,000億円)に引けをとらないビジネスに成長するであろう。
?MediaFLOとの共存
ワンセグは一方向配信、MediaFLOはVODであり、相互に共存していくのではないかと予想している。ワンセグで提供する番組は現放送と同じくキラーコンテンツを継続的に生み出しており、この流れを大きく変えることはなさそうである。一方、参入を目指すMediaFLOは放送局との住み分けを図るため、古い番組・映画・ショート番組等、ロングテール型のコンテンツ配信となるであろう。
ワンセグ2年目、今年は1つの大成功から大きな市場の立ち上がりが期待されそうである。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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